第76話 実戦授業①
打ち直せる鍛治師に知り合いは……
あ、ダメもとで正村に渡してみるか。授業に持ち込み素材を使えるのかどうか知らないから、今度あったら聞いてみよう。
「うん、捨てずに再利用だな」
新しい鉈も手に入れたが、これも頑張って使い込もう。
「じゃ、早く帰って夕食だな」
「はいにゃ、楽しみですにゃ」
お待ちかねの今日の夕食はカウ肉である。
まずはシンプルにステーキでいただこうと思う。
「なかなか美味ですにゃ」
「はー、食った食った」
タマの言うとおり、カウ肉はうまかった。適度にさしが入っていたが油は多すぎず旨味があったし、厚さ二センチほどに切り分けたステーキも、軽く噛み切れる。それでいてしっかり肉の弾力もあった。
いやー同じレアでも協会のランクわけではライズアップシープはR
明日の実戦実習前に心と身体両方の良いエネルギー補給になったぜ。
「マスター。ダンジョン素材を摂取すると一時的な効果以外に魔素が吸収できるので、スキルの使用が可能になるですにゃ」
んん、そういえばタマはダンジョン食材を摂取することで魔素を補給すると言っていたが、俺もか?
「タンジョン外にいれば徐々に放出してきますが、マスターは貯蓄できますにゃ」
「倉庫を二回くらいは使える?」
「多分それくらいですにゃ」
肉自体の魔素量がそこまで多くないので、それくらいらしい。だがこれはいいことを聞いた。
今のところ調理法がわからないので食べるつもりがないが、カシミールリンディアの睾丸はカウ肉を超えるR
そして翌日の火曜日はEからHクラスの実戦授業だが、Eクラスから順次出発するのでHクラスが最後、その中でも最後の最後が俺だ。
Eクラスの連中はさっさと四階層に降りるが、Hクラスは三階層のフィールドでモンスターと戦闘している。
「四階を目指します」
そうインカムに呟き、三階層を走り抜けた。
『鹿納、四階層は洞窟型……ああ、お前は《灯り》スキルがあったな』
インカムの向こうは監視室の教官だ。少し時間があったのは俺の個人情報でも見てたのかな。それとも元から知ってたか。《暗視》ではなく《灯り》と言ったしな。
実習で何度も来ているからこの辺りのマップは把握している。スキルを得てからは初めてなので絶賛地図更新中だ。そのままダッシュで駆け抜けたいところだがあまり早く走りすぎてもいけないので、二十分ほどかけて下り階段へ到着した。
この辺りは先行した連中に駆られてモンスターがいない。
「今から降ります」
そして真っ暗な坑道型の四階層に到達、そのまま暗闇の中を進んでいく。
『鹿納、カメラに何も映らないぞ《灯り》をつけないの』」
「先生、俺スクロール配布で《暗視》をもらいました。《灯り》はモンスターに感付かれますから、使いませんよ」
俺にはダンジョンの様子がはっきりと見えているが、モニターは暗視スコープじゃないから、何も写ってないだろうな。
「ジャイアントマウス発見、背後から奇襲します」
インカムに向かって小声で言うと〈気配隠蔽〉も使ってジャイアントマウスの後ろから近付き、剣を振り下ろす。
「ジュィ……」
音声は多少拾うのでジャイアントマウスの断末魔は聞こえるだろう。
そのまま少し先にいたステップウルフに接敵、インカムのマイクを左手で覆いながら振り下ろす。
戦闘音が聞こえるかどうか試してみたが、聞こえなかったようだ。
やはりこうすれば多少の戦闘音はゴマかせる。ステップウルフとの戦闘について向こうからは何も言ってこない。
三、四階層のモンスターは弱いな。どちらも脅威度1だし、学校支給のアイアンソードでも一撃だ。
しかしドロップ率が悪いとは思っていたが……
=【コモン・ジャイアントマウス】【魔石50%・牙5%・アイテム5%・なし40%】=
=【コモン・ステップウルフ】【魔石40%・皮5%・牙5%・爪5%・アイテム5%・なし40%】=
ハズレが40%でアイテムが5%、よくステップウルフからスクロールがドロップしたよな。
「ジャイアントマウスが魔石をドロップしました」
『お、おう』
向こうでは全く何も見えていないだろう。一応報告を入れる。
「このまま下り階段を目指します」
『……わかった。気をつけろ』
「はい」
途中ステップウルフ二体とジャイアントマウス一体、ラビット一体を倒した。
脅威度1相手の戦闘をわざわざ隠すのも邪魔くさかったので、四階層は普通に報告、ちなみにドロップは魔石2とハズレ2。
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1月7日のPV数が多いなと思ってら、予約投稿ミスって72と73話の2話更新してました。気づくのおそ_:(´ཀ`」 ∠):
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