第3話昔の2人

(気まずい…)

おれは今 美咲と一緒に高校へ向かっている

あんなシリアスな話をした後だ もちろん2人の間に会話はほとんどない

それなのに何故一緒に行っているのか

理由は簡単だ 美咲が編入したのは俺の通う桜花高校だったからだ


美咲との再開を果たした後 俺は美咲を慰めて

泣き止むのを待ったあと


「じゃー俺は高校へ行くから」

と言って美咲とわかれようとした


しかし、美咲は


「あ、私も行くんで 一緒に行きましょう」

と言った


俺は初めなにを言っているのか分からなかった

しかし、あることに気が付く

美咲の着ている制服は毎日のように見ている

俺の通う高校の制服だったのだ


「お前桜高だったの!?」


「はい、気付いてなかったんですか?」


「気付いてねーよ!言えよ!」


「制服着てるから気付いてると思ってました

てか、普通気付きますよ」


確かに普通は気付くと思い これ以上は墓穴を掘ることになると思い辞めておくことにした


「まーそれなら行こうぜ」


「はい」


ここで会話がおわってしまう




そして今に至る


(めっちゃ気まずい)

さっきはノリで話せたがいざ話をしよーと思うと何を話していいか分からない

普通なら留学について聞くべきだが

さっきした話を考えるとサッカーの話はしない方がいいとおもった

だから何を話そうか迷っていると美咲の方から話掛けてきた


「先輩は私がいない間どーしてましたか?」


藪から棒な質問だったが正直ありがたかった

あの空気を耐えれるほど俺の神経は図太くない

この質問は空気の悪さを感じ取って美咲なりに気を使ってくれたのかもしれない


「うーん、普通の生活かなー

学校行って帰って友達と遊ぶかゲームしたり

マンガ読んだりして気付いたら2年経ってて

美咲が帰って来たって感じ」


我ながら気のきかない返事だと思う

気を使ってくれたのにこれじゃまた会話が途切れてもおかしくない


しかし


「勉強はちゃんとしてるんですか?」

と、また質問を投げかけてくれる


だが、この質問はあまり考えたくない事だったので冗談で誤魔化すことにする


「俺みたいな天才は勉強なんてしなくてもできる んだよ」


しかし、美咲は悪戯っ子のような笑顔をすると


「天才な人は数学のテストで2点なんて取らないと思いますけど」

と言ってきた


「なんでまだ覚えてんだよ!小4の時の話だぞ!」


おれは小4のとき数学で2点をとってしまい

そのテストを家の引き出しの中に隠しているたのだが 美咲が遊びに来た時に見つかったのだ

美咲は今になってその話を蒸し返してくるのだ


「わすれるわけないじゃないですか〜

先輩のあの時の焦りようは今になっても笑えてきますよ」


「うるせーよ」


「あ、でも2点とかとろうと思ってもとれないからある意味天才かもしれませんね」


「バカにしてんだろ!」


さっきまでの雰囲気が嘘のように

2人は楽しい雰囲気になっていた

美咲はさっきまで泣いていたのが嘘のように笑顔になっていた

俺も口では怒っている風に言っているが

口元は笑顔になっていたと思う

昔の2人に戻った様だと思った


しかし、そんな楽しい時間も終わりが来る訳で

学校に着くと2人は学年が違うから教室がある階が違うのでわかれることになる


「じゃー3年の教室こっちだから」

と言い 教室に向かおうとする


すると美咲が

「せんぱいっ、今日の放課後一緒に散歩しませんか?」

と言ってきた


俺は少々驚いたが断る理由はなかったので

「いいぞ、それじゃ終わったら玄関で待ってるから」

と言った


美咲はそれを聞くと

「わかりました!それじゃ終わったらすぐ行きますねっ♪」

と言い駆け足で教室へ向かって行った


なぜ散歩に行くんだろーと思ったが特に気にしなくていいかと思い考えるのをやめた


そして、俺も教室へと向かったがこの時の足取りはとても軽く緩んだ顔をしていたが

自分では気付いていなかった


この時にはもー朝のシリアスな会話のことなどまったく覚えていなかった

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