紅き追憶の欠片③
帝国オルタレスが全世界へと宣戦布告をした。
当時の皇帝には既に世界の王になる自身を幻視していた。
少年は剣を抜き皇帝を斬る決意をした。
少年の<業火の剣>の力をもってすれば皇帝を斬ることなど容易い。
そう考えていた。
少年は与えられていた自室を抜け出し玉座へと向かった。
自身の罪であり剣を解放して。
玉座に座る皇帝にアシスは斬りかかった。
だが少年は皇帝を斬れなかった。
斬らなかったのではない“斬れなかった”のだ。
魔術師に止められたのだ。
正確に言うと剣に止められた。
皇帝は少年がいつか裏切りをすると確信していた。
簡単に力を貸すわけがないし“多大な力をもってすれば制圧することも簡単だ”と考えることも分かっていた。
分かっているのならば対策を講じればいい。
当時、少年の左腕には刻印として封印されている業火の剣がある。
少年の血によって描かれた刻印には次の様な条件が設定されていた。
1・解印、封印は自身の血によって行う
2・無抵抗の人間を傷つけることが出来ない
という安易な物だった。
安易過ぎる故に強力だった。
そのカラクリを知っていたからこそ皇帝はアシスに対し無抵抗を貫いた。
しかし無抵抗にも条件がある。
そのうち一番重要なのは“逃げる行為も抵抗に加わる”だ。
これはアシスを兵器として扱う帝国が他国に対して逃げ道をなくすために設定されている。
アシスは賢王であり愚王だった皇帝に縛られ続けた。
──しかし賢王はオルタレス皇帝だけではなかった
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