Part1 〜隠された部屋に眠る真実〜

ってきます」

「行ッテラッシャイ」


 おれ名前なまえは「千切ちぎり 卓郎たくろう」。

 電撞市でんどうしにある電撞工業高等学校でんどうこうぎょうこうとうがっこう電子機械科でんしきかいかの2年生ねんせいだ。

 ははおれが5さいのときに事故死じこしちちは12さいとき失踪しっそうした。

 中学校ちゅうがっこう卒業そつぎょうまでは親戚しんせきいえそだち、いまちちはは一緒いっしょごしていたいえ一人暮ひとりぐらしをしている。

 さて、読者どくしゃ諸君しょくんになっているであろう。

 このカタカナ言葉ことばしゃべっている人物じんぶつを。

 彼女かのじょ名前なまえは「AIのりこ」人工知能じんこうちのう搭載とうさいしたロボットだ。

 のりこという名前なまえおれはは千切ちぎり 乃理子のりこ」のした名前なまえからとったらしい。

 あいつが自分じぶんで言っていた。

 あとははかとがそっくりである。

 ここでおれとAIロボットのりこの出会であいをみじかめにはなそう。


 ※


 先日せんじつ差出人さしだしにん不明ふめいおおきな荷物にもつとどいた。

 けるかけまいかという葛藤かっとうすえ、ダンボールばこけることにした。

 その中身なかみはなんと母親ははおやそっくりの人形にんぎょうだった!

 戸惑とまどっているおれ無視むしするようにうごした。


 ※


 正直しょうじき、のりこがいていまたすかっている。

 毎日まいにち掃除そうじ洗濯せんたく食事作しょくじづくりなど様々さまざま家事かじわれていた。

 さらに勉学べんがくにもはげまなければならないとなると自由じゆう時間じかんまったくといっていいほどい。

 だがいまはそれものりこの担当たんとうだ。

 掃除そうじ洗濯せんたく食事作しょくじづくりなど様々さまざま家事かじ、さらにあさこしてくれる。

 おかげで勉強べんきょうはかどっていて感謝かんしゃしてもしきれない。

 おれにのりこをおくってくれたなぞ差出人さしだしにん、まじありがとございます!!


 ※


 さて、いえて2ふんくらいたったか。

 そろそろだな。


 タッタッタッタッ!!


「タ〜クくーん!!」


 バッ!


 ほらた。

 突然とつぜんきついてきた彼女かのじょおれ幼馴染おさななじみあずま 夏目なつめ」クラスメイトでもある。

 天真爛漫てんしんらんまんであり天然てんねんでもある彼女かのじょ小動物しょうどうぶつみたいで可愛かわいらしい。

 運動神経抜群うんどうしんけいばつぐんである、が何故なぜ帰宅部きたくぶ所属しょぞくしている。

 もちろんクラスでは人気者にんきものだ!

「いつもいつも元気げんきだなぁ、夏目なつめは」

「えへへー、れるなぁ」

「そんなんだから授業中じゅぎょうちゅうちゃうんじゃないか?」

「うっ!いたいとこつくなぁ、タクくんは。でも毎朝まいあさタクくんると元気げんきちゃって」

 可愛かわいい、とても可愛かわいい!

 みなさんおづきかもしれない。

 おれ夏目なつめきだ。

 いや大好だいすきだ。

 世界一せかいいちといっていいほどに。

 もし夏目なつめになにかあればいのちをかけてまもるだろう。

なにぼーっとしてるの?もう学校がっこうついたよ!」

「お、おう」


 ※


 ガラガラガラッ!


「おっはよー!みんなー!!」

 あさからほんとに元気げんきだな、夏目なつめは。

 今日きょう退屈たいくつ授業じゅぎょうのはじまりはじまり……

「おい!卓郎たくろう!!いてんのか!?」

 でました。

 いきなりおれ怒鳴どなりつけてきたかれは「熊野くまの たける」いわゆるいじめっってやつだ。

 なにかあれば文句もんくをつける最低さいていやつ

 もちろんおれたけるのことがきらいだ。

 しかしたけるはとてもあたまい。

 入学にゅうがくしてから全教科ぜんきょうかのトップにたける名前なまえがのらない、なんてことは1かった。

 うわさではIQ200ちかいとか……。

 ちなみに東大生とうだいせいでIQ120ほどらしい……。

「おまえぇ、また夏目なつめ一緒いっしょ登校とうこうしてきたな!!」

 そう、じつたける夏目なつめのことがきなである。

「そうだけど、なにか文句もんくある?」

「あるよ!いつもいつもイチャイチャしやがって!ムカつくんだよ!!」

「ならおまえもイチャイチャすればいいじゃないか、それにおれきでイチャイチャしてるわけじゃないから」

 はぁ、めんどくさい。こんなくだりを毎日まいにちやっている。

 そういえば、夏目なつめたける以外いがいひととは最近さいきんおなじような会話かいわしかしてないな。

 おなひとと、おな時間じかんに、おなはなしを毎日まいにち

 まぁたいしてにしてはいないが。


 ※


 キーンコーンカーンコーン


授業じゅぎょうわったよ、タクくん!はやかえろ!!」

「だな」

 今日きょうもいつもとわらない1にちわった。

 はやかえって勉強べんきょうしなければ。

「タクくん、今日きょう放課後ほうかごえる?」

「え?」

 まさか!

