予選一日目②

オオオォォォー!!!


開始と同時に男子も女子も関係無く雄叫びをあげ走り出す。

勝つスピードと対戦相手を選ぶ時間を短くし予選突破へ望みをかけるのは分かる。(そのような意図が無い人も居るだろうが)


しかしアシスはソフィに散歩を楽しめと指示(アドバイス?)を受けているため走り出すことはしなかった。


「おい!お前!俺と勝負しろ!」

アシスにそう告げたのは見ず知らずの少年。

「ああ、やろうか!」

大事な初戦だが今日は勝ちよりも渡り火の練習に充てる予定だ。(勿論勝ちには行くが)



「試合開始!」

B組のハマロと言うらしい。

ハマロはいきなりアシスへと一直線に駆けてきた。

何か策が有るのかは知らないがそんなことを考える暇は無いみたいだ。(案外それが狙いなのかもしれない)

「喰らえ!!」

ハマロは身体に似合わない大剣を振りかぶる。

威勢は良いが実力が伴ってない気がすると失礼なことを思っていた。

だがこれはチャンスだ。

赤子扱いが出来る相手(既に自信はある)ならば新しい技を実験することは簡単だ。

ならばこれを利用しない手はない。

アシスは渡り火を使うためにイメージする。


───渡り火は極少の魔法陣しか出来ん。

故に相手には気づかれ辛いのが強みじゃ。

イメージ発動はあくまで省略型、魔法式を、そして詠唱を使わずに魔法を使うことに渡り火の意味がある。


そして

渡り火は発動し

アシスはハマロの真後ろに転移

標的を見失ったハマロは立ち止まり

アシスはその後ろ姿に剣を突きつけ

勝利条件を満たす。


「勝者、アシス!」


「は?」

急に試合が終わったことに驚くハマロ。

審判に歩み寄るアシス。

アシスは審判から二つの校章(アシスとハマロの賭けた校章)を受け取る。

「ありがとうございました」

とハマロに一礼する。

これでアシスは十一の校章を手にいれたことになる。

一発での成功、これは幸先が良いとアシスは思った。

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