星の森
人といると、本当に落ち着かない。
そう思いながらも、ヴィーヴォは男たちに連れられ集落に続く山道を歩いていた。ヴィーヴォが歩くたび、周囲の木々が
死んだ人の魂は星となって空を
それを知っているから星たちは花になることを望まない。森に
そんな星たちに、ヴィーヴォは心の中でおいでと声をかける。その呼びかけに応じるようにヴィーヴォの眼に宿る
花吐きの力は眼に宿る。花吐きたちは眼に星となった魂を留め、
ヴィーヴォの呼びかけに応じて、輝きを放ちながら星がヴィーヴォの眼の中へと吸い込込まれていく。
「本当に、人間なのか……?」
後方で小さな声が聞こえて、ヴィーヴォは苦笑を
彼らにとって自分は人間ではない。だから、自分はここに来ても神様のように
ヴェーロの卵が落ちてくるまで、自分はずっと
「あの……こちらです……」
我に返って、ヴィーヴォは彼を見つめていた。
道が途切れ、前方に小さな家が建っていた。
「星があそこにいるんですね……」」
「放してしまうと、どこかにいってしまいますから……」
男が答える。振り向いてみると、彼は悲しげに眼を伏せていた。
「花吐きさま……。灯花になった命は、どこへ行くのでしょうか?」
眼を細め、男は自身の手首を強く握ってみせる。その声がかすかに震えていることに気がつき、ヴィーヴォは男に優しく声をかけていた。
「それは命が決めることです。だから、僕らはただ見守ればいい。命はきっと自分を想う人の側にいたいと思うから……」
男が顔をあげる。彼は驚いた様子で眼を見開き、ヴィーヴォを見つめてきた。そんな男にヴィーヴォは微笑んでみせる。
「ありがとうござます……花吐きさま」
人の優しさにふれるたび、ヴィーヴォは不思議な感覚を味わう。まるで、ヴェーロの体を抱きしめているような心地よさを感じてしまうのだ。
自分自身に、その優しさを向けてくれる人はいなかったのに――
「彼女の、お陰かな……」
きゅんと愛らしい恋人の鳴き声が
「素敵な歌をうたわせていただきます。亡くなったあなたの大切な人のために――」
笑顔を浮かべるヴィーヴォに、男は微笑みを返してくれる。
だが、ヴィーヴォは気がつかなかった。
その男の笑みが、ひどく悲しげなものだということに。
自分たちを森の暗がりから、
ヴィーヴォを見つめるそれらは、不気味な羽音をたてながら森の中に
ヴィーヴォと男は木製の扉を開け、家の中へと入っていく。
それを見計らったように、それらは森から抜け出ていた。
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