第陸人『喧嘩するほど』

「しッかし本当に君は似合わないなぁ?」

「るせぇ! てめぇみてぇなのに言われたくねぇわ!」

「ボクはてめぇッて名前コードネームじゃあ無いよ? アホなのかい?」

「あ"ぁ"!? 誰がアホだおいこら!」

「当然君以外には居ないよね〜? ほらほらちゃんと前を見ないと危ないよ、アホ不良くん?」

「アホアホ言うなッ!!!」


ブラッド』が運転中の『ハンズ』を揶揄からかいシートを挟んで喧嘩している。

眼球アイズ』と『ネクロ』はいつもの事なのかそれぞれ好きな事に勤しんでいる。

眼球アイズ』は目玉の入った瓶を眺めてるし、『ネクロ』はスマホを操作してブログを読んでいる。

そうこうしているうちに晩餐会パーティ会場に着いたのか豪奢な建物の前で車が止まる。


「あぁ着いたね〜?」

「今回は新人ルーキーは居るのかしらね?」

「居るじゃないか、此処に一人?」

「そいやてめぇ誰だ?」

「遅いよ『ハンズ』。それに彼に失礼だろう?」

「流石アホ不良くんだね〜。」

「アホ言うな!」

「『名無しノー・ネーム』だと誤解されるでしょうから、仮の名前付けましょうか。『心臓ハート』、でどうかしら?」

「『心臓ハート』、ですか…。」


少年ブラッド不良ハンズが睨み合う。

眼球アイズ』は笑ッて目玉の入った瓶を揺らして眺めているし、俺は『ネクロ』の付けた仮名かりなに少々困惑していた。


「嫌、かしら? 良いと思うのだけど……。」

「ボクは良いと思うよ〜と同じだしね?」

「吾も賛成かな、良いと思う。」

新人ルーキーにゃ荷が重い名前コードネームだな。」

「ぇ、えぇ……?」


少年ブラッドがにッこりと笑ッた。俺は『あ、死亡フラグ来た』と思ッた。この笑顔の時は良からぬ事しか頭の中に無い時だ。

ブラッド』が不気味で意味深な笑顔で言ッた。


「じゃ、宜しくね? 『心臓ハート』くん?」










……やッぱり俺の選択肢は初めから無いらしかッた。

俺の名前コードネームはどうやら『名無しノー・ネーム』から『心臓ハート』に格上げされたらしかッた。

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