 夏目なつめからさそってくるなんて!

「もちろんいいよ!」

かったぁ!じゃあかえったらわたしいえまえてね!」

 いよっしゃぁ!

 しっかりお洒落しゃれしてかなければ!!

「あっ!そうだ、たけるくんも一緒いっしょだからねー!」

 え?まじかよ!

 たのしめなさそうだ……。


 ※


「ただいまー」

「………………」

「あれ?」

 おかしい、いつもなら「オカエリ」って玄関げんかんまでのりこがむかえてくれるはずだが……。

「なんだ…これ……!?」

 らされてる!?

 間違まちがいないだれかがいえはいってきたんだ!!

「のりこー!どこいった!!」


………………


 どの部屋へやにものりこの姿すがたえない。

 もとちち部屋へや見事みごとらされてるな。

「あれ?なんだこれ?」

 ちちのタンスがあったところとびらがあるぞ?

 あのとびら元々もともとあったっけ?

「いや、そんなことにしてる場合ばあいじゃないな。警察けいさつばなきゃ」


 ※


 いえ調しらべてもらった。

 金品きんぴんとうぬすまれておらず犯人はんにん目的もくてきもよくからなかった。

 証拠しょうこつけるため今日きょうにちいえはいれないそうだ。

 もちろんおれはホテルで寝泊ねとまりすることになる。

 のりこもつからないまま。いったいどこにってしまったのだろう?

「タクくん!そんなにまないでいまたのしもうよ!」

 あぁ、いやされる。

 夏目なつめがいるとほんと元気げんきてくるな!

「いつも夏目なつめとイチャついてるからだ、自業自得じごうじとくだぞ卓郎たくろう

 あぁ、ムカつく。

 たけるがいるとほんとイライラするな!

たけるくん、そんなことないよぉ!タクくんはなにもわるくないもん!!わるいのはタクくんのいえらした犯人はんにんだよ!」

 そうだそうだ。

「そ、そうだな。夏目なつめとおりだ!卓郎たくろう今回こんかい夏目なつめめんじて見逃みのがしてやる」

「はいはい、かりました」

 一体いったいこいつはなんなんだ。調子ちょうしやつだ。

 さてと、夏目なつめってたけどせっかく2人ふたり(あと余計よけいなのが1人ひとり)でたんだ!電撞市でんどうし最大さいだいのショッピングモールに!たのしまなきゃな!!

「それにしてもなにをするんだ?おれら3人でショッピングなんて」

「たしかにそうだなぁ、おれ卓郎たくろう一緒いっしょなのがらねぇが」

 それはこっちのセリフだ!っていたい気持きもちを必死ひっしさえんだ。おれえらい。

「もうたけるくんそんなことわないの!タクくんがかなしむでしょ!!」

 夏目なつめよ、たけるがいなくなればそのかなしみはえるぞ。

「はいはい。ごめんね、くーん」

 はいっ、いまイラッとしました。

「よろしい!では本日ほんじつ作戦さくせんつたえる。」

 なんだ?なんだ?

「タクくんと」

たけるくんで」

わたしになにかプレゼントをってきてください!」

「はぁぁぁぁ!?おれたける一緒いっしょに?そんなこと出来できるわけ……」

「はぁぁぁぁぁ!?おれ卓郎たくろう一緒いっしょに?そんなこと出来できるわけ……」

 たけるはじめて意見いけん一致いっちしたがする。【ぁ】のかず1個いっこだけたけるほうおおいか。

「そんなことわないの!これは2人ふたり仲良なかよくするためにかんがえたんだから!!」

 ここは夏目なつめ好印象こういんしょうあたえるために賛成さんせいしておこう。

「まぁ、夏目なつめうならおれはいいけど?」

たけるくんはどうする?やるの?タクくんは賛成さんせいしてるけど」

 好印象こういんしょうあたえた手応てごたえはなかった。

「ちっ!かったよ、やるよ!!そのかわり卓郎たくろうあしんなよ!」

「はいはい」

 おまえあしるなよ!

「じゃーまったね!2人ふたりとも仲良なかよくね!!」

 絶対ぜったい無理むりだ、そんなこと。

 あぁ、結局けっきょくつまらないショッピングになりそうだ……。

「あれ?」

 見間違みまちがいか?

 いまのりこがいたが…。

「どうしたの?タクくん」

いましげみのこうにひとがいなかった?」

「ホント?そんなのいなかったとおもうけどなぁ」

 ならのせいかな。

「ついにまでおかしくなったか、卓郎たくろう

「うるさいぞ!たける!!」

 ほんとこいつがいるとイライラする。


 ※


 ピピピピピピピピピピピピっ!


 カチャッ!


