第2話 ダンジョンとDDS
199X年、地球の各所にダンジョンが現れた。
当時は世紀末がどうの、ノストラダムスの預言がどうのと騒がれていたせいで、この世界規模の異変は日本人には比較的受け入れ易かったらしい。
爺ちゃんや親父は「すわっ、世紀末滅亡予言が的中?」とか思ったってよく言ってたな。
俺が生まれる前のことだ。
爺ちゃんや親父から聴いた話と、学校で習うことは微妙にズレがあるが大筋は変わらない。歴史ってそんなもんだろう。
世界中で同時多発的にダンジョンが出現した。
面白半分でダンジョンに入った者の多くは帰ってこなかったそうだ。
ダンジョンが現れてからの対応は各国様々だ。
多くの国の政府は警察や軍隊を派遣し、ダンジョンの調査を始めた。
ダンジョンが現れて割とすぐに、ダンジョン内でモンスターを倒すと徐々に身体能力が上ることが知れ渡り、隠れてダンジョンに潜る奴が後を立たなかった。
日本では自衛隊や機動隊が銃器を使用していたため、この効果は国より民間の方が先に知ることになる。
なぜか銃や爆弾などを使った攻撃ではほとんど能力上昇の効果がなく、近接武器や肉弾戦により倒すことでその効果が得られるという謎構造だった。
弓や投擲は人力と判断されるのかこれも有効なのはさらに謎だ。
まだ【探索者協会】がなかった頃、【探索者】として力をつけたもの達がとある事件を起こしたのだが、まあそれは置いておく。
そんな事件や、ダンジョンから帰ってこない民間人が増加したことで、日本政府は自衛隊と機動隊のみをいくつかのダンジョンに入れ、他のダンジョンは封鎖した。
このことが災いしダンジョン発生から数年後、日本だけでなく世界中の封鎖や放置していたダンジョンが【スタンピード】を起こした。
ダンジョンからモンスターが溢れ出し、人や街を襲ったのだ。
このことからダンジョンはモンスターを間引かなければ【スタンピード】を起こすことが世界中に知れ渡った。
放置ダンジョンが【スタンピード】を起こすタイミングは、同時ではなかったため、日本では慌てて多くのダンジョンに自衛隊を派遣した。
また、山の中や人の少ない土地で、発見されていないダンジョンがいくつもあった事を、多くの犠牲を払って人々は知ることになる。
日本政府は自衛隊や警察だけでは対応仕切れず、ついに一般市民から有志を募ることにした。
他国に遅れてだが、すでに一般人を探索者としてをダンジョンに送り込んでいた国を参考に、日本にも【
【スタンピード】発生直後に国連主導の元、現在の【国際探索者協会】の前身である【国際迷宮機構】ーInternational Dungeon Development organizationーIDDOが設立された。
日本政府もこれに加盟し、【迷宮探索者】を管理するために【探索者協会】を作り上げた。
この【探索者協会】がのちに【国際迷宮機構】と統合し、現在の【国際迷宮探索者協会】ーInternational Dungeon Diver society ーIDDSとなった。
IDDS加盟国では各国の【探索者協会】は国の政治機構とは一応切り離された組織となり、国の枠を超えて世界規模の迷宮組織となった。
日本はIDDSに加盟時、元々あったダンジョン関係の組織を吸収する形で組織が新たに設立された。【日本探索者協会】ーJapan Dungeon Diver society ーJDDSは現在迷宮管理から探索者までを一括で管理している。探索者のライセンス発行もDDSの管轄だ。
日本で有効なライセンスは三種類ある。
一つ目はIDDSが発行する【国際探索者資格】だ。IDDS加盟国のダンジョンならどこでも入れる。いやどこでもではないか。ダンジョンに設定された探索者ランク以上で、各国のDDSが一般に開放しているダンジョンなら、と言う注釈つきだ。
【国際探索者資格】は20歳以上で探索者ランクD以上でなければ日本では取ることができない。
残り二つはJDDSが発行するライセンスだが、JDDSライセンスは16歳以上から取得できる二級免許と、18歳以上から取得できる一級免許がある。
この年齢制限に関してはIDDSの【迷宮指標】に記されている。
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