第9話 施設と免許

【2020.12.11】お詫び

ミスって下書きに戻ってました。いつから⁉️

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 俺が通う第三迷宮高等専門学校は、程々に都会でそこそこ田舎に近いフィールド型と洞窟型の複合ダンジョンの中にある。

 第三迷高専ダンジョン、もしくは三高ダンジョンと呼ばれており、一階層から三階層までがフィールド型で、一階層に学校の校舎以外にJDDS協会の支部と治療院の建物がある。一般が入れるのは一階層までだ。

 二階層には迷高専の校舎と鍛錬場と呼ばれるグラウンドに工房棟。そして三階層以降が実習場と呼ばれ、学生の探索実習に使用されている。

 二年度の実習はフィールドタイプの三階層と洞窟タイプの四〜六階層までとなっている。

 五階層にはフロアボスが出るのだが、このボス討伐は三年度内に倒すことが進級試験の一つになっている。五階フロアボスを倒せなければ進級できず、三年度終了で卒業させられるのだ。

 ちなみに十階層ボス討伐は四年度の進級試験だ。


 迷高専には探索者育成科意外に、探索者協会職員になりたいものたちが通う普通科と生産職や研究職になるためのサポート科がある。

 普通科やサポート科を卒業したからといって、必ず探索者協会に就職できるわけじゃ無いけど。


 一年度の授業は全科とも共通である。

 迷高専のカリキュラムで一年度は普通科目以外に迷宮学と基礎戦闘訓練体育がある。

 ダンジョンの中で鍛錬を行うと、モンスターを倒さなくとも習熟度がダンジョン外そとで行うよりも良いらしいのだ。

 工房がダンジョン内にあるのも同じ理由だ。


 今や世界中のめぼしい都市には探索者協会があり、制覇済みのフィールド型ダンジョンにはDDSの施設が作られている。


 JDDSはドロップ品の売買以外、迷宮内施設で収益を上げている。

 だから迷高専のように〝学費免除〟なんてできるのだ。まあ優秀な探索者を量産できれば、結局JDDSも潤うので先行投資なところもあるんだろう。


 迷宮内施設の一番の稼ぎ頭は【治療院】だ。

 魔法の【回復系】と言われるスクロールは、現在どこの国でも超高額で取引される。

 レア度【エピック】の星5である《治療》。このスキルの熟練度をあげれば、通常の医療で治せない癌などの病気を治すことができたのだ。当然保険適応外の治療であるため、治療費は高額である。

 熟練度とはそのスキルを使用する上で必要な知識も含まれる。《治療》を使う場合、医学知識があるかないかで効果が変わるのだ。


 ダンジョン発現当初の探索パーティーでは、前衛にソルジャーとタンク、後衛にソーサラーとアーチャー、支援系のスカウトやヒーラーが理想とされていた。

 だが現在ヒーラーはダンジョン探索をしない。

 治療院で治療師として働けば安全に高収入を得られるからだ。さらに医療知識のある医師や看護師の資格持ちが《治療》スキルを使えば効果は言うまでもない。



 免許取得の受験申請はダンジョン外にあるJDDS支部で申請するが、一階層にあるダンジョン内のJDDS支部でもできる。

 

 迷高専では一般試験を受けて免許をとることは禁止されていない。ただ三年度終了時に免許をもらうのだが、その時点でGランクになるため、最低のHから上がるための納税額10万円分が免除されるから受けるやつは少ない。

 少ないだけで毎年一定数いるから受け付けてるんだけどな。


 一級免許があれば開放されているダンジョンなら、どこでも入れるようになる。

 申請および試験は十八歳の誕生日の2週間前から受けることができ、合格すれば誕生日以降に免許を受け取ることができる。

 試験内容はペーパーテストと実技試験という名の戦闘指南。ちなみに二級免許所持者は実技試験免除で、ペーパーテストは授業を真面目に受けているなら落ちることはない。これに落ちるようなら学校で進級できないから。

 日本で二級免許を持っているということは、全国に五校しかない迷高専か、高い費用のかかる私塾に通っている者だけである。


 私塾はJDDSの指導員資格を持った探索者の個人運営なので、金額はピンキリだがどこも馬鹿高い。


 迷高専は全国で五校しかなく、通学できる距離ではないもののために寮がある。俺も実家を離れ寮生活をしているうちの一人だ。

 一般高校と違って五年制だが、一応三年で一般高校卒業資格がもらえるため、三年で卒業することもできる。

 だが迷高専の育成科を三年で卒業したものは〝落ちこぼれ〟と言っているようなもので、自ら吹聴するやつなど皆無だ。


 俺のように進級が危ぶまれる奴が、レベルアップのため一般に混じって免許を取る奴が一定数いるのだ。



 四月二日が誕生日の俺は、春休み中に試験を受け、無事免許証を得てから実家に帰った。

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