第43話 3人パーティと秘密基地(10)
「やっぱり
遙香が菜月にこそっと言う。
「まあ和己だからね」
いつもの台詞で菜月は頷いた。
「さて、僕達はこれ以上ここには用は無さそうだ。行くぞ」
和己は振り向いて菜月と遙香の方へ歩き出す。
「何故そう思うんだ?」
少年の声に和己は振り返らずに答える。
「通信機の方には誰もいないからさ。使えるなら2人のうちの片方か、もしくは別の部下がいるはずだろう。ひょっとしたら他の代替手段があるのかな。いずれにせよ重要じゃ無いって事だ」
和己は菜月と遙香に先に行けと手で合図する。
そして2人が廊下に出た後、ひらひらと後ろへ手を振って和己も外へ出てきた。
少年2人が追ってくる様子は無い。
「何か今の2人は低レベルね」
菜月の言葉に和己はふっと笑う。
「だから使えなくても問題ない場所に着かせているんだろうさ。まあ中学生だし大目にみてやれ」
「その割には容赦ない言動だったね」
「そうでもないさ。馬鹿とも無能とも直接言って無いだろう。さて次はどうかな」
「次は何処?」
「資料室だ」
もう扉が見え始めている。
資料室はパソコンが並んだOA教室風の部屋だった。
3人ほど先客がおり、検索したり印字をしたりしている。
「本だと汚れていたり傷んでいるのを集中的に調べればいいんだろうけどな」
そう言いつつ和己は手前から2つめの席に陣取る。
「何かあてはあるのか?」
「多少は」
和己は遙香にそう応え画面を見る。
どうも資料の検索はジャンル別で無く単語で検索するタイプの様だ。
検索エンジンのような検索窓があり、カーソルが中でブリンクしている。
「では、まずと」
和己は『2145年』と検索する。
「エレベーターのボタンだね」
和己は菜月に頷く。
「正解。多分これである程度は……」
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