一年の冬~003
そんな俺の個人的な懺悔を知らずに、漸く涙を袖で拭い、今度こそちゃんと笑った。
「……コーヒー…淹れるね」
俺は道を譲り、春日さんを台所へと通す。
マグカップを二つ、インスタントコーヒーをそのマグカップに入れ、お砂糖7つ。どっちのマグカップにも入れ…
「だからちょっと待てええええええいい!!」
思わず全身のバネを駆使して突っ込んでしまった。
「……え?な、なに?」
「だから俺はブラックがいいと言ったじゃないか!!」
「……で、でも、お砂糖入れないと美味しくないよ?」
だから、そのやり取りはもういいっつーの…
「ふう…OKOK、じゃあ譲歩案だ。せめてお砂糖は一つにして…何やっってんですかああああああ!?」
「……え?もうお砂糖入れちゃったから…せめて苦くしようと、コーヒーを7つ入れたんだよ…?」
見りゃ解るわそんなもん。
そんなの飲んだ日には死んでしまうわ。
折角刺殺エンドを回避したってのに、訳解んない死因を増やして欲しくないわ。
「悪いけど、作り直してくれないか春日さん」
俺は真剣に、真摯に言った。
「……う、うん…いいけど…」
作り直す為に台所に向かう春日さんの後ろに張り付いて、じっと様子を見る。
マグにコーヒー小さじで……半分!?
自信無さそうに、お湯投入…
「……ど、どうかな?」
「超薄いアメリカンが完成したな…」
色が付いたお湯である。だが、甘々なコーヒーより遥かにマシだ。
俺はそれを受け取ろうと手を伸ばす…
「なあああああああ!?何入れてんの!?」
俺が極薄アメリカンを取る前に、どっかに隠し持っていたレモンスライスを入れたのだ!!
「……え?アメリカンがあんまり好きじゃなさそうだったから、ロシア風にしたんだよ?」
「ロシアとレモンになんの関係が?」
「……ロシアはコーヒーにレモンを入れるんだよ。ビタミン不足を補う為に」
そうなのか。ロシアは寒いからな。
つか、そんな情報どうでもいいわ。
俺はそれ以上いらん事をされる前に、そっとコーヒーを奪取した。
優しく、慈しむように。
春日さんの超甘々コーヒーが出来るのをテーブルで待つ。
ちょっと温くなってしまうが、どうせなら一緒に飲んだ方が美味しいからな。
「……あれ?先に飲んでいても良かったのに…」
言いながらもちょっと嬉しそうだ。
貰ったサンドイッチも大皿に移し替え、見た目も旨そうになった。
ただ…
春日さんのマグに、山のようにそびえ立つ生クリームが視界に入って、気になって気になって仕方が無い!!
「……ウインナコーヒーにする?」
「いや、ホントいいから。ただ何が入っているか、気になっただけだから」
「……別に珍しくないよ…練乳とメープルシロップと…」
「そっか。もういい」
それ以上は聞くだけで胸焼けを起こしそうだ。
俺はコーヒーを一口含む……
酸っぺえええええええ!!
つか、マジでロシアはコーヒーにレモンを入れんのか?
少なくとも俺の口には合わない!!
「……隆君、どの子がいいかな?」
サンドイッチを指差してどの子って…
見るとタマゴサンド、ツナサンド、ハムサラダサンドと、計三種。多分これで一人前なんだろう。
それが各4つずつ。春日さん、愛されてんなあ…
「じゃあサラダを」
「……うん」
はい。と手渡ししてくれる。
ほっそい指だ。可愛い。
「だけど、ミックスグリル食ったから、そんなに入らないよ?」
「……残ったら明日の朝ご飯にするから…」
そうか。春日さんは一人暮らし。その手があったな。
「いつも朝飯はどうしてんの?」
「……シリアルかな?時間があればパンケーキ焼くけど…」
春日さんのパンケーキか…いつか食べてみたいな。
甘々じゃなければ。
いや、愛があるから甘々でも喜んで頂くが。多分。
もそもそとサンドイッチを食べる俺達。
つか、さっき食ったばかりなのに、不思議と入るな。
「もう一ついい?」
「……うん。どの子?」
「じゃあサラダ」
またハムサラダを受け取る。
春日さんはタマゴサンドを半分食べたばかり。ちょっと苦しそうだ。
「もしかして、お腹いっぱいなの?」
「……ううん。どうして?」
「なんか苦しそうだから」
「……パンにはジャムとか蜂蜜とかかけたい…」
ああ、なんだ。要するに不満なのか。
だけど折角バイト仲間が持たせてくれた物だし、頑張って食べようとしているんだな。
だが、そうなると、明日の朝もサンドイッチはキツイんじゃないか?
だったら俺が頑張って全部食って、明日の朝は、春日さんの好きな物を食べられるようにした方がいいのか?
「因みに今春日さんが手早く作れるのって何?」
「……えっと…ご飯あるから…チャーハンとかオムライスなら…」
「サンドイッチよりそっちの方がいい?」
春日さんは物凄く躊躇して、ほんのちょっとだけ頷いた。俺じゃなきゃ解らない程の、超微かな動きで。
よし。ならば覚悟は決まった。
「じゃあ俺がサンドイッチ全部食べるから、それ作ったらいいよ」
春日さんは小首を傾げて俺を見た。意味が解らんのだろう。
「このサンドイッチ意外と旨いから、全部イケそうだし」
「……無理してない?」
「いやいや。育ちざかりだから、このくらい大した事無い。なんならオムライスも入るくらいだ」
そう言ってもりもり口に運ぶ。
一瞬唖然としたが、真意を読みとったのか、頬を赤らめて台所へ向かった。
急いで食い終わったが、腹苦しいので仰向けになって寝転んでいた。
春日さんの作っているオムライスのいい匂いが鼻腔を擽るが、食欲が全く湧かない。
しかし、結構時間掛かっているな。お袋なんかオムライスは3分で作るのに。
卵焼きライスと言った方が正しいけど。
「……待った?」
出来上がったオムライスは、見た目はふんわりタマゴで旨そうだ。サラダもあるし、スープまで作っていた。
問題は、それが二つあると言う事だ。
「……急いで作ったから、あまり手の込んだ物は作れなかったけど…」
いやいや、充分美味しそうだよ?
だけど、俺晩飯二回食べているんだよね。知っている筈だよね?
あ、ひょっとして俺の早とちり?
春日さんが二人前食べるって事かな?
「……足りなかったら、もう一つ作るから…」
そう言って俺の前にオムライスとサラダとスープを置いた。
……そっか…やっぱりな…
渇いた笑顔と共に「ありがとう…」と、力無く言う他無かった…
「…………」
春日さんが俺をじーっと見ている…
食べるのを待っているようだ。
そうか。解った。いいだろう。
スプーンを持ち、「いただきます」と言って、口に運ぶ。
「…………」
春日さんが俺をじーっとみている…
どうやら感想を待っているようだ。
「旨いなこれ!!」
「……そう…」
いや、ホントに旨い。甘々じゃない、ちゃんとしたオムライス。
腹パンパンじゃなきゃ、思い切りがっついていただろう。
腹パンパンじゃなければっ!!
「……いっぱい食べて…」
頬を染める春日さん。
この状況は、絶対に残せない!!
腹に余裕が無いが、気合と根性で乗り切るしかない!!
「………ご…ご馳走さま…旨かったよ…」
今ボディを貰ったら、確実にリバースする状態だ。
何とか完食できた事を称賛して欲しい。
「……お粗末様…」
春日さんのお皿もからっぽだ。細いんだけど、しっかり食べる子なんだよな。
甘々のジャンボパフェとか平気で完食するし。
片付けの為に台所に向かう春日さん。その時、俺の方を向いて言う。
「……コーヒー飲む?」
「いや、いいです…」
丁重にお断りした。
甘々とか、極薄とか、レモン入りとか、もういいわ。
片付けしている春日さんの後ろ姿でも見て、まったりするわ。
そんな訳で、行儀悪いのは重々承知だが、俺はなんかまったりとして食後を過ごした。
時々「コーヒー飲む?」と聞かれては断りを繰り返しながら。
かなり遅くまでお邪魔して(腹いっぱい過ぎて動けなかったのだ)俺は漸く帰路に着く。
何回か「…泊まってく?」とか「…お風呂入る?」とか聞かれたが、理性が保つ可能性が薄かったので断った。
あんなカッコイイ事言った手前、万が一にでも手を出す事になったら、あまりにもクズすぎる。
帰る途中ジムに寄っていくかとか思ったが、今の俺はガラスのボディ。
床掃除に時間を費やしそうだったので、やめる事にした。
電車も終電だしな。
そんな訳でゆっくり帰宅。
家には既に明りは無い。もう寝ているようだ。
起すと何なので、こそーっとドアを開け、超忍び足で部屋に入り、これまた超静かに風呂に入り、漸く就寝。
なんか疲れたが、なんか良かった。
枕元で麻美が囁く。
――ご苦労様…
それは温かさがある囁き。
そっか…春日さんからのバッドエンドは無くなったんだ…
いつもの刺殺エンドまで少し日にちが早いけど、完全回避できたなら良かった。
だが、考えるのはヤメだ。喜ぶのも後でだ。
今は物凄く眠いから。腹いっぱいだから………
朝。すこしばかり
今日はちょっと遅かったが、遅刻する時間でも無かったので、普通に歩いて行った。
すると、何やらBクラスの前に人だかりが。
邪魔だなあ、と思いつつも、教室を目指して人ごみを掻き分けていると、春日さんと出会った。
「……おはよう隆君…」
「おはよう春日さん。昨日はご馳走さまでした」
挨拶とお礼を同時に言う。
「「「えええええええ!!!!!!?????」」」
人だかりが一斉に驚いたように声を上げた。
「え?なに?どうしたんだ?」
全く意味が解らず、周りをキョロキョロと見回す。
多分Bクラスの女子だろう。その女子が意外そうに声を掛けてきた。
「緒方君…どうして普通に会話しているのよ?」
「え?なんで?なんかおかしい?」
今度はBクラスの男子。
「緒方…もしかして前から知っていたのか?そう言えば、春日ちゃんと仲良かったよな?」
「前からって…春日さんはBクラスの女子だろ?今知った訳じゃないけど………」
「じゃなくて!!春日ちゃんをちゃんと見ろよ!!」
なんか知らんが怒られたので、春日さんをちゃんと見た。
「………………」
恥ずかしそうに俯いてしまった。
いつもの春日さんである。
「ちゃんと見たぞ?」
「マジで気付かないの!?なんで!?」
非難の眼であった。なんか違うのか?
今度こそ、ちゃんと凝視する……
「あ、春日さん、メガネ外したんだ?前髪も上げたんだね」
「マジで今気付きやがった!!!!!」
驚愕された。
いや、俺は過去に何度も見ているから。だけど、ちゃんと顔を露わにした春日さんは、やっぱ可愛いな。
「……変じゃない…かな?」
「なんで?メガネ外そうが前髪上げようが、春日さんじゃん?」
今度は「おおおおおお~…」と驚嘆の溜め息。
「緒方すげえぜ…あんなに変わったのに、いつも通りとは…」
「つか、春日さんはやっぱ緒方が好きなのか?俺にチャンスは無いのか?」
「でもさー。素顔晒しても態度変わらないのは好ポイントだけど、気付かないのは最低だよね~」
……なんかどいつもこいつも好き勝手な事を言っているが…
まあ、怖がられて話し掛けられなかった頃に比べれば、格段にマシだが。
「はいはい。ちょっと御免なさいよー」
人の群れを掻き分けて入って来たのは、楠木さんと槙原さん。
春日さんを二人で挟むように立つ。
「この子は私達のライバルだから~。いままでシカトしていた男子にチャンスなんて無いから~」
凄く嫌味な笑みで言う楠木さん。
「そそ、諦めて散れ。有象無象は失せろ。女子はいいよ~」
女子は許可とは、一応春日さんが社交的になれるように、可能性は残してるんだな。
何だかんだと考えている槙原さんだ。
と言っても、一旦集まった群れが解散する事は無く。
寧ろ一方的な楠木さん達に非難をする。
駄目だ収集つかねえ。春日さんもなんか涙ぐんでいるし。
「……やっぱり…顔見せない方が良かったのかな…?」
「いや、そんな事は無い。こんなの一時的なもんだ」
多分だけど。過去も暫くはやかましかったが、時間が経つにつれて沈静化したし。
「なんだあ?邪魔くせえなあ?」
この声はヒロか?人混みで姿が見えないから、声で判断するしかない。
「ホントだね。悪いけど通れないから。ちょっと退けてくれるかな?」
この声は国枝君か?
槙原さんを見るとスマホを出していた。
ヒロにヘルプメール出したのか。
「邪魔って、だったらお前等が迂回すりゃいいだろ!!」
誰かが挑発的に言う。
「……は~…」
姿は見えずとも聞こえた、国枝君のでかい溜息。
「この人混み、噂で大体の理由は知っているけど、その噂が正しかったら、君達『あの』緒方君に喧嘩売っている事にならないかな?」
ザワ!!
一瞬おおきなざわめきの後、潮が引くように人が離れていく。
つか今の何!?俺やっぱ怖がられてんの!?
ちょっとへこむも、春日さんのホッとした表情を見て、超仕方なく納得した。
いや、するしかねーじゃんか。
俺が我慢すればいいだけだ…
涙を堪えている俺。その隙に、春日さんにヒロと国枝君が近寄った。
「大丈夫か?」
「素顔晒しただけなのに、凄い反響だったね」
「……あ…ありがとう…」
やっぱり俯いてお礼を言う春日さん。
この小動物感がたまらん。
「しっかし、普段眼中に無かっただろうに、ホント男子って現金だよね」
「まあ仕方ないよ。私も胸によく視線感じるし」
「……私は隆君だけだから…」
耳まで真っ赤な春日さん。
この従順さがたまらん。
「だけど隆、いくら素顔知っているからって、普段通りってパネエな?」
「え?そうか?」
つか、お前も知ってんじゃんか。店では素顔を晒しているんだし。
ここで女子陣が大袈裟に溜め息を付いた。
「はあ~っ…この勇気、なんで解んないかなあ…」
楠木さんは、苛立つように髪を掻くし。
「まあねえ…でも、外見で揺れないのは、好感度アップの材料だよね」
槙原さんは、諦めたように肩を落としているし。
だって俺素顔知っているし、今更…
「……いいの…そのままでいいから…ね?」
「?うん…」
釈然としないながらも頷く。
下手に反論したら後々ヤバい事になると、俺のキャリアが警鐘を鳴らしたためだ。
「まあいいや。教室にいくか。ヒロ、国枝君」
「おう。じゃな」
「そうだね。君達もそろそろ教室に戻った方がいいよ。予鈴が鳴る時間だよ」
もうそんな時間か。
Bクラス春日パニックで結構時間食ったんだな。
慌てながら教室に向かう。
途中、振り返ると、春日さんが萌え袖宜しくで俺に軽く手を振っていたのが見えた。
小柄な春日さんは、ナチュラルな萌え袖なのだが、これからはそれも注目されるんだろうな。
今まで以上に気合を入れなきゃならんと、一人で固く決心したのだった
さて昼休み。
今日は弁当が無いから(お袋が寝坊したのだ)購買でパンを買おうとした所、いつもの凄然とした売店は、きちっと列を成し、実に秩序が保たれている空間となっていた。
一体何が起こったのか?と訝しんでいたら、先頭から春日さんがぺこぺこと列の男子に向ってお辞儀をして出てきた。
あ、そうか。素顔の春日さんは、ストレス無くパンを買えるんだった。
俺に気付いた春日さん。ニコーと微笑み、寄ってくる。
「チッ!!」
おおう、この舌打ち。懐かしい。
「……隆君、今パン買うの?」
「ああ、うん。だけど今日は無理っぽいかな」
男子がムキになって俺を潰そうと結託するかもしれんし。
「……じゃあ半分こしよ?」
「チッ!!!」
おおう…凄まじい嫉妬の舌打ち!!
