第3話
しかしいないと言うのなら、そんなものはないはずなのだ。
だいたいいることを証明するよりも、いないことを証明する方がはるかに難しいのだが。
でもみゆきは、迷いなく真っ直ぐ歩き続けている。
目的地がはっきりしているかのように。
仕方がない。
私はただ黙ってついて行くしかなかった。
どのくらい経ったのだろう。
時計は持っていないが、かなりの時間歩き続けていたのは確かだ。
私は疲れていた。
慣れない山の中を、休むことなく歩き続けるなんて。
私にとっては拷問以外のなにものでもない。
休憩を提案するためにみゆきに声をかけようとした時、みゆきの歩みが止まった。
「どうしたの?」
「静かに」
その顔は真剣そのものだった。
すると何かが聞こえてきた。
枯れ枝が折れるような音。
枯葉を踏んでいるとみられる音。
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