クラス1との決闘③

「双方準備はいいか?」

アシスと対戦相手の少女が頷く。


「始め!!」


戦いの火蓋が切って落とされる。


どうしてこうなった…


───授業直前

動きやすい実習用の服に着替えレルドとラインと共に学園闘技場1へと向かう。(学園内には九つの闘技場がある。)


「次は模擬試合の授業だが対戦相手は決めているのか?」

というラインの問いかけに

「対戦相手を決めれるの?」

つい先程ランキングシステムを知ったものの未だに無知に近い状態のアシスが問う。

「そう言えば説明していなかったな」

悪いと謝る辺りラインは律儀である。

「双方の意思が有れば基本的には自由だ。

細かい説明は生徒手帳に目を通せば分かるだろう。」

ラインの説明が終わると同時に

「んで、誰と戦いたい?俺とか?ハハ」

レルドが話を戻す。

「これと言って俺の希望は無いかな…」


「誰でも良いや」


…………ピクッ


「誰でも良い、ですって?」


「「!?」」

急に後ろから発せられた声に驚き三人とも振り返る。

そこには演習着を着た少女がわなわなと震えながら立っていた。

「自分は勝王杯を制したから誰が相手でも勝てるですって!?」

「ちょっ!?そこまで言」

「<灼剣>のアシス!」

言葉を遮られ急に名前を言われたアシスは

「はいっ!」

ただ勢い良く返事をするしか出来なかった。


「そこまで言うのならクラスランキング1位のレイナ・パロトリカが貴方に決闘を申込みます!」


「は?」

これは完全な誤解だ。

話をしていたラインとレルドに誤解をといてもらおうと視線を向けると

「ハハ!おもしろいことになったな!」

「頑張れ!レイナはかなりの実力者だぞ!」


うっ裏切り者ー!!


というアシスの言葉が響いた。


────


そして今に至る。


こうなってしまったら仕方がない。

やるからにはしっかり勝ちに行く。


灼剣と呼ばれる所以となる剣に炎を纏わせるスタイルで眼前のレイナに焦点をあわせる。

レイナもどうやら剣の使い手らしい。


どんな戦い方をするか分からなければ動きを予測することも不可能。

故にアシスは初対戦の時は基本的に守りの動きをする。

レイナがアシスに向かって駆けながら魔法を行使する。


行使した魔法は<砂地獄>

アシスの足元が飲み込まれる。


「くっ…!」

ここで攻め込まれると対応が遅れるだろう。

だがおかしなことに攻めてこない。

不思議に思い足を開放させレイナを見ると


「…………………」

呟いていた


嫌な予感がしたアシスは全力で距離を詰める。


「…………………」


もしこれがアシスの予想通りなら絶体絶命の状況になる。

間に合え!と念じるも



「……無限の刃となれ!


<絶えぬ刀剣グラディウス>ッ!!」


予想はアシスを嘲笑う様に当たり

絶望的状況になる。


「<神器ラトルム>だとっ!?」

八本の刀剣を浮遊させているレイナは

「これでもまだ貴方はまだ勝てると言える?」

値踏みするように問う。

「さあね…」

こんな相手でも弱点はあるはず

それさえ見切れれば勝てるかどうか…

──教えて!貴方の全てを!


………


──約束を守れると誓うか?


………


アシスは迷いを、自信の愚かさを断ち切るように叫ぶ。


「勝てるかどうかじゃない!勝つんだ!!」

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