第六十五話 『六〇点の結末』
翌日のことである。
その日もこの私立
だからか本日、学園の北側四分の一を占める『止まり木』は、まだまだ朝といえる時間帯から数多くの女生徒でごった返していた。
左を向けば飲食店で楽しそうにお喋りをしている少女達の姿があり、右を向けばワイワイ騒ぎながら食べ歩きに興じる女の子達の姿が見える。
平和。まるでその二文字を具現化したような、穏やかで小気味良い日常がそこにはある。
きっとそこらで楽しそうに騒いでいる少女達の多くは、今日この学園が休みになった本当の理由など露ほども知らないのだろう。
だが、いい。それでいいのだ。
本来光の当たる側にいるべき彼女達が、そんな暗く痛ましい異能の世界のことなど知るべきではない。
そもそも樋田と筆坂はそうして彼女達を何の変哲もない日常に返すがため、この六日間を血反吐吐きながら懸命に戦い抜いたのだから。
「……つーかマジで何て謝ったらいいんすかね、って感じなんですけども」
と、前口上はここまでとして、ところは綾媛生が青春を謳歌する『止まり木』の一角。その中でも割りかし人気なカフェのテラステーブルの上で、フワフワ髪のジト目少女は申し訳なさそうに顔を曇らせていた。
周囲の女生徒達はどこも楽しく盛り上がっているだけに、このテーブルだけが何だか際立って暗く見えてしまう。
それに関しては、フワフワジト目と向かい合う形でテーブルにつく、お嬢様ヘアーの少女も同様であった。普段はウザいくらいにテンションが高い彼女も、今この瞬間においてはなんとも機嫌が悪そうな顔をしている。
「……そもそも謝れば許されるとでも思ってそうなところが傲慢よな。オイ、デコに犬って刺青彫ってやるから前髪上げろよクソ罪人」
「ぎぐぅ……」
そう意地悪くなじられてしまえば、もうフワフワジト目――――松下希子に言い返す言葉はない。
筆坂が言う通り、松下希子は紛れもない罪人だ。
自分が救われたいがための悪行を紗織のためだと散々正当化した挙げ句、自分を助けようとしてくれた人達を裏切り殺そうとまでした罪は、もうこの命を絶ったとしても到底償い切れるものではない。
それにそもそも彼女には、これまで学園の生徒達を実験の生贄に捧げてきた前科が山ほどあるのだ。
昨日先輩が
だから、正直松下は今この場で逆上した筆坂に首を刎ねられても仕方がないと思っていた。実際、彼女はそれだけの覚悟をもって、筆坂の呼び出しに応じたのである。
しかし、一方の筆坂晴はというと――――、
「フンッ、カセイは何やら甘ったれたことを抜かしておったが、ワタシはまだキサマのことを許したわけではないからな……って、うま。なんだこのガトーショコラ。ちょっとワタシが目離したすきに色々進歩し過ぎだろ人間……は、置いといて、つまりワタシがキサマに何を言いたいかというと――――わーパフェも美味いッ!! なまら美味すぎて、マジデリシャスフォーエバートゥナイトなんじゃがッ!!」
「いい加減説教すんのかスイーツ女子すんのかハッキリしてくれませんかねえッ!! こちとら自分なりに反省してシリアスモード入ってるってのに、さっきから調子狂わされまくりなんですがッ!?」
と、なんともまあ普段通りの適当っぷりを晒しているのであった。
ちなみに今この女が食い散らかしているスイーツの山は、これもれなく松下の奢り扱いである。ちなみにこの店は前述の通り『止まり木』の中でもかなりの人気店なので、メニューはどれもこれもブルジョワな上級階級価格だったりするのだ!
