第9話

私は見たことをそのまま話した。


それを聞いた警察官が、母と同じように部屋を飛び出した。


母はその場に残り、私を抱きしめた。


すると私に強烈な睡魔が襲ってきた。


私は母に抱きしめられたまま、眠りについた。



騒ぎで目覚めた。


外から病院らしからぬ大きな声が聞こえてくる。


「みゆき! みゆき!」


その声はそう言っていた。


私はベッドを降り、病室を出た。


すると向こうから、何かの一団がやって来た。


中心に移動式ベッドがあり、その周りを医者、看護婦、警察官が取り囲んでいる。


そして声の主であるみゆきちゃんの母親もいた。


ベッドに寝かされているのは、みゆきちゃんだ。


ベッドが私の前を通り過ぎた。


私は遠ざかるベッドを、その姿が見えなくなるまで見送った。



特に外傷などもなく、健康上にも問題がない。


学校に行くことも考慮して、私は翌日の早朝に退院した。


家に帰り朝食を取っていると、昨日のことが全国ニュースで流れていた。


小学四年生の女の子が、山で不審者に襲われたこと。

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