第37話 大坂ダンジョン浅層①

【2020/11/22修正】低層の表現を浅層に変更します。随時変えていきます。

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  更衣室で防具を身につけ、一応腹袋も貼り付けておく。からのリュックを背負ってレンタル窓口で鉄製の片手剣アイアンソードを借りたらダンジョンへの入り口へ進む。


  五大ダンジョンは入り口を覆うように協会施設を建築してある為、ダンジョンの入り口は建物の中にある。協会の施設も更衣室も何もかも施設の中なので便利ではある。


 入り口手前には改札が設置されており、ライセンスを読取機にかざせばゲートが開く。

 これで誰がダンジョンに入って誰が出てこないのかが、協会側に把握されるのだ。大きめのダンジョンにしかないけど。


 少し下り坂になった通路を二十メートルほど進むと一階層の草原フロアだ。

 疎林と低木を交えた熱帯長草草原地帯、ザヴァナタイプである。ちゃんと雨季と乾季も存在するが、季節は年に数回変化し、地球のそれと同じ周期ではない。


 今は乾季で探索者は多い。雨季の雨の中探索をしたがる物好きは少ないが、雨季にしか出ないモンスターもいるので全くいない訳じゃない。


 一階層は直径二キロメートルのほぼ円形だ。一応方位磁石も有効なので、大阪ダンジョンでは入り口の方向が北にあるため、見えにくい出入り口を探せるよう持参することを推奨されている。


 俺? マッピングがあるので不要だよ。

 一階層に出るのは脅威度1のオニネズミだ。脅威度一ではあるが、単体ではなく2~3体で出現することから、新人のうちはパーティーが推奨されている。

 とはいえ1、2階層は新人推奨のため、俺は階段目指して走り出す。


 目当ては一際巨大なアカシアの木。他の木が3から5メートルなのに一本だけ10メートルを超す木がある。

 それの根本のうろが階段への入り口になっているのだ。

 行きは迷うことなく辿り着ける。


 あまり目立たぬよう、一般男子並みの速度で走るが、階段までは一キロほどなので五分もかからず到着する。

 そして二階層はオニネズミとラビットが出る。


 二階層で裏山ダンジョンと同じラビットの登場だ。ここで少しラビットを倒し、ドロップ品に手持ちを混ぜて売却する。

 一応ドロップ率の確認もするため、十匹くらいは倒したい。


 借りたアイアンソードの他、倉庫から刺身包丁を取り出し、装備する。


「マスター、お手伝いしますにゃ」

「いや、モンスターと間違われたら厄介だし、フィールドでは出てこなくていいよ」

「そ、そんにゃ。ガーディアンのお仕事は、マスターをお守りすることですのにゃ」

「タマは俺がラビットにやられると?」

「万が一、いえ億が一ということもありますにゃ」

「……呼ぶまで出てこなくていいから」

「そんにゃ」


 そんなやりとりをしてたら、向こうからラビットが二匹現れた。サーチってモンスターの位置はわかるけど種類まではわからないんだ。

 単種なら問題ないけど複数種が出る大坂の二層以降は目視で確認するしかない。

 刺身包丁切れ味はまだ大丈夫。だがレンタルのアイアンソードは切るというより打撃武器だ。切れ味は存在しない。刃物じゃないよね。

 鉈と刺身包丁はどちらも斬れたけどアイアンソードは切れない。運用方法が違ってる。

 学校でもアイアンソードをほとんど使ってない、というか出番がなかったから。


 二匹のラビットは魔石を残し黒い粒子になって消えた。


 ジャンピングワラビーの腹袋に、拾った魔石を入れる。

 これに裏山ダンジョンのドロップ品を混ぜて売却する予定だ。


 大坂ダンジョンは十階層までは同じようなサバンナフィールドが続く。ただ下に行くごとにその広さは増していくが。


 一階層が直径1キロで二階層が直径2キロという感じで直径が毎層1キロ伸びる。完全な円形と言うわけではないが、面積は加速度的に大きくなっていく。


 階段を見つけるにはさほど苦労しない。

 一際大きなアカシアの木を目指せばいい。三階層に降りる階段へは二本の巨大アカシアを目指せばいい。四階層の階段はアカシアが三本、五階層への階段は四本と増えるのだが、五階層の中ボス部屋をこえ六階層へ行くと一本に戻る。

 四本が最高数だ。






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