「オッ、どうした人殺し? 人殺しの癖に口答えとは生意気だな人殺し。そもそもこれはキサマのためでもあるのだぞ。この慈悲深いワタシは、キサマの中の罪悪感を少しでも晴らす機会を与えてやろうと、態々こんな食べたくもない高級スイーツをキサマに奢らせてあげているのだからな。よって感謝はされこそすれ、非難される筋合いはどこにもない。分かったらとっと更生しろよ人殺し、もう誰も殺しちゃダメだぞ人殺し」
「人殺し人殺しうっせえんですよオオオオオオッ!! 本当デレカシーのカケラもねぇクソ女ですねえッ!! 松下が言うのもなんですが、言っていい冗談と悪い冗談の線引きくらいねぇんですかッ!?」
「キャー、凶悪な殺人犯に恫喝されたのだわ。なんと恐ろしいことなのッ!! ヤダヤダー、ワタシもキコカス死刑囚容疑者に殺されちゃうのかしら〜☆」
「……むぐぐぐ、これ言ったら負けとは分かっていてもブッ殺したいッ!!」
オマエ誰だよレベルの芝居がかった言い回しでおちょくり倒してくる筆坂に、松下は苛立ちのあまり硬く拳を握りしめずにはいられない。
松下も松下で割と腹黒な自覚はあるのだが、目の前のクソ女はその遥か上を行く。そもそも全体的に性格が悪すぎるのだ。冗談抜きで人を煽り、苛立たせることがコイツの生き甲斐なのかと思うまである。
「くはははははッ!! 最高に堪らんな〜キサマのその悔しそうな
「グギギッ……」
「とまぁ、くだらん冗談はさておいて」
しかし、そんな筆坂も高級スイーツをペロリと食べ尽くすと、急にその顔からふざけた表情を引っ込める。
どうやら彼女が松下を呼び出した本当の理由は、ただ単にこちらの罪悪感につけ込んでタダ飯を食らうことではなかったらしい。そこで反射的に背筋をピンと伸ばす松下に対し、彼女もまた一度態とらしく咳払いをすると、
「……まあ、キサマももう分かっていることだととは思うが、ワタシ達は昨日確かに『叡智の塔』を攻略した。裏で全てを操っていた黒幕共の首を上げることは相叶わなかったが、これで少なくともキサマの親友がくだらん異能の世界に巻き込まれることはないだろう」
そんな嬉しいニュースに松下は思わずホッと肩をなで下ろす。
筆坂の言う通り、松下はもう何となく彼女達が目的を果たしたことは分かっていた。それでも実際にこうして直接事実を告げられると告げられないとでは、やはり安心感が段違いであった。
「ありがとうございます……本当、何と言葉を尽くしたらいいのやら」
嗚呼、本当に彼等はやってくれたのだ。
松下が二人と結んだ約束の通り、彼等は紗織に見事元の平和な日常を取り戻してくれた。
信じて良かったと心から思う。
もう自分は一生、あの二人には頭が上がらないことであろう。
そんなことを考えていると再び瞳が潤みそうになるが、松下はすんでのところで緩みかかった顔を再び引き締める。
そうだ。全てが解決したと安心するのはまだ早い。筆坂の言う通り、この綾媛学園に実質的な支配者として君臨しているあの王は未だに健在なのだから。
「……ところで、筆坂さんは鐘を破壊したあと、あの人類王と直接会見したんですよね」
「嗚呼、あまり思い出したくないがな」
「……それで私は、これから一体どうなるんでしょうか?」
例え現金だと思われようとも、当然関心はそこに収束する。
筆坂達の働きによって例の人体実験は無事凍結されたとはいえ、それで人類王の率いる勢力が完全に潰えたわけではない。
然らば、当然裏切り者である松下は粛清から免れられないだろう。
いくら大人ぶっていようとも、松下はまだ幼い中学生の女の子である。当然死ぬのは怖いし、こんな道半ばで殺されるだなんて真っ平御免だ。
そして何より自分が死んだ後、これから先また紗織を一人にしてしまうと思うと、まるで胸の中を抉られるような気持ちになる。
「うっ……」
動揺が止まらない。
冷や汗は滝のように流れ出し、気付けば息をまともに吸うことすらも難しくなっていた。
対する筆坂はそんな松下のことをチラリと一瞥すると、
「実は人類王から伝言がある」
その一言で、松下の中を渦巻く恐怖は最高潮に達した。
やはり、殺されるのだろうか。それとも裏切りの報復として想像を絶するような拷問を加えられたりするのだろうか。
しかし、そうして戦々恐々とする松下に対し、筆坂は呆気なく王からの伝言を口にする。
「
「……へ?」
思わず鳩が豆鉄砲を食ったような顔になってしまう。
聞き間違いかと思ってもう一度問い返してみるが、やはり筆坂はもう一度先程と変わらないまった同じ内容を口にした。
「正式な辞令を下りるのは少し後のこととなるだろうが、昨日人類王は確かにそう言っていたぞ。まぁ、信じられぬと言うならば、あのいけ好かない生徒会長にでも問い合わせてみるがいい」
