クラス1との決闘④

もう後戻りは出来ない。

覚悟を決めレイナとの模擬戦を続行すると宣言する。

「じゃあここで朽ち果てなさい!」

どうやらレイナには舐められてると受け取られてしまったようだ。

<絶えぬ刀剣>がアシスを襲う。

一度に八本の神器がアシスを切り裂こうと超速で一直線に向かってくる。


まずは考えろ


この状況を打破するための策を


絶対に何かある


───完璧なんて何処にも存在しないさ


八本の剣をいなし避けることで辛うじてだがさばききる。

八本の剣はアシスを通りすぎると消滅する。

そしてレイナの周りからまた新たに八本の剣が現れる。


「くっ!名前の通り一品物じゃなく無限なのか!」

今、分かっている情報の整理だ


1、あの<神器>は一度に八本しか顕現出来ない(あくまで仮定)


2、<絶えぬ刀剣>発動中は他の魔法との併用ができない(蟻地獄との組合せでもうアシスは終わっている)


3、どうやら<絶えぬ刀剣>は手練れの腕を記憶している類いの物ではない(でなければ真っ直ぐ飛んで来ないうえにその腕に頼るだろう)


今わかるこの三つの条件でもしやという推測が出来る。

罠の可能性もある。

だが起死回生の一手を持っていないが故にその推測に運命を委ねるしかない。


八本の猛撃に出来るほんの一瞬の隙を突き

一か八か

アシスはレイナに向かって駆ける。


「くっ…!」

一方レイナは<絶えぬ刀剣>を発動させてから逆に焦っていた。

当たらない

アシスに放った<絶えぬ刀剣>の全てはいなすか避けられてしまう。

当たるイメージが出来ない。

アシスの持つ剣にすら納得のいく当たりをしていない。

そう全て見切られている。

「…嘘でしょ!?」


クラスメイトたちは<絶えぬ刀剣>を発動させた瞬間、降参している。(粘る者もいたが勝っている)

そこまで神器というのは絶対的な力を持つ。

故に発動出来るだけで超が付くほどの実力者とされる。

なのにアシスは降参しないうえにここまで粘っている。

レイナはその事実を信じたくないとまで思い始めていた。

そして突然アシスが<絶えぬ刀剣>の包囲を抜けこちらに駆けてくる。

「なっ!?」

これも予想外のこと。

アシスが火球を放つ。

<絶えぬ刀剣>を一度消滅させて八本の剣を重ね盾とする。

完全な悪手だった。


アシスの推論はこうだ。

レイナは魔法を得意とする人間だ。

故に剣は得意でない。

そして<絶えぬ刀剣>にはさまざまな制約がある。

ならばやることは簡単。

規則性を見極め一瞬を突き包囲さえ抜け近接戦闘に持ち込めば倒せる。


そしてその予想はピタリと当たり

今まさにアシスの思い通りにレイナは動いている。

八本の剣による盾でレイナの視界にアシスは写っていない。

このチャンスを逃さないとばかりに一気に距離を詰める。


貰った!


そう確信し剣を突き付けようとすると


「そこまで!!」


「「えっ?」」

これはある意味当然の反応。

どちらも勝利条件を満たしていない。

と言うことは…


「制限時間が来たわ。引き分けよ。」


引き…分け…

勝てなかった

この事実がアシスに襲いかかる。

俺もまだ未熟だな…


激しく痛感させられたアシスだった。


アシスの戦績

0勝0敗1分


レイナの戦績

38勝0敗1分


アシスの初戦、クラス1との決闘は引き分けで幕切れとなった。

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