第68話 生狛ダンジョン深層②
カシミールリンディアから肉以外の可食部がドロップした。
「タマ……だと……」
「呼びましたかにゃ?」
「いや呼んだわけじゃ無い……」
確かにジビエ料理とかにもあるし、羊料理をネット検索した時も出てきたよ。
=【レア・可食部】《カシミールリンディアの睾丸》摂取することで一時的に特殊効果を得ることがある=
後で協会のホームページでランク検索したんだが、カシミールリンディアの肉が星
当分タンスの肥やしならぬ、倉庫のリソース(仮)だ。もったいなくてリソースにできないのだが今のところ食べる気のしないので。
それと初のミドルヒールポーションもドロップした。レアモンスターからはミドルポーションがドロップすることもあるのだが、ミドルは初ゲットだ。
ようやく十四階層への下り階段を見つけた時には午後二時を回っていた。
この階層の罠は
どこから落ちてきてるんだと言いたくなる罠だ。落ちる前にはどこにもそんな大岩は見当たらないんだが。
下敷きになったら怪我で済まないレベルの大岩で、試しに一つ発動させてみたら道が塞がれてしまった。
ポートカリスと同じでその場に留まるといつまでも岩は道を塞いだまま。
仕方なく別の道を行くことになる。
十四階層にでたアンゴーラカウは十階層中ボスのアンゴーラブルの雌版で、大きさもひとまわり小さいし、向こうはエピックでこっちはレア、脅威度でいえばブルが7でカウは6とランクが違う。
=【レア・アンゴーラカウ】【魔石30%・可食部20%・皮15%・毛15%・角5%・アイテム10%・なし5%】
「こりゃあ、今日中に十五階層までは無理だな」
十四階層に出現したアンゴーラカウが黒い粒子に変わり、変わりに謎の葉っぱに包まれた塊が現れた。
「おお、カウの肉!」
=【レア・可食部】《アンゴーラカウの肉》摂取することで一時的に特殊効果を得ることがある=
羊肉であれだけ美味いのだから、牛肉はどんだけ美味いのだろうか。
期待いっぱいにアンゴーラカウ狩に精をを出してしまった。
「あれ、アイテムか?」
ドロップしたのは瀬戸物風のビンというか壺?
=【レア・可食部】《アンゴーラカウの生乳》摂取することで一時的に特殊効果を得ることがある=
謎の壺に入っていたのは乳だった。しかも特殊効果付き。生乳ってことはバターとか生クリームとか作れるやつだよな。
食材系は肉もそうだけど、どれも一週間で食べられなくなるのだが、この壺もポーション瓶と同じで中身がなくなると消失する。
蓋を開けなくとも一週間たてば中身ごと消えて無くなってしまう。
俺のダンジョンマスターの権能ではドロップに【可食部】を指定できないので、生狛ダンジョンのコアの方が力が上ということになる。
もうすぐ五時というあたりで、今日の探索を終了することにした。
六時を過ぎると日帰り探索者で買取窓口が混み合うからだ。
人気がないと言っても土日はそこそこ来る。俺みたいに公共の交通手段を使っているやつは少ないけどな。
マイボス部屋で荷物を整理して、九階層の下り階段前へ転移する。
少し離れたところに探索者がいたようだ。転移時は気配隠蔽してるので勘付かれてはいない。
十階層の中ボスはあの三人組が倒したところなので、扉は空いている。
奥の転移オーブを使って入り口へと飛んだ。
買取専用のコンテナの周りには日帰り探索者が数人たむろっていた。買取の査定まちのようだ。
今回は両手に一杯皮と毛を持っているので、ちょっと注目を集めてしまった。
ソロ探索者は珍しいしけどいないわけじゃないから、両手の荷物が原因だと思う。毛と皮が嵩張るんだよな。
「買取お願いします」
カウンターに両手の荷物を置いてから免許証を差し出す。そしてバックパックから魔石や爪牙角を出して並べていく。今回は十一階層までのドロップ品だ。
あの三人組が十階層の中ボスを倒しているし、あそこで顔を合わせているので、俺が十一階をちょっと彷徨いててもおかしくはない、はず。
しかし量としては昨日より少ない。ミラージュカリオン、カシミールリンディ、アンゴーラカウの素材を温存していたからだ。
そこでローヒールポーションも一本売りに出した。ミドルヒールポーションを手に入れたからな。今二本持っている。
「鹿納様は探索者ランクがGにアップですね、おめでとうございます」
「え?」
「お、ランクアップか。おめでとう」
「「おめでとう」」
「「「オメー」」」
「「「おめでとうございます」」」
「あ、ありがとうございます」
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Ⅰ章7話の「ランクアップに試験がある」という設定を変更し、「最初に試験があるのはFからEに上がる時」としました。
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