巨大ながらんどうの中で
巨大な大摩天楼群はただ太陽の光を浴びて、アルプスやヒマラヤなどの大巨峰のように立ち並んでいるだけだった。百万人以上はいてもおかしくないその大都市の歩道橋を歩いているのは、
「私たちだけだね」
「杏子先生、さっき言っていたこの町を見たことがあるって…僕も見たことがあるんだ」
「私も…でも、思い出せないのよね」
何かで見た町の記憶…二人の大好きだった何か…
「けれど、思い出せないなら、また、思い出せるまでは待てばいいわ。だって、それで命が終わるわけではないのだから…」
杏子が笑みを浮かべる。
すると、鋼は彼女がホテルを出る時と同じ思いに包まれた。
なぜなら、クラスの女子や近所の可愛らしい年下の女子や自宅前を通る女子中学生や女子高生や女子大学生などとは違う。成熟し、この世界の理をすべて知っている大人の女性に鋼は…
がらんどうの静寂の中で、少年の恋心は動きを強くしていた。
それは、隣にいる彼女もそうだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます