第16話 真南斗先輩って...(後編)

もう!これじゃいつまでたっても真南斗先輩のお家に行けないよ??

「お姉ちゃん!幼稚園児みたいなこと言わないの!!」

「だって!!」

「あの...僭越ながら、わたくしの意見を言わせていただいて宜しいですか?」

!?

まただ、楠さん?は神出鬼没だ...

「なに?」

「真南斗様と、彩様が、小町様のお隣に座りたいのなら、奥の席に3人で並んでお座りになられたらどうでしょうか...」

私とお姉ちゃんまで様付けされてる...!!

「あの、楠さん。」

「はい、なんなりと。」

「意見、ありがとうございます。あと、様付けは慣れないので止めてもらえませんか?」

「...ですが、それが私共の仕事なので...」

やっぱりダメかぁ。

「っ!楠!」

「はい。」

「小町ちゃんが様付けを止めて欲しいってたのんでるから止めろ。」

ふぇ?

「ですが、」

「いいから!」

「...はい、畏まりました。では、小町様、ではなく小町さんとお呼びしても?」

「え、あ、はい。あの、なんか、ごめんなさい。お仕事だったのに...」

「謝罪など、不要でございます。私の主人は真南斗様でございますので、真南斗様が仰るなら、それも仕事の内でございます。ご心配頂き、ありがとうございます、小町さん。」

「い、いえ...」

真南斗先輩専属の執事さんなんだ...!私達より少し上くらいなのにすごく大人な感じだなぁ。

「楠!小町ちゃんを口説くな!!」

「ふふ、それは約束出来かねます。」

「な!?」

く、口説く!?ってあれ?なんか、楠さんって真南斗先輩と普通に喋ってる??さっきまでの上下関係があんまり見えない...

「小町さん、元はこのような関係ですので安心してくださいね。」

口元に人差し指を寄せてウィンクする楠さんは大人な感じがします...!!

「あ、こら!楠!!」

「では、私は奥にいますので、なんなりとお呼びください。彩様、小町さん。」

「あ、私もさん付けでお願いします。」

「畏まりました、彩さん。」

にこやかに奥に入ってった楠さん、かっこいい...!

「こ、小町ちゃん...??」

「はい?」

「楠のこと、ど、どう思う?」

??なんでそんなこと聞くんだろ?

「小町!楠さん、かっこよかったよねぇ!」

「おい!彩!」

真南斗先輩、焦ってる??

「ね、ね、小町!」

「う、うん。かっこよかったね。すごい、大人の男の人って感じで...」

「小町ちゃん!?」

「ね、小町、真南斗君は??」

「彩!?」

??

「真南斗先輩は...尊敬してる先輩の1人?」

「......」

勝手に尊敬してちゃ、ダメだったのかな...

このとき、しょぼんとしてた私は...


「ねぇ、真南斗君。」

「......」

「小町がしょぼんってしてるんだけど??」

「...かわいい。」

「当たり前でしょ。てか、なんで何も反応しないわけ。」

「だって楠はかっこいいなのに俺は尊敬してるって...」

「はぁ?そんな理由??だったら良いじゃない。お姉ちゃんのお友達って言われなかった分」

「だけど、楠はかっこいいんでしょ?」

「当たり前じゃない。楠さんはそんな風にうじうじしないもん。」

「俺もかっこいいって言われたい。」

「今のままじゃ無理でしょ。」


なんて会話、聞こえてませんでした。

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