お前を止めることだ

 再び目を覚ました時、目の前にあったのは茉結華の顔だった。畳の上で寝転がり、眠るように瞳を閉じている。

 その左手には手錠がされていて、長い鎖がこちらへと伸びていた。辿るようにして見ると、渉の左手にも銀の輪っかがかかっている。監禁されてから今日に至るまでずっと付けられていた、あの忌々しい結束バンドは手足ともに外され、今は茉結華と手錠で繋がっている。

 少し手を動かすと、チャリ――と音がして、同時に、茉結華の目がパチリと開いた。


「――おはよ」


 茉結華は通常運転の挨拶をし、スイッチを入れたロボットのようにむくりと起き上がった。

 渉は自分の顔に違和感を覚えて、数日ぶりに自由となった片手で触れてみる。手触りからして、頬や顎、首筋と眉上辺りに――ガーゼか湿布やらが貼られているようだ。脚と胴体はテーピングがされているのか、締めつけ感がある。何より、学生服が上下とも綺麗になっていて、不快感はまるでなかった。

 手当も着替えも――およそ誰がしたのか、渉は考えないようにした。


「これ、トワちゃんの手作りハンバーグ。おいしかったから……渉くんにも食べてほしくて」


 茉結華は傍らに置いてある皿を手に取り、ラップフィルムを外した。トワというのは以前言っていた女性のことだろう。よく見ようとして、渉は身体をゆっくりと起こした。背中は壁に預けるとする。

 皿の上にあったのは、誰かの食べ残しのような半月型のハンバーグ。


「豆腐ハンバーグって言ってたかな。ヘルシーなんだと思うよ」


 言いつつ茉結華は、フォークで器用にカットして、半透明の和風ソースに絡めた一口サイズのハンバーグを掬い取った。


「はい、お口くぱくぱぁ」

「……?」


 聞き慣れない擬音に首を傾けると、茉結華は「……あ、開けて?」と言い直して、フォークの先をひょいと向けた。食べさせようとしていることが伝わり、渉はフォークを受け取ろうと手を前に出す。しかしその手はぶるぶると震えて言うことが利かず、渉は大人しく口を開けることにした。


「……」

「おいしい?」


 こくりと、小さく頷いた。

 ハンバーグはポン酢風味の優しい味がした。弾力があって柔らかく、口のなかですぐに溶けていく。きっと胃にも優しいのだろう。

 茉結華は「よかった」と微笑んで、背後にあったペットボトルを手に取る。


「はい、お水。毒味しようか?」


 そう言うと渉の返事も聞かずにストローキャップを開けて、ちゅうっと一口先に吸った。そうして、「はい」と差し出したペットボトルを、渉は両手で受け取る。

 意を決しての、数日ぶりの水分補給。ストローを咥えて軽く吸うと、薄っすらとフルーツの味がした。栄養剤だろうか、気になって茉結華を一瞥するも、彼は次のハンバーグの一欠片を用意するのに夢中である。渉は訊くのをやめて、今はわずかな食事に専念した。

 その後は、鎮痛剤らしき薬を渡されて――今までは水ひとつでも疑っていたのに――渉は何の抵抗もなく飲み込んだ。茉結華も余計なことは言うまいと、素直に応じる渉を黙って見つめていた。


 二本目の水が残り半分になった頃、茉結華はプラスチックバンドを取り出した。それで何をされるのか、渉はよく理解している。

 怪我をしていると言っても、この監禁状態が変わるわけじゃない。自由は制限されて、再び拘束される――その前に、渉は待ったをかけた。


「か、開脚したい……」


 ぼそりと願いを口にする。足首を繋がれてしまっては、思い切りストレッチすることもできない。その前に伸ばしておきたいというのが、渉の小さな望みだった。


「でも渉くん怪我……」

「ゆっくりするから、背中押して」


 茉結華の心配をよそに、渉は脚を百八十度近く広げた。茉結華はその背中に手を置いて、渉の呼吸に合わせて体重をかけていく。普段体育のペアで行うのと同じように――ふたりは慣れた調子で息を合わせていった。


