第59話 放課後の探索①
クリスマスいかがお過ごしですか?
当方普段と全く変わりありません。ケーキくらい買えばよかったかな
┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼ ┼
今の所こちらに注目する奴はいないが、万が一前橋たちに目をつけられると困るな。
やはり行きはトイレあたりから行った方がいいかもしれないと、考えつつ目的の場所に到着した。ぐるりと辺りを確認してから草むらに分け入ってしゃがみ込む。サーチで近くに人がいないことは確認できるが、この場合サーチ範囲より視界に入る範囲の方が断然広いので、しゃがんで身を隠した状態でマイボス部屋へ転移する。
探索の準備……といっても装備を装着するだけだが。それを終えると俺は生狛ダンジョンの探索の続きをするため、十一階層へ転移した。
「今日も稼ぎますかにゃ」
タマが影から現れてやる気を見せる。
今回はダンジョンに転移でやってきたため、協会の入ダン記録には残らない。だからドロップ品は売却できないので魔石はリソースいきだ。
閉校時間の六時には学校をでなければならないので、探索時間は二時間にみたない。
どれくらい進めるかな。九階層踏破に四時間かかってるから十一階層はもっとかかりそうだ。
マスタースキルの《階層転移》はどこにでも転移できるわけじゃない。
各階層の出入り口にあたる階段の近くと、一階層のみダンジョンの入り口近くだ。
したがって、今日十一階層の途中までで探索を終えても、明日はまた階段からスタートしなければならない。
一度通った場所は《マッピング》で地図が出来上があるから二度目以降は短縮はできるが、放課後の二時間の探索では十一階層踏破には二、三日かかりそうだな。
十一階層に出るモンスターはハウンドドッグとヘッドバットゴートとスキップゴートだ。
ハウンドドッグは脅威度5の犬モンスター。ハウンドって犬って意味だよな。日本語にすると〝犬犬〟なのか? でもそんな名前のロックバンドがあったよな。
ハウンドウルフよりマシか。あっちは〝犬狼〟だもんな。
=【レア・ハウンドドッグ】【魔石40%・皮15%・爪15%・牙15%・アイテム10%・なし5%】=
魔石以外のドロップ率が随分いい。ま、爪牙は魔石よりマシなくらいの買取価格だが。アイテムも全体を見たら10%もない気がする。
大体ドロップのアイテムって一括りにされているが、武器、防具、アクセサリー、スクロール、ポーション、その他のアイテムと多岐にわたるから、それぞれ均等に割ったら2%以下だもんな。
十一階層の罠は
壁の隙間から数本の矢が放たれる罠なんだが、鏃に麻痺毒が塗布されている。数分で効果の切れる弱い麻痺毒だが、麻痺してる間にモンスターに襲われたら言わずもがなだな。
結局二時間かけて16体のモンスターを倒したが、下り階段は見つからなかった。
しかし宝箱を一つ発見した。
=【レア・アクセサリー】《麻痺耐性の指輪Ⅱ》麻痺耐性25%上昇=
効果付きの装備品だった。これは嬉しいな。
装備品(武器、防具、装飾品)の中に効果付きのものがある。装備することでスキル以外で力を手に入れることができるのだ。
武器は攻撃力に、防具は防御や回避に関する効果が多いが、装飾品はさまざまな効果を持つものが多い。
スキルでなく装備品なら取り外しが簡単だからスキルより、こっちを集める探索者も多い。
値段は同じ効果のスクロールより高いが、使ってなくなるスクロールと違って不要になれば売り払えるからな。
二時間かけて倒したモンスターはハウンドドッグ八体、ヘッドバットゴート四体、スキップゴート四体の計十六体。
ドロップ品はハウンドドッグ魔石六個、皮一枚、ハズレ1。
ヘッドバットゴート魔石三個、角一個。
スキップゴート魔石二個、皮一枚、毛一束。
このうち魔石を全てリソースに変換した。
十六体といっても半分はタマが倒しているから、あまり戦った気にならず終わった。
今日はスタートが遅かったので一時間半ほどしか探索できなかった。明日はもう少し時間が取れるといいな。
装備を外し、鍛錬着と木剣を持ってその場にしゃがみ込んで二階層の下り階段前へ転移する。
しゃがんでいることで視界は草で埋まっているが、次々と階段を上がってくる上級生の喧騒が聞こえた。
俺はそっと立ち上がり、校舎へ向かう人の流れに紛れ込む。
一人だけ草むらから出てきた俺に気付いた上級生がいて、驚いた顔を見せたが、終校まで時間がないため何も言わず早足で過ぎていった。
うっし、この感じだと大丈夫だな。俺も急いで更衣室に向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます