第2話最悪の再開

「なんで… なんでなんですか…

なんで先輩がサッカーできなくならなきゃいけ

ないんですか…」


サッカーをしようと言われ断った後に事情を説明すると美咲は泣き出してしまった


おれはサッカーができなくなってしまったのだ

試合中の接触により左膝を怪我してしまい医者にサッカーは諦めた方がいいと言われているのだ


さっきまでの笑顔が嘘の様に美咲の大きな瞳から涙がこぼれ落ちてくる


「お前が泣くことじゃねーよ

それに、おれはサッカーできなくなったこと

もー何とも思ってないから泣くなよ」


胸がチクっと痛んだが気にしないことにした、が


「嘘です、先輩がサッカーを何とも思ってないわ

けない 諦めれるわけない」


自分は騙せたとしても美咲にはお見通しだったようですぐに否定されてしまう


自分でも分かっていた 俺はサッカーがしたい

誰よりもサッカーが好きだ


だが、出来なくなってしまったのは現実だ

どんなにサッカーをしたいと思っても出来ない

どんなにサッカーが好きでも出来ない

これは紛れもなく現実なのだ


それならどうするべきか

それは自分を騙し 周りに嘘をつき

サッカーから離れてサッカーの事を忘れたほーが幸せだと俺は思う


だから俺は嘘をつき続けた


「2年も合わなかったら人は変わるんだよ

たしかに前はサッカーが好きだったが日本代表

になってから楽しいと思わなくなっていた

だから、ケガをしてなくてもいつか自分から辞

めてたよ」


俺の言葉を聞いた美咲は一瞬驚いた顔をした

しかし、俺の目を見ると美咲は


「じゃーなんで先輩はそんなに悲しそうな顔を

してるんですか」

と言った


言われて始めて気付いた

自分が今とても悲しそうな顔をしていることを


桜を撮るために出したスマホの画面に映る俺の顔は どこか諦めたような そして何かを思い出しているようなとても悲しい顔をしていた


何か言い訳をしないと と考えるがまったくいい案が思い浮かばない

理由はわかっている

自分を騙すことができなくなっているからだ


だが、ここでサッカーを諦めるのを諦める訳にはいかない

諦めるてしまえばサッカーがしたいのに出来ない

から毎日つらい思いをすることになる

だから せめて絞り出したような声で


「そんな事ねーよ」

とだけ言う


しかし

「先輩 目を逸らさずにちゃんと言ってください

それに…

その言葉は自分の本心だと言えますか?

自分の心を騙していないと言えますか?」

と言ってきた


その時 俺は気付いた

美咲の前では嘘はつけないということを

自分を騙すことすらできなきということを



だから俺は決心した

本心を話すことを

その上でサッカーを諦めるということを


「そーだな、確かにこれは俺の本心じゃないし

自分の心を騙している

おれはサッカーがしたい

誰よりもサッカーが好きだと思っている


でもその思いは今の俺にとってはつらいだけだ

だがら諦める努力をしてる

自分を騙して周りに嘘をついている


どんなにサッカーをしたいと思ってもサッカー

が出来るようになる訳じゃないからな」


この言葉を聞いた時 美咲は言葉を失っていた

美咲が何を考えているかは分からない


だが 俺は言葉を紡ぐ

美咲にもサッカーを諦めることを認めてもらうために

美咲にとってつらい言葉だとわかった上で


「これで満足か?

お前が俺に言わせたかったことは聞けたか?」


この言葉を聞いた瞬間 美咲は固まった

自分のしよーとしていたことが

俺にとってつらい事でしかないと気付いたからだ

俺が何も考えずに 行動せずに 苦しまずに

サッカーを諦める訳がないと気付いたからだ


そして美咲は再び


「ごめんなさい… ごめんなさい…」


と言いながら泣き出してしまった


俺はこれで美咲も諦めてくれるだろと思い


「別に怒ってはないから

分かってくれたならそれでいいから」


と言い 俺の言葉で心を痛めている美咲を

慰めることにした


そして、その時思った

これで俺がサッカーに関わることは一生ないだろうと



こうして俺たちの最高の再会は

最悪の形で幕を閉じた

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