「あんまりやると傷口開いちゃうよ?」

「加減してるよ」

「ふーん……気持ちいい?」

「うん……久しぶりだからな」

「その割には柔らかいね」

「お前も少しは柔軟したら?」

「たまーにしてるよ」


 見て見てというように茉結華は傍らに立つと、ぐにゃりと前屈してみせた。膝はピンと伸び切り、手のひらはぺたりと床についている。


「ね?」

「……別人みたいだ」

「誰ととは訊かないよ」


 茉結華は『えへへ』と笑って、再び後ろへと回った。

 響弥の身体は恐ろしいくらいに硬い。前屈にしろ股関節のストレッチにしろ、すぐに痛いと言って音を上げる。

 ――身体の柔軟性もまた、偽りだった。


「あのさ……」


 渉はストレッチを続けながら、つぐんだ唇を緩ませる。

「うん?」と聞き返す茉結華に、渉は「……もうしないよ」と、逡巡めいて呟いた。

 茉結華は背中を押すのをやめて、「何のこと?」と首をひねる。渉は姿勢を正して振り向いた。


「お前の罪が、重くなるようなこと」

「…………」


 茉結華はぱちぱちと瞬きをし、徐々に眉間のしわを深くした。連なって肩を落とすと、心底呆れたというようにため息をつく。


「あのさぁ、渉くん……そういうところだよ、私が嫌ってる渉くんの部分。わかる?」

「……いいや」

「その誰にでも向けちゃう異常な献身力のことだよ。もしかして、自分の何が悪かったのか――とか、考えたりした? ……普通そういうのって、相手に押し付けるものだと思うけど。ましてや殺されそうになった相手のこと気遣うなんて、おかしいよ」

「……」


 図星を指されて、渉はしゅんと目線を下げる。

 茉結華は別に責めているわけではなく、ただ当たり前だと思っていることを言うだけだ。


「渉くんはさ、もう少し、自分のこと大事にしなきゃダメだよ」

「……お前が言うなよ」

「でも言わなきゃ気づかないじゃん」


 自分を大事にしろだなんて、茉結華には言われたくない。だが現に、空回りをしてこうなっているのは事実だ。


「まあ、それは渉くんのいいところでもあるし、悪いところでもあるんじゃない? トキテルくんにも同じように言ったの?」

「――え?」


 その名前が出た途端、渉は反射的に強張った顔を上げた。


「キザキ……トキテルくんのこと覚えてない? 一年の頃退学したじゃん」


 高校一年の冬、生徒への暴力が原因で退学になった同級生がいた。


「あれってさ、退?」

「…………」

「怖い顔。私にはわかるよ。


 茉結華はくすくすと笑って断言する。

 忘れもしない――あの日。昇降口で、悴むほど寒い隙間風に吹かれながら、渉はキザキという男子生徒と相対した。キザキは渉の胸ぐらを掴み、拳をわなわなと震わせている。

『殴りたいなら殴れよ』

 渉の放ったその一言が原因で、キザキは抑えていた衝動を明かした。

 血まみれの生徒の上に、同級生が馬乗りになって拳を振るっている状況が生まれた。

 教師はひと目で止めに入り、早急に処分を下した――


「彼のこと嫌い? 私も嫌い。だから渉くんには感謝してるんだよ。――響弥を守ってくれて、ありがとうね」


 当時のキザキは一学期の頃からずっと、響弥に目を付けては絡んでいたように思う。素行不良のキザキに怯えて、響弥は何度か渉にも相談していた。

 だがその矛先はひょんなことをきっかけに、渉のほうへと向く。そうして起きたのがあの暴力事件だ。


「……別に誇れることじゃない」

「そうだね、いいことでもないし、渉くんも善いことをしたなんて思ってないでしょ。でもいくら煽られたとは言え、殴ったほうが圧倒的に悪いと思うけどなー」


 茉結華は言いながら渉の足首を揃えると、結束バンドをするりと巻いた。

 あの時自分が殴られたのは、わざとかもしれない。けれど響弥のためではなくて、ただのその場しのぎに過ぎない。それで相手が満足するなら殴られてやると、覚悟した上での行動だ。

 変わっていない。茉結華に対して行なったように、あの日から自分は何も変わっていない――進歩していない。

 でもどんなに悔やんだところで――過去は変えられない。


「渉くんはメサコンでもないし、素でやってるからねぇ……だから余計にタチが悪いんだよ。朝霧くんと違って偽善者でもないし」

「っ――朝霧はいい奴だ……!」


 キザキに続いて、なぜそこで朝霧の名が出るのか、渉はつい反論していた。

 茉結華は目を細めて口を曲げる。


「……ほーらね、気づかない。そんな緩いセンサーで警察官になれるのぉ?」


 ビヨヨン、ビヨヨンと、もう一本の結束バンドを目の前で振る。


「言っておくけど、渉くんが死んでも私のためにはならないよ。結構好きなんだよね、渉くんの世話するの」

「……世話になんかなりたくない」


 投げやりに本音を口にする。

 死にたくもないし、殺されたくもない。行動に制限がされるのも御免だ、世話になる気など毛頭ない。でも――響弥が喜ぶのなら……それでいいのかなって、一瞬でも思ってしまっただけだ。


「死んだら、凛ちゃんに会わせてあげる」


 茉結華はそっと手を伸ばし、渉の頬をガーゼの上からゆるりと撫でた。


「バラバラにして運びやすくして、手も足も胴体も、指も、一本ずつ送ってあげる。首は最後のプレゼント。お返しは凛ちゃんの絶望した顔。どう? 素敵でしょ」


 渉は目を見開き顔つきを変えた。

 茉結華は愛おしいものを見るかのように目を細める。


「でも残念、死んじゃったら見れないね。そのときの様子は私だけのものになるね」


 片頬で笑って、指先を渉の輪郭に這わせる。


「それが嫌なら、よーく考えて抗ってみること。いいね?」

「……いいや」


 渉は否定し、まだある、と言った。そうしてはっきりと告げてやる。


「お前を止めることだ」

「!」


 茉結華は弾かれたように目を丸くした。


「お前を自首させる……そのためなら、俺は何だってする。説得でも力づくでも……強行突破でも、脱出だって何だって……」


 渉は顔つきこそ真剣そのものだが、徐々に語調を弱くする。

 彼はやると決めたらやる男だ。今言ってみせたことは嘘ではない――しかし、自分がするのと相手にさせるのとでは、わけが違う。茉結華に自首させる自信は、正直まだないのだ。


「じゃあもっと私のこと覚えてよ」


 ね? と言って、茉結華は口元を緩めた。そして、渉の両手に結束バンドをしようとしたそのとき、「髪――」と。


「その髪……触っていい?」


 手は動かさず、視線で訴えかけた渉に、茉結華は「……なんで?」と首を傾げる。


「触りたいから」


 単純な答え、唐突なるわがまま――これも、ひとつの願いと言っていいだろう。

 茉結華は訝しみ、じとりと渉を観察した。彼をまとう雰囲気は穏やかで、裏がある様子もなく、敵意も感じ取れない。


「いいよ、優しくしてね」


 肩をすくめて了承すると、渉は震え続ける手をそろりと伸ばし、その白い頭部に触れた。下へ滑らせるようにして撫でて、髪の束に指を通す。

 触り心地は子犬のようにふわふわとしていた。毎日黒染めをしている割に傷んでいるふうには見えず、指通りもよくて髪質は柔らかい。とても、綺麗なもののように感じた。


「触り方がヤラシイ」


 くすぐったそうに茉結華が冗談を言う。渉の反応を窺っているのだろう、けれど顔色に変化はない。


「これ、生まれつき?」

「色のこと? ううん、生まれつきじゃないよ。抜けたの」

「……?」


 根本から毛先まで真っ白な髪は、脱色したにしては奇麗過ぎる。だから先天性のものかと考えたが――抜いたのではなく、抜けた?


