#7
「マーゲイはマネージャー」というお話。
ジャパリパークには、ペンギンのフレンズ達によって結成された、アイドルのグループがある。その名を、ペンギンズ・パフォーマンス・プロジェクト。フレンズ達はその頭文字を取って、
PPPは、5人のペンギンのフレンズ達によって構成されている。コウテイペンギンのコウテイ、ロイヤルペンギンのプリンセス、イワトビペンギンのイワビー、フンボルトペンギンのフルル、そして、ジェンツーペンギンの、ジェーンだ。
彼女たちは、いつも最高の歌とダンスをフレンズたちに届けられるように、互いに協力して、時には喧嘩したりもしながら、日々、練習に励んでいる。そんな彼女たちを見守るマネージャーが、マーゲイだ。彼女は、元々はPPPの熱狂的なファンの一人だったが、前にかばんとサーバルに出会った時に経験した、とある事件をきっかけに、メンバーと親しくなり、マネージャーとして迎え入れられたのだった。
ある日のことだ。いつものように練習を終え、みんなが家に帰った後、その場に残っていたロイヤルペンギンのプリンセスと、コウテイペンギンのコウテイが、マーゲイに声を掛けた。
「マーゲイさん、ちょっといいかな」
「はい?なんでしょうか?」
「ちょっと相談したいことがあるんだけど、いいかしら?」
「勿論いいですとも!だって私マネージャーですからね!アイドル大好きですからね!大好きな担当アイドルからの直々のお悩み相談!受けない理由がありませんよぉ〜、さぁ!この私に!何なりと!お申し付けください!ぐへへ」
何故か妙に興奮しているマーゲイを見て、コウテイとプリンセスは苦笑いした。でも、これが彼女のいつもの姿だ。
「ありがとう。でも、悩んでるのは私たちじゃないのよね」
「マーゲイさん、最近、ジェーンの様子に変わったところ、ないかな?」
その言葉に、マーゲイは、我に返って少し、考えた。
ジェーンは、PPPの中でも一番、歌って踊ることを楽しんでいる。練習も本番も、いつも一生懸命頑張っている。時々失敗することはあっても、へこたれない強さも持っている。そして、お淑やかで、優しい。最近は、マーゲイの仕事も手伝ってくれることがある。
「あっ」
マーゲイは、ある事を思い出した。
「ここ最近、やけに来るのが早いです!」
マーゲイは、練習の時は練習場所に、ライブの時はライブ会場に、みんなよりも先に来ては、スケジュールを練ったり、会場の準備をしたりして、みんなが着く頃には最高の環境で歌って踊れるようにしていた。基本的には、マーゲイが一人で、時には博士や助手と、その他の、現地に暮らしているフレンズ何人かと協力して仕上げているのだが、ここ最近は、なぜか、ジェーンがマーゲイよりも先に来て、待ち伏せをしていることがかなり多かった。
「やっぱりな、マーゲイさんにもそうか。妙に早起きして、一旦自分の家に帰るとか言って出て行ってたのは、そういう事だったんだな」
コウテイが、思った通りだと言わんばかりに言った。
「やっぱりって?」
マーゲイが、コウテイとプリンセスに訊いた。
「あの子、私たちといる時は何ともないんだけど、最近一人でいると妙に落ち着きがないような気がするの。」
「この前は私の家に泊まりに来たと思ったら、その更に前にはプリンセスの家に泊まったらしくてさ」
「まるでなんか、一人になるのを嫌がってるというか、怖がってると言うか、そんな感じよね」
マーゲイは、それを聞いて、自分の仕事を手伝っている時のジェーンの様子を思い出そうとした。でも、マーゲイは単純に、大好きなアイドルに手伝って貰えて嬉しいという気持ちが先走っていて、ジェーン本人の様子は、詳しく見ていなかった。
「でもあの子、優しいから、きっと気を遣って何も言わないのよね。何かあるなら言えばいいのにって思うんだけど、私たちが無理に聞き出すわけにもいかなさそうだし……」
「なるほど!わかりました!つまり、お二方は私を皆さんのマネージャーと見込んで、ジェーンさんのお悩みを聞き出して解決して欲しいと、そう仰りたいわけですね!」
マーゲイが、眼鏡を輝かせて背筋をピンと伸ばした。
「いいのか?」
コウテイが、目を丸くしている。
「勿論ですとも!この私マーゲイ、情けない事に、マネージャーの身でありながら、ジェーンさんの異変にちゃんと気付く事ができませんでした!マネージャーとして、なんたる不覚!是非、お二人のご期待に応える事で、挽回をさせていただきたいのですよ!」
またしても、マーゲイは興奮した様子で話していた。でも、さっきとは違う、真面目な様子だった。
次の日、マーゲイはいつものように早起きをして、みんなの練習場所へ向かった。前まで、PPPの練習場所は、ライブ会場の裏にある控え室をそのまま使っていた。でもマーゲイは、もっと広く快適で、みんなでの話し合いにも使える場所が欲しいと思い、博士たちに、新しい場所を紹介して貰っていた。マーゲイもPPPのみんなも、その場所をとても気に入り、それ以来、そこがPPPとマーゲイにとっての、事務所のような場所になった。
事務所の入り口には、扉と、それから鍵がついている。マーゲイは、この『かぎ』というものが、いつか今よりももっとライブを面白くするための計画を隠しておくにはうってつけだと、とても気に入っていた。
秘密は、自分と、PPPのメンバー以外の誰にも漏らしてはいけない。秘密を守るのは、マネージャーの仕事だ。だから、マーゲイだけが、扉の鍵を持っていて、いつもみんなより先に来ては、鍵を開けて中に入り、掃除や、見張りをしていた。
マーゲイが事務所の近くまでやって来ると、見慣れたフレンズの姿が、入り口近くにあった。ジェンツーペンギンの、ジェーンだ。やはり、マーゲイよりも先に来ている。いつもなら直ぐに声を掛けて鍵を開けるところだが、マーゲイは今はわざとそれをせずに、陰から覗いて様子を見ることにした。ジェーンは、なんだか落ち着かない様子で、キョロキョロと辺りを見回している。確かに、プリンセスの言っていた通りの様子だ。でも、マーゲイはそんな様子のジェーンをつい、可愛いと思った。その時だ。
「だ、誰ですか!?」
ジェーンが突然、震える声で叫んだ。マーゲイはその声に驚いて、思わず前に倒れ込んだ。
「ぁいたたた……」
「ま、マーゲイさん!大丈夫ですか!?」
ジェーンが慌てて、マーゲイに駆け寄った。マーゲイの顔には、転んだせいなのか、それともジェーンの愛おしさに興奮したせいなのか、鼻血が垂れていた。
ジェーンは、マーゲイに鍵を開けてもらうと、直ぐに彼女の鼻の穴に詰め物をして手当てをした。
「これで、なんとか……」
「はひ、ありがほうごはいまふ」
マーゲイは、鼻声でお礼を言った。
「本当にごめんなさい。その、私……」
少しの間、辺りが静かになった。ジェーンは、自分のせいでマーゲイが怪我をしたと思っていた。彼女が狼狽えているのを見て、マーゲイは、それを察した。
「大丈夫ですよ、私が勝手に転んだだけですから、気にしないでください。でも、ジェーンさん、なんだか様子がおかしかったですね」
マーゲイは、真っ赤になった詰め物を外して、ジェーンを見て言った。
「もし何かお悩みでしたら、私に教えてくれませんか?この頃よくお手伝いしていただいてますし、マネージャーとして、お役に立ちたくて」
マーゲイの言葉に、ジェーンは少し、戸惑った。そして、少し俯いて黙ってから、マーゲイを見て言った。
「……他の皆さんには秘密にしてくれますか?あまり、心配を掛けたくなくて」
「勿論ですよ!」
やっぱり、プリンセスの言う通り、ジェーンは他のメンバーを気遣って今まで黙っていたのだ。マーゲイは、今こそマネージャーという立場の役割を存分に発揮する時だと張り切っていた。他のメンバーに相談しにくい悩み事を聞く事こそ、マネージャーの仕事だ。
ところが、ジェーンが持ちかけて来た相談は、マーゲイが一人で解決するには、かなりの難題になりそうだった。
「マーゲイさん、助けてください。私、最近誰かに付け回されてるんです」
その日一日、マーゲイはずっと考え込んでいた。ジェーンと話したことが、頭から離れない。
「私一人の時、周りに誰もいないはずなのに、何処かから誰かに見られてるような感じがするんです。なんだか怖いから、すぐにそこから離れようと思って歩くんですけど、どんなに歩いても、見られてる感じが消えないんです」
「セルリアンじゃないんですか?」
「それならコソコソ隠れたりしないで真っ先に食べに向かってくるはずじゃないですか」
「あ、確かに……」
「で、怖いのを必死に我慢して後戻りしてみると、地面に私の足跡以外の足跡があるんです……」
「それはジェーンさんが自分の足跡を見間違えてるんじゃあ……」
「そんなはずありません!大きさも、あと形も!私のとは違ってました!」
「そ、そうなんですか。で、その後は……」
「私、もう怖すぎて、一人でいたくなくて。その時はプリンセスさんの家に泊まりました。そしたら次の日も同じ事があって、コウテイさんの家に。昨日は、一緒に帰った勢いで、イワビーさんの家に、フルルさんと一緒に……。そんな感じで、私、ここ最近自分の家に帰ってないんです。でも、これ以上、皆さんに迷惑はかけられないですし……」
ジェーンの悩みは、マーゲイが思っていたよりもずっと、深刻だった。でも、アイドルを守るのも、マネージャーの仕事だ。
悩んでいる様子のマーゲイを見たプリンセスとコウテイが声をかけて来たが、ジェーンとの約束を破るわけにはいかず、何でもないと言うしかなかった。
「……という訳なんですけど、どうしたらいいと思いますか、かばんさん!」
そうして仕事を終え、ずっと顔を曇らせて考えながら、ひたすらパークを歩き回っていたマーゲイが辿り着いたのは、かばんのいる所だった。
「足跡があるってことは、ジェーンをつけてるのは、フレンズって事だよね」
サーバルが、考えながら言った。
「ひょっとして、ジェーンさんのファンだったりして……」
かばんは、自分の考えを、マーゲイに言った。でも、マーゲイの顔は、曇ったままだ。
「それは私も真っ先に思い浮かんだ話ですよ。でも、アイドルのファンなら好きなアイドルに迷惑を掛けてはいけないという掟があるんです。なのにジェーンさんをつけ回して怖がらせるなんて、許すわけにはいきません!」
「でも、PPPの皆さんのファンってすごく沢山いますし、探すのも大変ですよね」
「今度のライブの時に、みんなでお願いしたら?」
「そんな事したら楽しい気分が台無しでしょ!普通に観に来てる他の子達に失礼じゃない!」
3人は、頭を悩ませた。どうしたら、事を荒立てずに、ジェーンをつけ回している犯人を、捕まえられるのだろう。
「はぁ……、こんなに難しい問題になるなんて思わなかったわ。でも、ジェーンさんに真剣に『助けてください!』なんて言われたら、断るわけにいかないし……」
マーゲイは、溜息をついて、ジェーンの声真似を交えながら、力なく言った。
その時、かばんは、ある事を思いついた。
「マーゲイさん、今、ちょっと思いついたことがあるんですが」
「え!?本当に!?で、何ですか!?」
かばんが何かを思いついたと言うことは、きっと良い方法に違いないと、マーゲイは目を輝かせてかばんに詰め寄った。でも、かばんは、心配そうな顔をしている。
「ちょっと危ないかもしれませんけど、でもこれしかないかなって言う方法なんです。マーゲイさんがそれでも良ければ……」
「構いません!ジェーンさんを、いえ、PPPの皆さんを守るためなら私なんだってやりますよ!」
次の日の夜。PPPのライブの本番がいよいよ明日に迫ったという日。一人のフレンズが、ある場所で夜の闇に隠れて待っていた。
まもなく、目の前を一人のペンギンのフレンズが通りかかったのを見るや否や、そのフレンズは、こっそりとその後をつけて行った。すると、不意に、そのペンギンが立ち止まったので、フレンズは慌てて木陰に姿を隠した。
「隠れなくても大丈夫ですよ」
突然、ペンギンが背を向けたまま、声を発したので、フレンズは驚いた。
「いつも私の事、応援して、見守ってくれてるんですよね。是非お話がしたいので、良かったら出て来てくれませんか?」
その言葉に、フレンズは今までに感じた事がないほどに、胸の高鳴りを感じた。そして、自分で気付く間も無く、勢い良く飛び出した。その時だ。
「おりゃー!!」
突然、どこかから叫び声がしたかと思うと、木の上からマーゲイが飛び降りてきて、フレンズの背中に飛びついた。あまりの突然の出来事に、フレンズは何が起きたのかわからなかった。
「な、何するんですか!離してください!」
「誰が離すもんですか!うちのアイドルにちょっかいは出させませんよ!サーバル!あんた抑えてて!」
「あ、う、うん!」
別の木の上で見張りをしていたサーバルが飛び降りてきて、フレンズを取り押さえたのを確認すると、マーゲイはフレンズの前に仁王立ちになった。
「そこにいるのはジェーンちゃんでしょ!?ジェーンちゃん助けて!私なんか変なのに襲われてる!」
フレンズはジタバタしながら、未だに背を向けて立ったままのペンギンのフレンズに向かって叫んだ。
「ごめんなさい。実は僕、ジェーンさんじゃないんです」
そのペンギンは振り返ると、黒くて長い髪を、なんと丸ごと外した。その下からは、少し縮れた短い黒髪が姿を現した。ペンギンの正体は、かばんだった。ジェーンに変装したかばんと、ジェーンの声を真似たマーゲイが、犯人をおびき寄せる為の罠を張っていたのだ。フレンズは、ただ、驚き呆れるばかりだった。
「あ……あんた誰!?」
「それはこっちのセリフよ。私たちの作戦にまんまと引っかかったあたり、PPPのファンみたいだけど?」
「そう!そうだけど文句ある!?パークで誰よりもペンギンアイドル大好きなフレンズ!ヒョウアザラシですけど!!」
ヒョウアザラシは、またジタバタしながら叫んだ。
「あなたこそ誰なの!?」
マーゲイを睨みながら、ヒョウアザラシが訊いた。
「私はマーゲイ。PPPのマネージャーよ」
マーゲイは、眼鏡を輝かせて堂々と名乗った。
「うちのアイドル大好き。大いに結構。でも追っかけならともかく、ストーキングとは感心しないわね。アイドルに迷惑をかけない。私も元々はファンだからそれを徹底してきたわ。あなたもファンなら知ってて当然の掟のはずよね?」
ヒョウアザラシは、マーゲイの言葉に顔を曇らせた。
「マネージャーはいいですよね。いつもアイドルと一緒に居られるんだから。どうせ私の気持ちなんかわからないよね」
「どういうこと?」
サーバルが、ヒョウアザラシの後ろで首を傾げた。
「私はファンとして、PPPと、それからイチオシのジェーンちゃんをもっとたくさん応援したいの。でも、ライブで私ができるのは、ただ山ほどいるお客さんの一人として叫ぶ事だけ。私の想いが届いてるかどうか全然わからない。そう思うと、なんだか凄く苦しくって……」
かばんとサーバルは、ヒョウアザラシの事を少し気の毒に思った。ジェーンは確かに、彼女につけ回されて怖がっていた。でも、ヒョウアザラシに悪気は全くない。ただ、ジェーンにファンとしての自分の想いを伝えたかっただけなのだ。
「あの……」
突然、暗闇の中から声がしたので、みんなびっくりした。なんと、ジェーンが、サーバルとヒョウアザラシの後ろに立っていた。彼女は、かばんに服を貸していたので、代わりにかばんの服を着ていた。
「ジェーンさん!?危ないから来ちゃダメって言ったじゃないですか!」
マーゲイが、慌ててジェーンに駆け寄った。
「ごめんなさい。でも、私、マーゲイさんに相談してから、色々と考えてて、どうしても気になっちゃって。そしたら、今の話、聞こえちゃって、それで……」
ジェーンは、ゆっくりと、ヒョウアザラシに歩み寄った。そして、彼女の手を取って、固く、握手をした。
「ヒョウアザラシさん、あなたの気持ち、すっごく伝わりました。今、私にできる事はこれしかないですけど……これからも、いっぱいライブに来て、応援してくださいね!明日のライブも、絶対来てください!」
