第21話 想い

「楠、余計なことを小町ちゃんに言うなよ。」

なんだか、いつもより乱暴な雰囲気の真南斗先輩。

「申し訳ありません、真南斗様。」

「あ、いや、ごめん、強く言いすぎた。」

でもそれは一瞬のことで、真南斗先輩はすぐに楠さんに謝った。

「彩と小町ちゃんも、いきなりごめんね。」

「え!?いえ、こちらこそ、何か余計なこと聞いちゃってすみません!!」

なんで、真南斗先輩が謝ってるの??

「でも、いきなり怒ったりして、ビックリさせたよね?ごめん!」

えええ、頭を下げないでください!

「真南斗君、小町も私も気にしてないから、というか頭下げられる方が嫌よ。」

お姉ちゃん、はっきり言ったね...

「!?」

真南斗先輩もこの世の終わりみたいな顔してる...

よっぽどお姉ちゃんに嫌って言われたのがショックなんですね...

「小町ちゃん、嫌だった!?」

「へ!?あ、えと、頭を下げられるのはちょっと嫌だったかもしれないです...?」

「!?!?ごめんね!!」

なんで私に聞くんですか...!?そしてなんで私に謝るんですか!!

お姉ちゃんに直接聞けばいいじゃないですか!

「小町さん、彩さん、そろそろまいりましょうか。」

「はい。」

楠さんもお姉ちゃんもマイペースか!!

え、これつっこむのやめて良い!?疲れたよ...

「ほら小町、行こう?」

あ、これもうお姉ちゃんについてこう。うん、そうしよう。

「ほんとにごめんね!だから嫌わないで!!」

後ろからすごいセリフが聞こえてきた...

ほんとにお姉ちゃんに嫌われたくないんだ、真南斗先輩...ん?チクッ??なんか...胸のあたりが、チクッて...なんだろう...?

「小町??どうしたの?」

あ、いつの間にか止まってたみたい。お姉ちゃん達がちょっと先で待ってくれてる。

「...ううん。なんでもないよ!!」

「そう?それならいいけど...なにかあったらすぐに言ってね??」

「もう!大丈夫だってば。心配性だなぁ、お姉ちゃんは。」

うん。ほんとに大丈夫。もうなんともないもんね!

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