「渉くんが入ってたあの押入れ、昔よく閉じ込められてたんだよね」


 その言葉に渉はぴくりと反応し、撫でる手を止めた。茉結華は押入れのほうを見て続ける。


「人を殺せる頭になるまで、人体の本、医療の本――そんな、幼児にとっては面白くないものばっか読まされて……。ああ、あと、ナイフの扱いを覚えるまで出てこれなかったりね」


 茉結華は自虐的に含み笑いをした。


「だからあのなかはさ、最初から汚れきってるの。血と、汗と、涙と……オシッコで? ご飯抜きなんて日常茶飯事でさ、皮肉で笑える。ほら、昔背小さかったでしょ。そりゃあ伸びないよね」

「……」


 中学で出会った響弥の体格は、今と違って小柄であった。今年の身体測定では渉よりも一センチ身長を上回ってしまったが、昔は男子のなかでも一番低く、『前へ倣え』で腰に手を当てていたのだ。

 ――幼少期に受けていた異常な教育。ネグレクト。殺人のための知識と技術を叩き込まれ、そのストレスで髪の色が抜けた……?


「それは……が受けていたのか……?」

「ううん。だよ」


 茉結華は首を振って語った。


「『茉結華』は『響弥』のヒーローだからね。弱いあの子を守るのは、いつも私」


(……ヒーロー)


 茉結華は言っていた。響弥とは五歳か、それ以上前から一緒にいると。ストレスや苦痛から自分を守るために引き起こされる解離性障害は、茉結華の話に十分該当する。

 しかし『彼ら』は違う。解離しておらず、あるいはしきれずに、自分で自分を強化した。五歳以下という若さで、自己防衛機能として、。それほどの苦痛――髪が白くなるほどの苦痛の末に。

