第77話 実戦授業②
二階層以降五階層までどこにでもでるラビットだが、これのドロップ率はさらに悪かった。
=【コモン・ラビット】【魔石30%・皮5%・爪5%・尾5%・アイテム5%・なし50%】=
ハズレ50%ってどんだけだ。半分外れるのか。
しかしあれだな。始まって一時間で前年度の三学期の討伐数に並んでしまった。
三学期が一番日数が少ないと言っても一学期分が一時間でクリアできるほどの数だったとは、本当に泣けるぜ。
途中他のクラスのパーティーが戦闘している場に近付いたが、俺は迂回してそこを避ける。
ほんのり向こうのパーティーの明かりが見えるが、ここは近づかない。
『ん、何か……』
一応モニター見てるんだ。一時間近く真っ暗だし、見てないかと思った。カメラが向こうの明かりを捉えたんだろう。
「他のパーティーが戦闘中のようです。邪魔にならないよう回避します」
『わかった。無理するな』
「はい」
ここも下り階段までは一本道ではないから、多少回り道でも他のパーティーがいない場所は戦闘のチャンスがある。
うん、ラビットがいたよ。ハズレだったけど。そして下り階段に到着。
「先生、下り階段へ到達しました」
『え、なんか早くないか。もう?』
インカムの向こうで戸惑う声が聞こえたが、気にしない。
「相談とか、作戦組みとかの時間を使ってないからじゃないですか」
『んん、まあそうかも知れんが』
報告も移動しながらしてるしな。
第三迷校ダンジョンは大坂ダンジョンと同じ、階層を降ると出現モンスターの種類が増えていくタイプだ。中ボスの出る階層もボス部屋だけでなく、雑魚モンスターが出る坑道が四階層と同じくらいの広さがある。
そしてこのダンジョンは六階層から急に広くなるのだ。
五階層の雑魚はゼブラスネーク。海蛇のようなツートンカラーだけど赤と紫で毒毒しいが毒は持たない。
【コモン・ゼブラスネーク】【魔石45%・牙5%・皮5%・アイテム5%・なし40%】
相変わらずのドロップ率。もしかして制覇済みダンジョンってみんなこんな感じなのかな。
マップはないが、二年度の授業で中ボス部屋までは何度も行っているので、大体の地図は頭に入っている。
一時間ほどで中ボス部屋の前に到達した。そのことは報告せず、あたりを探索する。
午前の授業は三時間だ。残りは三十分ほどなので、授業時間内に戻るには中ボス部屋の転移オーブを使って戻るしかない。この辺りの時間配分も評価の対象だ。授業時間内に戻って来れなければ当然減点される。
ABクラスあたりは三時間で六階層を越えているかもしれないが、一応俺はHクラス最下位だからな。今日の実践授業では五階層までにしておこう。
授業も二時間をすぎたあたりから、戦闘前の報告に対し返事が返ってこなくなった。
そういえば今日の担当教官は俺が五階層まで行って転移オーブで戻るつもりなのを、どのあたりで気付いたのかな。途中で引っ返すように言わなかった。
真っ暗でどのあたりにいるかわかってない……てことはないな。ちゃんと階段を降りるとき報告してるから。
お、ゼブラスネーク発見。
「ゼブラスネークです。倒します」
「シャーッ」
蛇だけに感知が視覚だけじゃないので、接近を気付かれた。
すかさずなぎ払いを繰り出す。
ブシャッ!
学校の支給品のアイアンソードは切れ味が悪いので、切ると言うより潰す感じで叩きつけると、その音がマイクに入るのだ。
「倒しました。ドロップは魔石です」
『……怪我はないか』
「はい。探索を続けます」
そうして終了時間の十二時前には五階層のボス部屋の転移オーブを使って戻った。
ちょうどEクラスのパーティーもいて驚かれたが。特にソロということで教官に。
ソロがいることは通達されているが、成績最下位であることも通達されているので、五階層までやってくるとは思わなかったのだろうな。
三年度初の実戦授業は無事終了し、ゼブラスネーク四体(魔石1、皮1、ハズレ2)ジャイアントマウス五体(魔石2、爪1、ハズレ2)ステップウルフ五体(魔石2、牙1、ハズレ2)ラビット三体(魔石1、ハズレ2)と、合計十七体のモンスターを倒した。
パーティーとしての討伐数は中位だが、ソロのため個人討伐数はぶっちぎりの一位だった。
やりすぎたかもしれん。
───Ⅲ章 終わり────
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いつもの様に「Ⅳ章までしばらくお待ちを」と言いたいところなんですが、本作をカクヨムコンに応募しているので、一月中はなんとか更新続けたいと思っています。
まだ5話くらいしかかけてないので毎日は無理ですけど。多分週三……いや頑張ってもうちょっと……
とりあえずⅣ章78話は1月13日投稿予定です。
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