ジェーンは、ヒョウアザラシを真っ直ぐ見つめて、笑顔で言った。その笑顔は、ヒョウアザラシが今までに見て来たジェーンの笑顔の中でもとびきり、輝いて見えた。
次の日の朝、ライブに向けての会場の準備が整い、あとは本番を待つだけという時だった。
「おい、マーゲイの奴どうしたんだ?なんかボーッとして」
イワビーが、ジャパリまんを頬張りながら、上の空で突っ立っているマーゲイを見て、フルルに訊いた。
「マーゲイさんが時々ボーッとして突っ立ってるのはいつもの事だよ〜、なんか色々楽しい事考えてるんだって」
でも、フルルの考えは、外れていた。
マーゲイは、昨夜の事で深く、反省していた。マネージャーとして、いつも大好きなアイドルを手伝いながら、彼女たちの側に居られるという事に満足してばかりだった。そして、彼女たちを守る事ばかりに拘って、ファンの事をちゃんと考えていなかったと、ヒョウアザラシの話を聞いて思ったからだ。
「イワビー、フルル。ちょっといいかな」
マーゲイの後ろで、コウテイが二人に声をかけて、何処かへ連れ出した。でも、マーゲイはそれに気づく事なく、考え事を続けていた。
「きっと、ああいう思いをしているのは、ヒョウアザラシだけじゃないわよね……」
マーゲイはそう独り言を呟くと、またしばらく考えた。そして、ある事を思いつき、勢い良く後ろを振り返った。でも、そこには誰もいなかった。
「あ、あれ?」
マーゲイがみんなを探しに行こうとした丁度その時、みんなが戻って来た。
「ああ!皆さん!急にいなくなったからビックリしましたよ!お話ししたい事があるんです!」
「実は私達も話したい事があるのよ、マーゲイ。お願いがあるんだけど」
プリンセスが、みんなに目配せをした。
「ライブの後、私達に、ファンのみんなと握手をさせてくれない?」
「えっ?」
マーゲイは、目を丸くした。
「ジェーンから、昨夜の話を聞いたんだ。それを聞いて、私達の方からも、いつも応援してくれるファンのみんなにお礼がしたいと思ってさ」
「で、ジェーンが昨夜はヒョウアザラシにそれをやったって言うから、じゃあ、今日来てくれたみんなにもそれをやろうぜ!って事になったんだ」
コウテイとイワビーが、ジェーンを見て言った。
「マーゲイさん、いいですか?」
ジェーンが、マーゲイを真っ直ぐ見て言った。
「ダメなんて言うわけないじゃないですか!私も同じ事を考えてたんですから!」
そう叫ぶとマーゲイは、ジェーンに駆け寄り、彼女の手を取った。
それから、ライブが終わると、急遽決まったPPPとそのファンたちの握手会が、始まった。会場にいたフレンズたちは我先にとステージに押し掛けようとしたが、プリンセスが、握手をしたいメンバーの前に一列で並ぶように呼び掛けると、その通りに動いた。そして、握手をしながら、何か一言声を掛けてくれると嬉しいとも、呼び掛けた。
ジェーンは、一人一人と、固く握手を交わして、沢山の応援の言葉を貰いながら、自分もまたお礼の言葉を、ファンたちにかけていった。そして、ファンの残りの人数が少なくなって来た頃、ヒョウアザラシが目の前にやって来た。
「昨日ぶりですね。来てくれてありがとうございます!」
ジェーンは、小さく囁くと、彼女の手を取った。
「私、フレンズになる前からずっとPPPが大好きだった気がするんです。特にジェーンちゃん。これからも、いっぱいいっぱい応援しますね!」
ヒョウアザラシはそう言うと、がっちりとジェーンの手を握って、上下に振った。とても力強かったので、思わずジェーンは飛び跳ねそうになった。
マーゲイは、ステージの袖から、ファンたちの様子をずっと眺めていた。そして、PPPのみんなと握手を交わして、お互いに応援と感謝をしあうファンたちの沢山の笑顔を見た。彼女は、マネージャーとして、PPPのファンの一人として、もっと沢山のフレンズたちが笑顔になれるように、これからも一生懸命PPPの活動の手伝いをしていこうと、心に誓った。
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