「いや、自分で言うのも何ですが都合が良すぎりゃしませんかね、それ。実際目溢しに預かったようなもんじゃねぇですか……」
「それだけキサマにはまだ利用価値があると、奴等は判断したのだろう。まぁ、逆に言うと用済みになった暁には速攻で始末されるポジションに落ち着いてしまったわけだがな。だからキサマはそれまでに実績で汚名を払拭するなり、紗織を連れてトンズラする準備をするなりしておけ。個人的には後者の方がオススメだがな。一度裏切った奴がもう一度組織の構成員として信頼されることは決してないのであるし」
「……そうですね。ご忠告痛み入ります」
「オイオイそう暗い顔をするな。そのときが来たならばまたワタシ達が手を貸してやる。いや、別にワタシとしてはキサマがどこで野垂れ死のうと興味はないのだが、あのバカがどうせまた甘っちょろいことをほざきだすだろうしな」
そう言って筆坂はカラカラと笑う。
その明るい声につられて、松下の中の不安も少しばかり楽になっていくようであった。
ああ、そうだ。彼女の言う通り、確かにあの目つきの悪い少年ならばやりかねない。
確かに紗織を守るため、そして彼女の日常を維持するため、これからもやらなくてはならないことは多いだろう。
だが、もう自分一人で全てを背負う必要はないのだ。
五年前の悲劇を乗り越え、これでようやく松下と紗織はスタートラインに立つことが出来た。
それに今は先輩や筆坂さんもいる。
絶対に覆らないと思った理不尽を覆し、絶対に救われないはずであったこの学園を見事救ってみせたヒーロー達が、今は自分たちの隣に立ってくれている。
ならば、もう恐れるものなど何もない。自分で何もかも全てを背負いこみ、最低最悪の選択肢をまるで唯一の正解のように思い込んで、自分の心を騙しながら生きる必要なんてもうどこにもないのだから。
「……そう、ですね。もしそのときがあったら、今度こそ最初から迷いなく頼らせてもらいます。重ね重ねになりますが本当にありがとうございました」
「……ううむ、なんかそう素直に感謝されると、そこはかとなくこそばゆいものがあるな。まぁ、分かれば良いのだ分かれば――――」
しかし、そこで筆坂はまるで何かに気付いたかのように言葉を切る。そして彼女はその口元にニヤリと大人びた笑みを浮かべると、
「フッ。ほれ松下、背筋を伸ばせ。ようやくキサマのフィアンセがお出でになったようだぞ」
その言葉に松下は思わずガタリと椅子から立ち上がった。
何処だ何処だと、まるで母親とはぐれた幼子のような調子で辺りを見渡す。
「あっ」
まず松下の視界に映ったのは、先程まで話題に上がっていた例のチンピラ少年であった。
彼はとある車椅子を不慣れな様子で押しながら、ゆっくりとこちらに近付いてくる。そして当然その車椅子には、松下が今一番会いたい人物が笑顔で座っていた。
「紗織」
無意識にその名前を呼んでしまう。
言い方は妙だが、紗織は既に元の紗織へと戻っていた。その明るい茶髪の中に金糸は見当たらず、かつて左肩から生えていたはずの翼も綺麗さっぱり無くなっている。
前日まで彼女の体を蝕んでいた天使化の痕跡は最早面影もない。そこでようやく松下は、彼女のもとにこれまでどおりの日常が戻ってきたことを改めて実感する。
嗚呼、あの少年は本当に紗織のことを完璧に救ってくれたのだ。自分は彼のことを騙し、裏切り、その果てには自分の都合で殺そうとまでしたというのに。
「ううっ……」
感情が昂ぶったせいか鼻の奥がツンとし、思わずまた涙がこぼれそうになる。だが、松下は歯を食いしばって何とかそれを堪える。
辛くて泣くのも、悲しくて泣くのも、嬉しくて泣くのも、正直昨日でやり切った。
それにこんなに嬉しいならば、こんなに幸せな気分であるならば、やはり今は笑うべきなのだ。松下が紗織の笑顔を望んでいるように、紗織もまた松下の笑顔を願っているのだろうから。
「希子」
そうして松下はゆるりと席を立ち、紗織の座る車椅子の元へと歩み寄る。
別に涙ながらに互いの名を呼びあうわけではない。別に無我夢中で互いの体を抱きしめ合うわけでもない。
松下希子と隼志紗織。最早二人の間に、五年前の悲劇のせいで生まれた齟齬の壁はない。だから彼女達にとっては――――、
「お帰り、希子」
「ただいま、紗織」
ただそれだけで充分であった。
眩い朝の光がテラスの中を温かく照らすなか、二人は面白おかしそうにクスクスと笑い合う。
自分の一番大好きな人がそこにいる。自分の一番大切な人がこんなにも嬉しそうに笑ってくれている。
ただそれだけのことが堪らなく嬉しくて、ただそれだけのことがどうしようもなく幸せで、ようやく取り戻したその優しい時間を噛みしめるように、二人はいつまでも朗らかに笑い続けた。
♢
「オイ、晴。テメェマジで言ってんのかよ」
松下と隼志のイチャコラを見届けたあと、樋田と晴は二人が暮らす白金台の自宅へと戻って来ていた。
しかし、折角今回の事件が片付いたというのに、少年少女の間に笑顔はない。普段は和気藹々とた日常が営まれているこの40004号室も、今だけは一声上げることすら億劫なほどの殺伐とした雰囲気に包まれていた。
樋田は自分が今どのような感情を抱いているのかよく分からなかった。自分は怒っているのだろうか。いや、正しくは戸惑っているのだろう。まさか目の前の高潔な少女が、そんなふざけたことを言い出すとは思ってもいなかったのだ。
「あのクソ学園と
先日、陶南の言う主とやらとの話し合いが上手くいったのか、晴は明け方にちゃんと樋田の元まで帰って来た。
しかし、その後は松下への事後報告やら、隼志から天使化の術式を引き剥がすやらで立て込んでいたので、あの夜に行われた話し合いの内容はつい先程まで樋田も聞いていなかったのである。
しかし、そうしてようやく聞かされた晴からの最初の一言は、綾媛学園との共闘という冗談としてもタチが悪い提案であったのだ。
樋田は苛立ちに任せるがまま、拳を木製の机が凹むほどの力で叩きつける。されど、晴はあくまでそのスマートで冷めきった表情を変えはしない。
「……オマエ、それを言うのは卑怯だぞ。勿論ワタシかて諸手を上げて彼奴等に協力したいと思っているわけではない」
そうして、晴はどこか気まずそうに斜め下へ視線を落とすと、
「されど、事は合理的に考えるべきだ。人類王が共に天界を倒すための一翼を担ってくれるならば、これに乗らない手はないだろう。最初からワタシもオマエとの二人だけで天界を倒せるなどと思っておらん。キサマも近いうちに協力者の存在が必要となることは、薄々分かっていたのではないか?」
「ハッ、そう理屈をこねられても俺ァ糞と肩を並べるなんざ御免だぜ。大体奴等と組むってこたぁ、連中がこれまでしてきたことを認めるのと同義じゃねぇか」
「だからそのことに関しては話を付けたと言っただろう。ワタシ達が協力する見返りとして、彼奴等は洗脳術式の封印処置、及び綾媛生を用いた実験の凍結を確かに約束してくれたとな」
「ハッ、そんなもん信じる方が頭イかれてるわ。テメェは本気でコウノトリが子供運んでくると思ってるピュアッピュアの処女かよ」
「別に信じる必要はない。だが好きに殺しても良かったワタシ達を態々味方に引き込もうとするということは、即ち奴等にとってワタシ達の存在がそれなりに有益だということだ。然らばワタシ達はワタシ達自身をカードとして、奴等の行動をその内側から抑制してやればいい。そもそも外からの力として奴等を倒せなかった以上、ワタシ達にそれ以外の道はないであろう」
そして、最後に晴はやけに真剣な顔でこう付け足す。
「そして何より大義を見失うな。ワタシ達の目的は、あくまで天界勢力を打倒し、人類の独立性を保つことにあるのだからな。その為には綺麗事ばかり並べたてるわけにはいかんのだ。清濁併せ呑むくらいの度量と覚悟がなければ、この人類史始まって以来の大事を成すことは出来んだろう」
「……チッ、気に食わねえわ」
一応反抗気味に舌を打ってはみるものの、樋田はそのままムスリと不機嫌に黙り込んでしまう。
彼女の意見が正しいことぐらいは、流石の樋田にも分かるのだ。
綾媛学園の敷地内を満たす『
それに共闘が必要だということも理解出来る。
今回の戦いの中で、樋田は如何に自分が非力であるかを痛感した。
個では出来ることにどうしても限界が出てしまう。倒すべき敵が天界という軍である以上、こちらも群にならねば太刀打ち出来ないというのは至極真っ当な理屈であろう。だが――――、
――――コイツ、そんなに物分かりがいいやつだったか……?
だが、何故筆坂晴がそれを認めるのだろう。
確かに晴は普段リアリストを気取ってはいるが、実際の彼女は合理性を無視してでも自らの信念を突き通そうとする傾向がある。少なくとも樋田の知る限り、晴はそんな名を捨てて実を取るような選択をする人間では無かったはずなのだ。
「……お前、本当に晴なのか?」
だから、自然とそんな疑問が口をついた。
別に本気で晴の存在を疑っているわけではない。ただ単に薄っすらと頭を過ぎった違和感を、ついそのまま言葉として出力してしまっただけのことだ。
「ほぅ」
だというのに、当の晴は何故か驚いたように目を見開いた。しかし、直後彼女はすぐにスーと目を細め直すと、
「フッ、面白いことを言うな。だが、安心しろ。
そう言って、ただ妖しげに微笑むのであった。
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