予選二日目③

予選二日目も終盤に差し迫った。

アシスは渡り火をマスターした。

やはり実戦練習は効果があったのだ。

自身が少し成長したことを嬉しく思う。


そして今、時間的に最後であろう試合をしていた。


「荒れ狂う風に乗れ、我が示す刃よ」

対戦相手の少女が鎌鼬を放ってくる。

鎌鼬の使い手であるバライグを倒したアシスに対して鎌鼬はある意味愚策だ。


この少女が放つ鎌鼬は当てることしか考えられていなかった。

バライグは逃げ道を封じ必中の状況を 作り出す のだ。

これが経験の差なのかと思う。



アシスは渡り火を使いあっさりと勝利を修めた。



アシスは残り時間が僅かだったため周りを観察することにした。


ふと不思議な光景を目にする。


──二対二の試合をしていた


推測だがそれぞれで試合をし、その途中で故意にタッグマッチにしたのだろう。

勝王杯の試合でも協力してはいけないと明記されてはいない(そもそもトーナメントなので協力することが出来ない)

確かにルール違反はしていない。

認められているのか?と考えるが審判が止めていない所を見るとどうやら認められているらしい。


試合は一方的だった。

何せ兄弟対初対面だからだ。

何故そう判断出来たのかはその試合を見れば分かる。


見た目がかなり似ている二人は動きが整っている。

無駄が無く、コンビネーション技も毎回成功。

この二人はかなりコンビネーションを鍛えていると一目でわかった。


対して対戦相手の二人組は


正直、二人組と言って良いのかアシスは迷った。


それはもう見事に噛み合っていなかった。

少なくとも同じクラスならば最低でもどんな戦い方をするかは知ることになる。

ならばコンビネーションも少しはできる。

だかこの二人は互いの戦い方を知らないうえに兄弟の作る罠に罠だと気づかず味方の邪魔だと考える。

悪循環にも程があった。


その試合の結果は語るまでもない。



アシスはこの兄弟に要注意と心にメモをしその場を立ち去る。


鐘の音が二日目の終わりを告げる。


二日目終了時

アシス 45個 暫定15位

レイナ 50個 確定4位

レルド 32個 暫定41位

ライン 45個 暫定15位

マルトネ 50個 確定6位


という結果となった。

明日、上位12名が確定する。

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