第73話 剣術選択授業
予約投稿ミスって1月7日2話更新してます。
こちらが2話目です。
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週があけて実戦授業が始まる……と言いたいところだが、月曜は
四月の実戦授業は午前中が三年度生に、午後が四、五年度生に割り当てられている。
三年度生は探索科だけでなく普通科とサポート科を合わせれば三百二十名いるので、一斉に探索に出るわけじゃない。
AからDクラスが月水、EからHクラスが火木、普通科とサポート科が金曜日に交代で隔週だ。
そして金曜日の午後に四、五年度生の映像を使った実戦戦闘考察授業が行われる。
この授業は三年度生全科なので、ダンジョン外施設の講堂で行われる。
ここ普段は一般試験の会場にも使用されていて、千人近い全校生徒が入れる。
今回は三年度生だけだから三百人ちょいだな。
教官たちが選んだ良い例、悪い例を見ながら解説するという授業だ。
亀の映像を使うため、俺のものも「使用される可能性がある」と最初に言われているが、真っ暗なのでそれはないだろう。
よって月曜一時限目の
俺は剣術をとっているので、残念なことに元班メンバーの前橋と鈴木がいる。田中は槍を、佐藤は弓、中村は大剣を選択したようで、別クラスだ。
と言っても鍛錬場なのは一緒。区画が分けられているだけだ。
朝のショートホームルームは無いので、その時間を準備運動に当てる。校舎近くで俺はストレッチを始めた。
「よう、〈暗視〉の使い心地はどうだ?」
前橋は俺にちょっかいをかけないと気が済まないようだ。
近付いてきたのはわかっていたが、もうほとんどの生徒は集合場所に集まっているので、こいつらもいくかと思ったが、甘かったようだ。
気配消しときゃよかった。こういう時のためでもあったんだが。
「別に」
「せっかく二つもスキルを持ってても、どっちかしか使えないなんて、気の毒〜」
全然気の毒そうでない口調でそう言ってくる。
ストレッチは途中だったが、さっさと集合場所に移動しようと立てかけておいた木剣を取ろうと手を伸ばすが、俺より先に鈴木が手に取った。
「ほらよ」
高く放りあげられた木剣を受け止めようと見上げていると、足元に前橋が自分の木剣を差し込んできた。
今までは直接な肉体への攻撃はなかったので、そこまでするとは思わず油断していて足を引っ掛け躓いてしまった。
受け身を取るのも何か言われそうで、そのまま膝と手を地につける。ここが一般の運動場のように土が剥き出しなら手足をすりむいていただろう。
ダンジョン内の、しかも建物に近いここは除草はそこまでされておらず、芝生のような草が生い茂っていてクッションがわりになった。
それにレベルが上がっており、この程度じゃ打身もできないけどな。
「おい、人の剣を蹴飛ばしてんじゃねーよ」
自分で差し込んできたんだろうが! 木剣へし折ってやろうか!
反論は心の中にしまったが、つい怒りに任せて睨みつけようと顔を上げた時。
「やめーや、ええ歳こいてイジメなんてしてんとちゃうわ」
「な、なんだよ」
「ウチ、見とったで。あんた学校の備品の木剣やのに、そんな扱いしてええんか。センセーにゆーちゃろか」
前橋と鈴木がお互いを見て、俺を見る。
「し、知らねえよ、そいつが勝手につまずいたんだ」
捨て台詞を吐いて二人は走って逃げていった。
「ほんましょーもないやっちゃで。あんた大丈夫か」
そう言って手を差し出してきたのは、サポート科の女子だった。
「ああ、ありがとう」
せっかく差し出された手を無視するのもなんなんで、ありがたく借りて立ち上がった。
「学校のジャージはある程度衝撃耐性があるよって、怪我はしてへんやろ」
俺の膝の汚れをパッパとはらい、日に焼けたショートカットの女子はニカっと笑う。
「ウチ、技術学部の
「俺は「知っとる、育成科の鹿納くんやろ。座学トップ5入りした」、ああ」
「ウチ、座学はからっきしやさかい、頭のええお人はリスペクトしとんのよ」
ちょうど授業開始のチャイムがなった。
「あ、授業始まるで、はよいこや」
「ちょ。ちょっと」
なぜか正村明希緋に手を引っ張られ、集合場所に移動することになった。
それだけではなく授業でペアをくめと言われ、なぜか女子の正村明希緋とペアを組むことになった。
「ウチ、今学期だけやからごめんなあ」
などと授業中に自分の話をいろいろしてきた。
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