クラス1との決闘②
授業終了の鐘が鳴る。
アシスにとって初めての授業が終わった。
科目は「魔法理論」
ノートに写すことはできた。
しかし一つも理解できなかった。
予想していたことだ、三ヶ月も遅れているのである。
それにアシスは魔法が得意ではない。
勝王杯で使ったのも火球を放つ程度の物だ。
大魔法使いレベルになると瞬間移動や天災を生む魔法も使えるらしい。
後で始めから独学で頑張ろう…
と考え休み時間に入ろうとするが
回りに10人位の人が居た。
別に不思議なことではない。
ちょっとした有名人の転入生というだけで十分説明がつく。
(転入直後の生徒に人が群がるのはどこでもあることだ。)
挨拶や質問攻めをされることは一人、二人位ならまだしもこの人数でされると流石に困る。
レルドに事態の収集を頼もうとするが
「はいはい、落ち着いた落ち着いた。転入生が困ってるだろ?」
とレルドとは別の男子生徒が回りに呼びかける。
「あぁラインの言う通りだな」
「ごめんね」
「いやいや」とこれまたテンプレで返してしまったことに内心傷つきながら(テンプレで恥じることは何も無いのだが)
「ありがとう、ライン君」
ラインと呼ばれた生徒に礼を言う。
「どういたしまして。授業はどうだい?着いて行けそうかい?」
「さっぱり分からないんだよなあ」
とアシスは笑いながら返すが正直な所、笑えるレベルではないことを自覚していた。
「残念ながら俺は俺の都合で手伝えないがマレイヤ先生なら丁寧に教えてくれるだろう」
「貴重な情報、ありがとう」
「礼はいい、それより、もし他に分からないことがあったら何時でも聞いてくれ」
「じゃあ御言葉に甘えて今、聞いても良い?」
「ああ」
快く引き受けてくれたのは本当に有り難い。
「この学園のシステムについて教えてくれると助かるんだけど」
それは知らなければ不味いことの筆頭に上がるものだ。
こんな早くから知れるのならばさっさと知っておきたい。
「そうだな…時間が無いから手短に。外部公開されている情報は知っているのだろう?」
「ああ」
「この学園は魔法を含めた戦闘技能の育成の場だ。
そしてここではただ極めるだけでは意味が無い。
お前が優勝した勝王杯のルールと同じ試合形式のランキングを重視している。
ランキングが高いほど優遇される。
いわゆるランキング至上主義だな。
そしてランキングにはクラスランキングと学園内ランキング、そして全園ランキングの三つが存在する」
「最初の二つのランキングはわかるけど全園ランキングって?」
「八園闘技祭に出場した選手に与えられるランキングだ」
成る程と納得しつつ動作で続きを促す。
「そしてクラスランキングを上げるためには授業や個人で行われる模擬試合、学園ランキングを上げるためには定期的に開催されるトーナメントで勝ち上がるしかない。
以上がこの学園のランキングシステムだ」
どうやら強さこそ正義!らしい。
「じゃあ俺の学園ランキングは?」
「そりゃスコアがゼロだからな。勿論学園ランキングは最下位の481だ」
うん!やっぱり!
ラインの説明を受け
次の授業である「戦闘演習」の準備をする。
この授業で面倒なことになるとは誰にも予想はできなかった。
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