~episode2~ 1
「何と言うか……、見事に予想通りの順位ですね」
定期考査明け、生徒達で賑わう放課後。廊下に貼り出された先日のテストの学年別順位を、私と
賢琉くんの名前は言わずもがな、今回も変わらず一位の所にある。
「いつも通りだな」
そう言う賢琉くんの名前の下の数字は492点。二位の人も充分にすごいのだけれど、賢琉くんはその二位を二十点近くも引き離している。ほとんど満点に近い総合点数だ。
「
そう言って順位表の端に視線を促す。目で追うと、私の名前も端に載っていた。賢琉くんとは真逆の位置に。
どうして、そしていつからそうするようになったのかは不明だが、この学校では毎回成績上位半分までの成績が貼り出される。つまり、端に名前がある私はちょうど真ん中の順位という事になるのだ。
「いつも通り、見事に平均値だな」
「狙ってやってる訳じゃありませんから!そういう事はいちいち言わなくていいです。逆に賢琉くんはどこを間違えたんですか」
「僕だって普通に間違える事もあるさ。あとはそうだな、減点とか」
「減点?
「あの数学の先生は途中式も書かないとダメらしい」
「あぁ…」
それは答えは合っているという事か。数学の問題は順番に解いていかないとわからないものが多いだろうに…。
と、横に流した視線の先に一枚の写真が目に留まる。それは生徒会が発行している学校新聞の記事の一つだった。
“学生絵画コンクール、2-B
先日、絵画コンクールの授賞式が行われ、我が校からも美術部の黒杜さんが出席しました。
黒杜さんの作品『
そんな文章の下に、モノクロで小さく絵の写真も載っている。深い色合いの背景に、満開の桜の淡い色が浮かび上がるようなタッチで描かれていて、空想の生物だろうか。魚とも動物とも取れるような生き物が、まるでその桜を護るように泳いでいる。モノクロでも充分に迫力が感じられ、不思議な感覚のする絵だった。
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