第45話 生狛ダンジョン浅層②

 二階層に出現するモンスターを鑑定してみた。


=【コモン・リトルコヨーテ】【魔石60%・皮15%・爪10%・牙5%・アイテム5%・なし5%】=


 リトルドッグより若干大きいかな。いや個体差かも。黄褐色の犬型モンスター。

 脅威度もリトルドッグと同じで2だ。皮と爪のドロップ率がちょっといい。

 動きはドッグもコヨーテも変わらない。ゲームで言うならグラフィックは色を変えただけの使い回しな感じのやつ。


 二階層でのドロップは八匹倒して、魔石五個、皮二枚、そしてハズレ一回。

 途中三人パーティーの探索者に遭遇したが、横道に隠れてやり過ごした。こっちは灯りなしだから、向こうには全然気付かれなかった。


 そして一時間ちょっとで三階層へ降りる階段を発見。まあまあ順調である。

 三階層に出るモンスターはリトルリカオン。


 リトルばっかりだが、ドッグ、コヨーテ、リカオンとまた色違いだった。

 黒と茶色のまだら。リカオンも脅威度は2。


=【コモン・リトルリカオン】【魔石60%・皮10%・爪10%・牙5%・アイテム10%・なし5%】=


 若干アイテムが高い。と言っても10%だが。

 罠を避けながら迷路を進む。地図があってもたまに間違えることもある。




「よし!」


 三階層もあと少しで下り階段というところで、九匹目のリトルリカオンが黒い粒子に変わる。そこにはスクロールが残った。


「今日初のアイテムドロップだ。何かな何かな〜」

「楽しそうでよかったですにゃ」


 若干退屈しているタマだが、そろそろ戦闘させてやるか。ま、それは置いておいてスクロールの鑑定だ。


=【コモン・スクロール】【スラッシュ】=


 あー戦闘コンバットスキルの中でもツリー最下部の武技スキルだ。剣、槍、斧等の刃系武器で使用できるスキルだな。

 コンバットスキルは最上位の職業スキルを取得できれば、その下の武器術スキル、そしてスラッシュのような武技スキルはスキルを習得しなくとも使えるようになるのだ。

 職業系はレジェンド、武器術はエピックなので、こんな低層の脅威度2のモンスターからドロップする事はない。

 いずれは剣術か剣士が欲しいところだが、今は遠距離攻撃手段が欲しいんだよな。


 スラッシュだって、剣の長さの倍ぐらいの不可視の刃が発生するのだが、刃渡り28センチの刺身包丁の長さが二倍になったくらいじゃ遠距離とはいえない。


 スタートダッシュ中ならランク上のドロップ品が出るが、現状ではコモンモンスターにコモン以上のドロップ品はでない。

 そしてコモンモンスターは難易度3まで、レアは難易度4以上だから。生狛ダンジョンでは七階層のスキップゴートまでレアモンスターが出ない。


「今すぐ必要っていうほどのスキルでもないし、とりあえずは保留だな」


 スクロールを腹袋に収納し、探索を続ける。


 三階層にはホールの罠が増える。落とし穴と言うほど深くはない。だが深さ10センチほどの穴を踏み抜くと、足を挫いたり運が悪けりゃ骨折することもある。

 穴の部分は微妙に色が違うのだが、これも暗い迷路内では見つけにくいが、視線の低いタマはなんなく見つけていく。


 四階層へ降りる前に少し休憩だ。三階層でも二度ほど他の探索者をやり過ごした。

 今のところ階段へ直進している俺は、トレジャーボックスを探す探索者とは活動範囲が違うのであまりエンカウントしていない。

 倉庫からスポーツドリンクを取り出し、一口二口流し込む。


「そういえば、タマはそのサイズでの戦闘は初めてだよな。どんな感じ?」


 二度ほどタマに戦闘を任せた。なりは小さいが素早い動きで翻弄して、爪でリトルリカオンを切り裂いた。


「マスターとの一戦では何もできないうちに終わりましたが、コモン程度に遅れは取りませんにゃ」


 小さい分小回りが効いている。もともと速さに特化したホワイトタイガーだ。

 本来脅威度7のエピックモンスターだからな。


 下り階段到達までに三匹ほどたまに任せたのでちょっと機嫌が治った。


「これで私もちょっと強くなれましたにゃ」

「あ、そうか。モンスターもレベルアップするんだっけ」

「はいにゃ。力をつけてマスターをお守りしますにゃ」




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