甘い時間と場所を作る天才は笑う
「銀座や麻布にある高級ブティックや洋菓子店に負けないくらいのお洒落な内装だな。このケースに並べたら映える」
インスタ女子みたいなことを言う鎧に、百合恵はギャップの違いに驚く、野球やサッカー、相撲みたいなスポーツが得意そうに見えて、家庭科の調理実習の成績では学年一位だから、百合恵や他の生徒や教師たちから一目置かれている。
「鎧くん、いい着眼点ね」
「へへ、俺はパリやローマに行ってパティシエになる修行して、町で菓子店を開くのが夢なんだ」
(鎧くん…まだ十一歳なのに目標が定まっていて凄いわ。ただゲームや遊びが好きな子じゃないわね)
百合恵の周りにいるかつての同級生の男子たちは結婚したり、会社の役職に就いたり、天職を極めている者もいるがごくわずかだ。残りは挫折したり荒波にやられて、そのまま引きこもり、フリーターで目標なく気ままに生きている者や蒸発した者もいる。
鎧はまだ十代だが、これから、どんな風に憧れや目標達成のために動き、考えたり、思ったりして成長するのだろうか…一教師としてではなく、百合恵は姉や母のような思いで語る彼を見る。
「百合恵さん、一つだけお願いがあるんだ…」
突然顔を赤らめて言う鎧、「どうしたの?」と聞くと…
「俺が…もし…パティシエになれたら…」
未来都市でも新緑の風が吹く、お店の中で買い物をしていたら、こう見えるだろう。
“ショーウィンドウの外で姉様女房に何かを伝える年下彼氏“と…
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