だけど俺はカスタード&生クリームDXはいらん。
あれは一撃で俺を胸焼けにする。
だがこれ以上、嫉妬の眼に身を晒すのも面倒だ。
「じゃあウチの教室きなよ。机くっつけて、和気藹々と食べよう」
「……うん」
「チィィッ!!!!」
流石に教室なら大丈夫だろ。今の大きな舌打ちは聞こえない振りしてやるし。
そんな訳で春日さんを連れてEクラスヘ。
ヒロが弁当広げて食べようとする最中だった。
「おうヒロ。ちょっと飯分けてくれ」
「あん?お前今パン買いに行ったんじゃ…おう春日ちゃん、まあ座って」
前の席から椅子を勝手に借りて、春日さんに勧めるヒロ。戸惑いながらも、その好意に甘えた。
「僕もいいかい?」
「国枝君。勿論だよ」
「緒方ー。俺達も混ぜろー」
「蟹江君と吉田君。勿論さ」
「緒方君、僕も…」
「……あ、赤坂君…えーっと…」
別に俺的には問題無いのだが、蟹江君達が微妙な顔を作ったので、返事に躊躇した。
「あ、その席空いているね」
取り敢えず春日さんから一番遠い席に座らせた。。
さて、昼食だ。
だが、俺には昼飯が無い。
「ヒロ、弁当分けてくれ」
「ヤダよ。買って来いよ」
今から買いに出るのも面倒だが、仕方ないか…
席を立とうとした時。
「緒方、肉まんでいいならやるよ」
蟹江君の優しい一言…有り難くて涙が出そうだ…
「緒方君、コロッケパンでいいならやるよ~」
赤坂君まで俺にパンをくれた!!ヒロは米一粒もくれなかったのに!!
「……あの、半分こ…」
「うん、ありがとう。だけど半分は多いかな。ちょっとだけ頂戴」
こっくり頷く春日さん。かわええ。
赤坂君なんか、目も逸らさずに凝視しているし。
食い始めて暫く。
「か、春日さんは緒方君のどこが好きなんだ?」
「……全部…だよ?」
「ぼ、僕には望みは無いのかな!?」
「……隆君だけだから…」
「ぼ!!僕は尽くすよ!?優しいよ!?」
「……隆君だけだから…」
と、赤坂君と春日さんのやり取りをBGMにしながら、クリパの事を話し合う。
「そういやAの女子からクリパの事聞かれたぞ」
「え?マジ?」
「おお、緒方とたまに話しているポニテの女子」
「……須藤か?」
「おお、そいつそいつ。どこから聞きつけてきたのか参加したいって言ってきてさ。定員いっぱいだって断ったけど、それでいいんだよな?」
「うん。助かるよ」
朋美が遂に嗅ぎ付けたのか。
しかし、先手を打ったおかげで、どうにかやり過ごせたか?
少なくともこの場は…
しかし、次の手を考えないといけないかもな。
朋美はヤバいからな…
引き続き、参加希望者を断る事をお願いし、話は終了。
赤坂君が春日さんに執拗に攻撃(?)していたのを宥めて、春日さんを逃がす。
「ごめん。ちょっとうるさかったな」
フルフルと首を横に振りながらも。
「……やっぱり図書室とか…静かな方が良かったかな…」
御不満だった。
この次は図書室でと約束して、Bクラスまで送る。
途中、男子生徒の舌打ちがやたらと聞こえたが、気にしない。
つか、素顔の春日さんは最強だなあ。昨日まで全く見向きもされなかったのに。
目立ちたくないから、メガネかけて前髪下げていたんだよな。
中学時代も鬱陶しかったんだろうな。
それとも父親の性的虐待のトラウマか?
まあ、詮索も想像も野暮だ。
過去はどうでもいい。これからが大事だからな。
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