第15話 真南斗先輩って...(前編)
えー、と、これはどういう状態でしょうか?
「ねぇ、小町!今日は一緒にお風呂はいろーね?」
「え、ずるい。」
「真南斗くーん、心の声が聞こえてるけど、一緒に入らせなんてしないからね?」
「でも、彩だけ一緒とかずるい...」
という会話が両隣から私をはさんで繰り広げられている。
―――10分前
「よし!準備できたし、行こっか!!」
「うん。真南斗先輩、お願いします。」
「はーい。じゃあ、出発!」
真南斗先輩のお家の車だと思ってた、家の前に停まってた車は、真南斗先輩専用の車らしい...
お兄さんにも専用の車があるってどれだけお金持ちなんだろう...
「小町ちゃん、段差気を付けてね。」
「あ、はい。」
中に入るとシートがコの字型になってて、真ん中にちょっとしたテーブルがある。
...あれ...これって...いわゆる...リムジンってやつでは!?
「わー!すごいねー、リムジンなんて初めて乗ったよー!!」
姉よ、極普通にはしゃいでおられますが、庶民としてその反応はどうなの!?
「彩が初めてってことは、小町ちゃんも初めて?」
?あ、そっか。こんな可愛いお姉ちゃんが乗ったことなくて私が乗ってるわけないもんね。
「あ、今、なんか勘違いした!?」
「??いえ、なにも勘違いなんしてないですよ?」
「ちょっと、真南斗君?今の発言、私が乗ってなかったら当然小町も乗ったことないみたいな言い方だったよ??」
わぁ、お姉さま、素敵な笑顔...ダメだ。私のテンションがおかしい。
「違う違う!!彩なら、自分が乗ったら小町ちゃんも乗せてあげるはずだからって意味で...!」
別に言い訳しなくても良いんですよ?
あっ、私のこと蔑ろにしたら、お姉ちゃんに怒られるもんね!なるほど...真南斗先輩、考えてるなぁ...!!
「あれ?小町ちゃん??」
「はい、なんですか?」
「なんでそんなにスッキリした顔してるのカナー?」
「へ?」
スッキリした顔してるかな?
「...絶対伝わってない...」
「え?」
何か呟いてガックリと項垂れた真南斗先輩に聞き返してみたけど返事はなかったなぁ、なんでだろ?
「と、ところでさ!いつ出発するの?」
「へ?あー、そろそろ出発しようか、楠!」
「はい、畏まりました。」
いつのまに!?
あ、お姉ちゃんも同じ顔してる。まぁ、お姉ちゃんはそんな顔してても可愛いんだよね。
「よし、小町ちゃん、こっちおいで。」
と言って真南斗先輩が指した場所はとても広い車内なのにまさかの真南斗先輩の隣。
「いや、もっと空いてますし、あっちの隅っこで良いです。」
「え!」
いや、なんでそんなしょんぼりするんですか。
「あ、じゃあ、小町の隣にす~わろっ!」
そして逆にお姉ちゃんはなんでそんなに嬉しそうなの。
「お姉ちゃんこそ真南斗先輩の隣に座ればいいんじゃない?」
「「え!?」」
「やだよ!」
お姉ちゃん...
「俺は小町ちゃんの隣が良いなって...」
う、そんなしょぼんってした顔されたらダメって強く言えない...
「ダメよ!小町の隣は私のもの!!」
お姉ちゃん...幼稚園児みたいなことを...
一向に真南斗先輩のお家へ向かえません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます