23.悪役令嬢物の原作について
さて、前回は悪役令嬢物にどんな要素があるのかをまとめました。今回からは一つずつ深堀していきたいと思います。
まずは、原作について。
こちらはテンプレートがあるかのように大枠が同じことが多いです。
曰く、原作の主人公は成り上がりの弱小貴族、もしくは平民。つまりは身分的に弱者でスタートします。何らかの事情で貴族の学校に通ったりして貴族社会に身を置くこととなった主人公が何故か身分的強者に見初められるというストーリー。強者は王族であったり、高位貴族であったりします。なので、婚約者やそれに準ずるライバルがいます。このライバルが、やはり身分的強者。主人公の存在が面白くない、という背景があるから、嫌がらせをしていく、と。
このライバルが悪役令嬢物で言う悪役令嬢です。
更に言えば、結末は主人公と身分的強者が結ばれる訳ですから、この悪役令嬢は物語から排除されるのです。その排除は身分追放や恥をかく、程度から生命の危機まで様々です。この程度の差はライバルの嫌がらせ度合いや原作の雰囲気等によって変化していきます。
仔細こそ異なれど、大まかな原作の流れとしてはこの辺りでしょう。
ここでの着目点は「原作主人公は身分的弱者である」と言う点です。ヒーローと主人公が身分的に釣り合っていれば何の問題もなく、主人公の方が始めから身分的強者であればその身分を捨てるかどうかの葛藤こそあれども悪役令嬢の存在は必須ではありません。
どのように弱者が強者の集まりに入り込むか、それさえ決まってしまえば、弱者である主人公はその集まりにおいては「異物」と見なされる訳ですから、その後の展開はお約束に則って進めばいいのです。
正に主人公のシンデレラストーリーです。
さて、物語の大まかな流れというのはおさらいできたかと思います。
では、この原作の出典はどこなのでしょうか。
VRMMOはきっと難しいでしょう。自分以外も全てが主人公となるので、誰も悪役にはなり得なそうです。
では少年漫画? こちらはシンデレラストーリーよりも、自力で成り上がる方がウケるかと思います。
スマホアプリ等のゲームであれば、あり得るでしょう。また、少女漫画や恋愛小説でもありそうです。
シンデレラストーリーと成り上がり物の違いについては簡単です。受動的か能動的かの違いです。たとえば貧民が王族の養子になった、ならシンデレラストーリーですが、貧民が国に革命を起こして王となった、なら成り上がり物です。
これは主人公に何らかの力があって、とか主人公の血筋が実は、であっても同じです。その力や血筋を使って主人公が自ら強者となればシンデレラストーリーではなくなりますが、その時点で原作が破綻しない程に作り込んでいる原作ありきの悪役令嬢物、いっそ読んでみたいです。
原作はあくまで悪役令嬢物における舞台装置ですから、そこまで作り込まれないことの方が多いのではないでしょうか。
私個人で言えば、恐らくそこまで原作を作り込んでしまえばその原作をテキスト化していきたくなりそうです。
作りこまれた「原作」は原作として小説を書き、そこに転移した主人公は別途書く、なんて手法も面白そうですが、実際にそれをやろうとすると2作同時に考えていくことになるので、私はできません。どなたかやっていたら読んでみたいです。
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