第15話 これから

【2021.01.02】14話と被っていた文章を修正しました。

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 俺は学校での現状、いじめとそれによって進級が危ぶまれるほどの羽目に追いやられたことを告白した。


 一般のいじめとは違い、暴力を受けたりものを隠されたり壊されたりしているわけじゃない。

 仲間外れのように見えても「クラスメイトだけど仲の良い友達じゃない」といわれればそうでしかない。

 ただ実戦授業では完全にハブられて、思うように戦うこともできなかった。座学で進級試験をクリアしたものの、戦闘能力が基準に達していないと、留年もしくはサポート科への転科を進められたのだ。


 話すかどうかは散々悩んだ。反対を押し切って入った迷高専なのだ。学校のことで家族に心配をかけたくなかったから。


 帰省する前は、新学期が始まっても状況が変わらないのなら3年度で卒業するか、もしくは途中で中退して一般探索者としてやっていくことも視野に入れ免許を取った。

 だけど入学金やら何やらで、家族に負担をかけて入った学校を退学するのは申し訳ない気もして、いっそサポート科への転科も考えてみるかと言う気持ちも少し出てきていた。


 そんなブレブレの俺に、家族が応援してるぞと言って昨日の誕生日プレゼントだ。

 もうここはたとえ無様にもがきながらでも、探索科の卒業の道を目指す。

 学校でできなかったレベルアップは、放課後や休日を使って一般探索者として鍛えればいい。そう決めた。


 爺ちゃんはニッと笑う。


「そのクラスメートと教師を見返してやれ。どうせ春休み中近場のダンジョンに行くつもりだったんだろう」

「爺ちゃん」

「ただし、無事に戻ってくること。時間は朝から晩まで、夜はみんなで夕食をとれるように戻ってこい」

「ありがとう、爺ちゃん」


 俺は翌日からの探索準備をするため、自室へ引っ込んだ。



 


 リュックの中からスクロールを取り出す。


 ちなみに俺の〈ライト〉は【COMMONコモン】の中でも下から2番めなのだが。

 一番下の【コモン】の星1は、実質使えないゴミドロップ。

 ゴミのコモンということで【GC】と呼ばれている。これDDSで正式採用されていない、日本人探索者のスラングである。

 ラビットのドロップはこの【GC】がほとんだだ。


 そして今、俺の手の中にあるスクロール。


「何度見ても【エピック】だよなあ」


 早速スクロールに《アイテム鑑定Ⅱ》を使ってみた。


=【エピック・スクロール】《マッピングⅠ》=


 マッピングスキルは自分が通った場所(ダンジョン限定)を自動マッピングしてくれるスキルだ。

 熟練度Ⅰはマッピング範囲は自分から半径一メートルの範囲。出来上がったマップは脳内再生されるだけで他人には見せられない。


 ラビットを倒して【エピック】のドロップなんて聞いたことがない。

 ラビットは脅威度1、最弱モンスターである。


 脅威度0は発光苔のように、全く害のないものだ。

 探索において注意の必要なのは1からだが、一太刀でも攻撃が通れば倒せるという1が最弱。


 そんな最弱モンスターからドロップするのはよくて【コモン】である。

 俺が〈ライト〉をドロップしたのは、脅威度3のステップウルフだった。

 初めてみたときは犬型モンスターだと思ったが狼型だった。


 モンスターの名称は最初は適当に呼ばれていたが、《鑑定》スキル持ちにより、名前が確認されるようになった。だがラビットのネーミングをした人はちょっと変だと思う。いや人かどうかは不明だな。

 もしかしてネズミっぽいけどウサギが正解なのか?


 地図系スキルは《マッピング》だけじゃあないけど、これがあるかないかで、ダンジョン探索難易度が下がる、〝パーティーに一つあったら超便利スキル〟ランキング20位内常駐スキルである。


 これを取得すれば俺のスキルは合計三つ、まだ所持枠に余裕はある。

 モンスター討伐経験の全くないレベルアップ前でも、五つのスキルを持てることが証明されている。

 すでに幾らかはレベルが上がっているので、多分もうしこしは持てるはず。


 コモン星1のくせに唯頻繁に取引される《スキル消去》のアイテムがある。これは自分の持つスキルを一つ選択して消せる魔道具マジックアイテムだ。


 これがあるから学校はゴミスキル手前のスクロールを配る。

 ただで配って学生に恩に着せるんだ。


 そんな事情はまあ置いておく。


 俺は《マッピングⅠ》のスクロールを開いて、光の粒子に変えた。



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大和スキル

《ライト》(熟練度のない固定スキル)

《アイテム鑑定Ⅱ》

《マッピングⅠ》



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