第48話 マイボス部屋で休憩
まずは昨日の買い物を詰めたリュックを倉庫から取り出す。
中ににはカセットコンロと交換用のガスボンベ、鍋とケトルと丼にマグカップ。
100均で購入した割り箸にスプーンとフォークなど細々したもの。
食品は腐りにくい袋ラーメンや缶詰、調味料にティーパック、2Lペットボトルの水。
これで温かい食事やお茶が飲めるのだ。結構散財したな。
早速袋ラーメンとコンビニおにぎりで夕食をとる。洗い物もできるようにトイレの横に水の湧き出る小さな泉を作ってある。
鍾乳洞の段々畑のような水たまり、リムストーンプールっていうんだっけ? あんな感じで上から綺麗な水が下に流れるようにして、一段目は綺麗なまま、二段目は水汲み用、三段目で洗い物ができ、そのあとはトイレ下の沼へ流れるようになっている。
ダンジョンによっては川や泉だけじゃなく、温泉が湧いているところもある。
今はリソースが足らないけど、いつか温泉作りたいな。
食後のお茶も飲み終わり、今日の収穫を整理する。
タマ用のクッションも置いてやった。今はその上で毛繕いをしている。
ジャンピングワラビーの腹袋を剥がすと、中身がバラバラとあたりに散らばる。
魔石は脅威度2のモンスターの魔石はコモン
脅威度3のウルフはコモン
皮はドッグ1枚とリカオン2枚はコモン
性能的には差がないのだが、ドッグが犬ということとリカオンのまだら模様が日本人に人気が薄いせいだ。
今の相場っていくらくらいなんだろう。ラビットがコモン
爪はC☆ドッグ1個とC☆☆ウルフ1個、牙はC☆☆リカオン1個となっている。
あとはポーションは売らないので、スラッシュのスクロールが一本。
半日の稼ぎとしては上等ではないか?
「スクロールは使わないのですかにゃ」
タマが売却用にリュックに詰め直していると、声をかけてきた。
「エレホーンソードがありますから、攻撃手段としては有効なのだと思いますにゃ」
ああ、あれは刃渡り……いや角渡一メートルほどあるので、攻撃有効範囲が二メートルになるのか。うーん、でもできるなら上位互換のレアスキル《ワイドスラッシュ》とかだったら欲しいところ。
「コモンスキルの取得はちょっと見合わせようかと思うんだ」
スキルオフ機能があるけど、今は売ってお金にしたい。爺ちゃんの刺身包丁の件もあるし、
特に布団とか。今日は寝袋なんだよな。草をはやしているから柔らかいと言っても、限度があるし、今日の収益でちょっとお高めのキャンプマット買いたいな。
そんなこれからの夢を夢想していたが、今日は六階層まで行っておきたいので、生狛ダンジョンに戻ることにする。
一階層に転移したほうが問題が少ないのだが、今からまた五階層まで降りたくはないので、そっと四階層へ転移する。
五階層のボス前の方がキャンプする探索者が多いはずだ。
特にボス部屋しかないタイプはモンスターの襲撃の心配がないからだ。
五階層の階段に近づく前に、タマには隠れてもらい、〈ライト〉を灯した。
そして階段を降りると案の定、二組の探索者がキャンプの準備をしていた。
一応ペコリと頭を下げて、そのまま通り過ぎようとすると。
「ソロでこの先を進むのか? 中ボスは誰かが倒したばかりみたいでいないが、六階層からは罠の殺傷度が上がるぜ」
コンビニおにぎりを食べていた男の探索者が、声をかけてきた。
「そうですね、ちょっと見て無理そうなら転移オーブで帰ります。忠告ありがとうございます」
こういうキャンプ場所で一緒になった時、情報交換することもあるし、全く接触しないというのもある。
片方のパーティーは後者のようだが、この二十代後半の探索者は俺にアドバイスをくれるいい人……いやトレジャーボックスを奪い合う相手を減らしたいだけかも。
そんなことを考えて、俺って他人を信じられなくなってないか?
いや、日本だって探索者キラーはいるからな。
そして中ボス部屋を過ぎて、六階層へ降り立った。
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