予選に向け②

「ついに予選内容が貼り出されたな」

と話題の提供をするライン。

「腕がなるぜぇー!!」

と骨を鳴らすレルド。

「ああ、そうだな!」

そして気合いを入れる様に頷くアシス。

「開催期間は八の月中旬の十日間か…」

要項に目を通したアシスが呟く。

「ああ、先輩が言うには早い者は一日で決めるそうだ。殆どは五日で決まるらしい。」

「こりゃうかうかしてられないぜ」

とレルドが言う。

アシスもこれに同感だった。

早めに決着が着くと聞き急がねばという意識が出来る。

開催期間中に知り手遅れにならなくて良かったと胸を撫で下ろす。


休み時間が終わりに近づき制服のまま闘技場へと向かう。

その日の演習の授業は闘技祭についての説明で潰れてしまった。(制服のままなのはそのため)


──放課後──

友人達が寮に帰っていく中、アシスは恒例となっている課外授業(魔法理論)を担任のマレイヤ先生にしてもらおうと職員室へと向かっていた。

「今日から課外は図書室へと向かってください」

と開口一番そう言われアシスは図書室へ向かおうとする。

しかしマレイヤ先生が課外の準備もしていないことに気付く。

「…マレイヤ先生、準備してないんですか?」

課外をしてもらっている立場なので文句は言えないのだが気になることはどうしても気になってしまう。

「ええ、今後の課外は司書の先生にお願いしています。」

「えっ?」

急なことだ驚くのも無理はない。


職員室を出たアシスはそのまま図書室へと向かう。

実はアシスは焦っていた。

レイナとの決闘で魔法抜きで試合を勝ち抜くのは厳しいと分かった。

未だにアシスは魔法と呼べるレベルでの魔法が使えない。

せめて予選前に一つは身に付けたいと思っていた。


そうこうしている間に図書室に着く。


「…失礼します」


放課後で今は司書以外誰も居ない(南園では休み時間のみの利用しか認められていない)

なんだか新鮮な気分で辺りを見回すと


「ここは初めてか?小僧」

「!?」

誰も居ない所から声がきこえた。

不思議に思い再度周りを見回すがそれらしき人物は居ない。

「ここは放課後の利用はできないのじゃ。日を改めよ」

「あの…マレイヤ先生にここへ向かうようにと指示されたので」

「おお!件の小僧か!すまんのう、気付かんで」

「い…いえ」

未だに姿の見えない相手に曖昧な返事をすることしか出来ないアシスだった。


その様子を見て悟ったのか

「おお、すまんすまん」

ポンと音をたててアシスの目の前で空中に座った体勢で浮かんでいた。


「ようこそ!図書室へ、司書を任されておるソフィアじゃ」


アシスは癖のある司書だと思わずにはいられなかった。

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