第31話 学年とクラス



「武器ならダンジョンにトレジャーボックスを設置すればいいですにゃ」

「あれってランダムだろう。何が出るかわからないじゃないか」


 そう、トレジャーボックスの中身はマスターやコアでも指定できない。選べるのはレア度と種類────

 武器、防具、アクセサリー、スクロール、マジックアイテム、ポーション、ドロップ素材である。


 そしてレア度と種類の組み合わせで必要リソースが決まるのだが、当然レア度が上がるほど消費するリソース量は増える。


「理想は刀だが、刀のドロップ率は超低いし。まだ剣や槍が出ればいいけど、攻撃魔法が使えない俺にマジックタクトとか、超接近武器のグローブとか出ても使えないからな」

「ハズレは《倉庫M》に放り込んでリソースに戻せばいいですにゃ」

「戻しても使ったリソースを全部を回収できるわけじゃないから、赤字じゃん」


 マスタースキルの《倉庫M》は無限収納である。どれだけでも入れられるし、時間経過もない特別性だ。

 ただこれもダンジョン内でしか使えないので、入れたものを取り出すにはダンジョンに入らなけりゃならない。

 自分のダンジョンでなくてもいいので、そこは嬉しい。学校のダンジョンでも使えるからな。


 そしてマスタースキル特有技能である《M》の効果は、中に入れたものをリソースに還元することができるというものだ。

 ただし生み出した時の8割くらいのリソースしか回収できないので〝欲しい武器が出るまで繰り返し〟なんてやるとリソースが目減りする。


 今入り口を閉じてるんだから、リソース増やしにくいからな。

 でもよそのダンジョンのドロップアイテムをリソースに還元することもできるのだ。

 売値の安いドロップなんかはそうしようかと思ってる。


「あ、もうこんな時間じゃねえか。飯食ってシャワー浴びたら寝よ」

「にゃあ」


 予定より帰宅が遅くなったが、テレビもゲームもないこの部屋じゃすることないんだよな。




 

 朝は近所のコンビニでサンドイッチとコーヒーを買ってイートインコーナーでかき込む。

 バス停が近くて助かるな。


 アパートの俺の部屋の斜め上、二階の部屋のドアが開き、迷高専の制服を着た女子が出てきた。

 学校が斡旋してくれたアパートだから、俺以外の生徒がいて当然だな。


 コンビニの前を足早にすぎる女子のネクタイは青に白の細い二本線、サポート科医術部三年生だった。


 サポート科の中で頭が良くないと入れない医術部だ。卒業して治療師になれるのはごく少数の狭き門。

 治療師になれなかったやつは一般大学の医学部に編入して医者になるくらい、頭がいい。

 けど、成績がトップであっても治療師になれるとは限らない。

 治療系のスクロールが手に入るかどうかで治療師になれるかどうかが決まるからだ。


 治療系のスクロールさえあれば誰でも治療師になれるわけじゃない。

 施術者の医学知識のレベルで治療効果が変わるからだ。


「へえ、青ネクタイ、医術部か。頭いいんだな」


 迷高専の学生は制服を見るとどこの生徒かわかるようになっている。


 第一校は、実験的にと北開道に作られた。その時制服はブレザーで一般的な紺色を使用している。

 そして第一校が成功したことで、第二校は首都である塔京……に作りたかったが、ちょうどいいダンジョンがなくて知葉にできた。制服は灰色だ。


 関東に作ったなら次は関西、大坂ということで我が三校は作られた。制服は黒だ。

 そして四校目は中国地方の広嶋で制服は茶色。

 最後の五校は四国と東北と中部が争ったが、愛千県の奈古屋に五大ダンジョンの一つがあることから中部になった。

 制服はエンジ色だ。


 科はネクタイの色学年は線の数と形でわかる。

 探索科は黒、普通科は灰色、サポート科は二年まではえんじ色だが、三年度で医術部の青、薬術部の緑、技術部の黄色、魔素学部が赤だ。

 一年は無線、二年度は横線一本、三年度は横線二本、四年度はクロス、五年度は二本のクロスになる。


「あ、やべ、バスがきた」



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 土地名の漢字はあえて変えてあります。

 ネクタイの色変更しました。






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