決闘の後

レイナとの戦闘が終わったその後


アシスは闘技場の裏に呼ばれていた。

呼んだ相手はあのレイナ。

(流石に告白という勘違いは無かった)

未だにギクシャクした関係なのだが呼ばれるとはどういう風の吹き回しか

と呑気に考えていたアシスはゆっくりとだが歩みを進めていた。


勝てなかった

それが事実で事実以上の物は無い。

本当は勝っていたなどただの負け惜しみ。

逆に自分が未熟であるという立派な理由になる。


どんな物にもルールは存在する。

実戦でも模擬試合でもそれぞれのルールというものが定められる。

平等に与えられたルールで勝てなかったのならば未熟以外の何物でもない。


今日の試合で言うならば制限時間に間に合うよう早く見切れば良かった。

それに時間をかけたのは紛れもなくアシス自身であり本人の責任である。


そう、アシスはかなり堪えていた。


同時に期待もしていた。


この学園で様々なことを学び今よりも強いと言える自分に成りたい。

今日の試合のことを忘れずに取り組んでいきたいと決意する。


「…そのためにも魔法理論…頑張ろ…」

現実問題、一番不味いものの対策をどうしようかと悩み始めたその時アシスは目的地に着く。


そこには

呼び出した当の本人、レイナが立っていた。


──

一方待っていたレイナは今日の試合を

振り返っていた。

完全に負けた。

結果は引き分け。

だが本来なら負けていたということはレイナが一番理解している。

初めて負けた。

神器使いにしか負けないと思っていた。

だがこうして神器を使わずに押されてしまった。

何が悪かったのか。

考えが纏まらず四苦八苦している間に待ち人が来た。


「待たせたか?」

「…待ってない」

何ともまあ

デートの待ち合わせみたいな会話の入口だ。(当人達は理解していないが)

「…んで?」

「……」

アシスがレイナに用件を促すがレイナは黙ったままだ。

そこから暫く時間がたつ。

「……認めるわよ」

そしてレイナがついに口を開いた。

「…?」

いまいち良くわかっていないアシス。

「あんたが強いってことを認めるわよ!!!」

はっきりと明言されて何が言いたいのかを理解する。

「…ああ、その事なんだけど」

「…何よ」

「誤解なんだ…」

「は?」

やはりあの二人は説明してくれていなかったか。

「実は──」

ことの成り行きをレイナに説明する。

「…ってことは全部私の勘違いによる暴走ってわけ!?」

「…そういうことに…なる」


レイナは今日一番の羞恥心で走っていった。

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