第14話 変化

「はー、やっと用意できる。」

あれから、駄々をこねる真南斗先輩に、なんとか帰ってもらって、やっと家に入れたのだ。

なんか、真南斗先輩の印象変わったなー。でも全然嫌じゃなくて、むしろ、こっちの方が...

「小町!服、用意出来た?」

ビクッ

「あ、お姉ちゃん。うん、出来たよ。教科書とかって別のバッグに入れた方が良い?」

「ごめん、驚かせちゃったね。えっと、教科書?あー、うん。そうだね。あと、制服と勉強道具も同じのに入れといたら?」

「ん、分かった。あ、真南斗先輩が来たら家に上がって、待っててもらってね。」

「えー、真南斗君は車待機で良いよー?」

「良くないよ!!」

「はうぅ!!小町、優しくて可愛いとか、もう天使過ぎて...」

また変なこと言ってるねー、お姉ちゃん。

「とりあえず!真南斗先輩が来たらちゃんと報告すること!!」

「......はーい。」

「なに?今の間。」

「......」

「お姉ちゃん?」

ニッコリと微笑んで聞いたのに、そっと目を反らされた。

え、まさか...

「もしかして、もう来てるの!?」

「......ハイ。」

もう!真南斗先輩、直ぐに来てくれたんだ!!

とりあえず、真南斗先輩に入ってもらおう。


「真南斗先輩!」

「!小町ちゃん!!」

家の前には黒い高級そうな車が停まっていた。今から乗るのだと思ったら緊張してきた。

「小町ちゃんから出て来てくれるなんて、嬉しい...」

うっとりとした眼で見てくる目の前の男。

...止めてくれ。

「真南斗先輩、いつから居たんですか??」

「ん?5分前くらい??」

「お姉ちゃんに連絡って...」

「ちゃんと入れたよ。やっぱり、小町ちゃんに報告してなかったんだね...」

「...はい。ごめ...」

「あ、謝らないで?彩から、「早すぎ!!」って連絡来てたし、予想はしてたから。」

いや、それ謝る要素しかないんじゃ...

「なんにせよ、小町ちゃんが謝ることは無いからね?謝ってもらうなら彩に謝ってもらうから。」

「それも、そうですね。」

「うん。でしょ?」

ニッコリと爽やかスマイルで和ませてくれる真南斗先輩、優しいなぁ。

「あ!とりあえず、中、入って下さい。」

「うん。お邪魔します。」

「どうぞ。」

ガチャ。

「あ、小町ー!!」

扉を開けたらお姉ちゃんがいきよいよく飛び出てきた。

「なーに?お姉ちゃん。」

「あのねー、あ、真南斗君いらっしゃい。リビングでまってて。」

「うん。」

「で?お姉ちゃん?なんで真南斗先輩がきたの教えてくれなかったの?」

「あは、あははははー、...それよりさぁ、」

「もぅ!お姉ちゃん!?」

「...ごめんなさい。」

「...私にだけじゃないでしょ?」

「...真南斗君、ごめん。」

「ん?あぁ、いいよ。彩なら言わなさそうだなぁと思ってたしね。」

にこやかに言うけど、それってお姉ちゃんに信用がないとも言うよね...

「あ、小町ちゃん、誤解しないでね?別に彩を信用してないわけじゃないからね。」

む、なんか余裕の笑顔...

「今の会話だと信用してないようにきこえましたよ?」

ちょっとくらい意地悪しても良いよね?

わざとムッとした顔を作ってそう言うと、

「え、あ、ごめんね!?そんなことはないんだよ?ただ、彩は小町ちゃんに関することだと信用ならないってだけで...あ!」

しまった!って顔で慌ててる真南斗先輩。うん。やっぱりこっちの方が良いや。

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