 押入れにあった『まゆか』という文字は、その頃に刃物で彫ったのだ。茉結華自身が自らを、強く在らなきゃいけない自分自身を、見失わないように――


「あーん、もういつまで触ってるの、エッチ」


 そう言って茉結華は渉の手を掴み取ると、結束バンドを取り出した。渉は慌てて親指を引っ込めようとする。


「ま、待って……! 最後にあの人形、つけさせて……」


 茉結華が「人形?」と尋ねる前に、渉は目標を手に取り引き寄せる。ずっと壁際に置いたままだった、茉結華のパペット人形だ。


「ああそれ、渡したままだったね」

「指繋がってると嵌めれないだろ」

「そうだけど、別に嵌めなくても……」

「何となく嵌めたかったんだ。……響弥が作った大事な人形だろ」


 渉は右手に人形を嵌めて、小指と親指とでぴょこぴょこと動かした。継ぎ接ぎだらけの人形が陽気に踊る。


「……ふふっ」


 自由に動く親指が心地よくて、渉は無意識に微笑んでいた。そんな渉の顔つきを、茉結華は意外そうに見つめる。

 しばらく人形で遊んでいた渉は、茉結華の視線に気づいてハッと顔を上げた。そして、何かまずいことをしたかのように途端に表情を曇らせる。


「あっ――か、返すよ……ほら」

「へ? いや、そういう意味で見てたんじゃなくて…………なんでもない」


 怒られると思ったのか、茉結華にそんなつもりはないのに。申し訳なさそうに差し出す人形を受け取り、茉結華は自分の手へと嵌めた。なかはポカポカと温もりが満ちている。

 茉結華は人形を付けたまま器用に結束バンドを扱い、渉の両手を親指同士で縛った。その様子にしょんぼりと目を落としながら、渉は不意に質問をする。


「お前を閉じ込めてたのは……親父さんか?」


 技術は父親に教わったと茉結華は言っていた。つまり、押入れに閉じ込めて、殺しのスキルを強要していたのも――


「タジローはそんなことしないよ」と、茉結華は渉の思考を遮った。


「タ……、親のこと呼び捨てなのか」

「あだ名だよ、お茶目な人だからね。私をいじめてたのは、しらないひと」


 茉結華の言葉に、渉は疑問符を浮かべる。神永タジロウ、それが父親の名前なのか。会ったことがあるような、ないような、顔すらも浮かばない。だがその人が元凶であり、共犯者の一人――

 束の間の自由時間は終了した。茉結華は外した手錠と人形をお盆の上に、皿と一緒に置いた。


「もう今日は寝なよ。身体は拭いといたから、よい子は歯磨きして寝ましょう!」


 茉結華は渉の背中に片手を回し、もう片方を膝の裏に通してグイッと持ち上げた。


「うわっ! お、おい!」

「暴れると落ちるよー」


 間延びしながら、茉結華は渉をお姫様抱っこで運ぶ。慣れた調子でトイレの引き戸を片足で開けて、洗面台の前で下ろした。


「私のほうに体重かけてていいから、はい歯ブラシ」

「……今日、過保護でキモい」

「ははははは。だからいつも眠らせてやってるのに……」


 口を尖らせてブツブツと小言を漏らす茉結華。渉は脚の怪我を考慮して片足重心になると、言われたとおり茉結華に寄り掛かった。


「初日くらいはさー、渉くんの意識があるうちに、お風呂でイチャイチャしたかったり……。でも結局叶わなかった。渉くん私の裸見たことないもんね、見る? 今見る?」


 隣で喚く茉結華に、渉は歯を磨きながらかぶりを振る。茉結華は「そう?」と言って、それからしばらくは黙っていた。

 初日というのは監禁して次の日のことだろう。『はじめては優しくしたかった』とか何とか言っていたのは、お風呂のことだったのか。


(そういえば……響弥の身体って見たことないな……)


 髪染めがバレないように修学旅行や水泳をも休んでいた響弥。彼と一緒に入浴したこともなく、半裸姿だって見たことがない。


(体育の着替えもいつも一番に終わってるし、いつの間にか着替えてるし……てか、肌着の代わりに下はいつも体操服だったし……)


 渉はちらりと茉結華を見た。首元、横顔、袖から覗く滑らかな腕は、あまり日に焼けていない色をしている。クラスメートからはよく『もやし』と言われてからかわれていたが、改めて見ると意外と筋肉質のようにも見える。


「脱ごうか?」


 じっと見つめる渉に気づき、茉結華はどこか嬉しそうな顔をして言った。渉はもう一度首を横に振るだけだった。


 歯磨きを済ませた渉は、不本意ながら再びお姫様抱っこで戻される。畳の上に落ち着くと、自然とあくびが漏れた。


「はじめての、本当のおやすみだね」


 恥ずかしげもなく茉結華は言って、床に置いたままだったお盆とテーブルランプを持って部屋を出ようとする。


「茉結華」

「――!」


 渉が呼び止めると、彼は立ち止まり、驚いた顔をして振り向いた。


「……おやすみ」

「…………うん、おやすみ」


 茉結華は目をしばたたかせて、最後には穏やかな笑みを浮かべて出て行った。


 薄暗い部屋で一人きりとなった渉は、壁を背にして息を吐く。

 そして改めて決意した。凛も誰も、悲しませないように――生きてやる。これ以上犠牲者が出ないように、生きてあいつを止めてやる。

 長かった一日が今日もこうして終わりを告げる。瞳を閉じると、すぐに眠気がやってきた。

 渉はまだ気づかない。茉結華のついている真っ赤な嘘にも。それが明かされるのが、もうすぐそこだということにも。

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