「うーん!」

 昨日きのうはプレゼントを無事ぶじ夏目なつめわたすことができた。

 たける散々さんざんあらそった結果けっか、カチューシャをわたすことになった。

 シンプルな黄色きいろだ。

 夏目なつめはとってもよろこんでくれたけどおもわずたけるとガッツポーズしちゃった……。

「そういえばのりこどこったんだろ?」

 結局けっきょく、あれからのりことはえなかった。

 もしかしたらいえかえっているかもしれないな。

 おれかえるとするか!

 しかし、今日きょうまったホテルのベッドはめちゃくちゃかたい!

 まったれないし、寝付ねつけばからだいたくてすぐめる。

 おかげでいま全身ぜんしんがそこらじゅういたい…。


 ※


「ただいまー」


…………………


 やっぱりかえってきていないか……。

「そういえば…」

 昨日きのうつけたちち部屋へやにあったとびらになるな。

 けてみるか。

「ホコリだらけだなぁ」

 ずっとタンスのうしろにあったからなのか、とびらはとてもきたない。


 ガチャッ!


「なんだこれ……!!」

 そこには地下ちなつながる階段かいだんがあった。おれいえ地下ちかがあったとは。

ってみるか」


 タッ…タッ…タッ…タッ…タッ…


「やっぱり地下室ちかしつはあるよな」

 あんじょう地下室ちかしつ発見はっけん

 とびらにはちち名前なまえ、「千切ちぎり さとる」といてある。

 ちちにはもうわけないが勝手かってはいらせてもらうぞ!好奇心こうきしんおさえられないんでな!


 ガチャッ!


「ここは……書斎しょさい…かな?」

 たくさんほんがあるなぁ。

機械きかい化学かがく物理ぶつりちちらしいな」

「あれ?なんだこれ……」

 どういうことだ?『人類じんるいロボット計画けいかく概要がいよう』だって!?

「ヒューマン・ロストしゃ計画けいかくしているってってるぞ!?あのヒュロスが!そんな……」

 ヒューマン・ロストしゃ、それは世界せかいでも有名ゆうめい日本にほん会社かいしゃだ。

 みんなはヒュロスとんでいる。

 ヒュロスの製品せいひん安全あんぜん使つかいやすいと世界中せかいじゅうから太鼓判たいこばんをもらっているんだ。

 だからヒュロスに入社にゅうしゃすれば一生いっしょう安泰あんたいわれている。

 おれもヒュロスの入社にゅうしゃ試験しけん有利ゆうりだからって工業こうぎょう高校こうこう進学しんがくしたっていうのに…。

人類じんるいロボット計画けいかくってなんなんだよ!!」

 計画けいかくためにはこのほんまなければならないな……。

計画けいかくだい段階だんかい 機械きかいまちである電撞市でんどうし中心ちゅうしん日本にほんのロボットすすめる』

計画けいかくだい2段階だんかい 経済けいざい大国たいこく中心ちゅうしんにロボットすすめる』

計画けいかく最終段階さいしゅうだんかい ロボット完了かんりょうしたくに使つか人類じんるい宣戦布告せんせんふこく

 おいおいおいおい!

 なんで電撞市からロボット化するんだ!!

 それに宣戦布告だって!?戦争を始める気か!?

「……夏目につたえなきゃ!!」

 すでにロボット化してました。なんてことないよな!!夏目!


 ※


「はぁはぁはぁはぁ」

 夏目の家まであと少しだ。

 俺の家から徒歩2分、走ればそう時間はかからない。

 家が見えてきた!

 なんだ?家の前に車が止まってる……。車になにかかいてあるな。

 ………ヒューマン・ロスト社ってかいてあるぞ!

 まさか夏目を連れ去ろうと……!!

「あ!夏目!」

 夏目が2人の男に連れられて車に乗ろうとしてる!

 まずい!

「乗っちゃだめだ!!夏目!!!」

「え?」

「ちっ!おい!早く車に乗れ!!」

「うおぉぉぉぉぉ!!!」


 バンッ!


 俺の渾身のタックルが決まった!

 全速力で走った後だ、勢いも十分ついている。


 ドサッ!


「痛っ!」

 え?

 俺が倒れた。

 まるで壁に激突したみたいだ……。

「まさか…ロボット!?」

「正解だ。じゃあな、坊主」


 ズドンッ!


「うっ!」

 まさかロボットだとは…。しかもパンチの威力が半端ない。

「いやぁぁぁ!タクちゃん!!」

「坊主はしばらく眠っててもらおう」

 まずい、視界が薄れてきた……。

 夏目が連れ去られてしまう………!

「ま…待て……!」


 バキッ!ドゴッ!


 ドサドサッ!


「なんだ……?」

 ロボット達がいきなり倒れたぞ!?

 いったい何が起こったんだ!?

 …なんだ?誰かがロボットの傍に立っている……。

「だ…誰なんだ……」

 太陽の逆光で顔が見えない。

 助けてくれたのだろうか…。


 ガバッ


「なっ!ま…待て!!」

 顔の見えない謎の人物が夏目をかついで逃げようとしている!!

 夏目も気絶してるのかピクリとも動こうとしていない!!

 くそっ!俺は夏目を助けられないのか……!



 …だめだ……もう………意識が…………。



「………………………」

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