第7話 光が生まれる刻

『私ダヨ!(怒)』

 謎の宇宙船はビーム星人でした。ごめん忘れてた。


 木星の人たちは普通にいい人達で、最初なんであんなに荒々しい態度だったのかといえば地球の言葉を解析するのに使った教材があんな感じの映画だったんだってさ、宇宙人てやつはどいつもこいつも!

 なおヤマギ博士は深読みが見当違いだったので、いま枕に顔をうずめてバタバタしています。


「ていうか来るの遅いよ!3日くらいって言ってたのにもう1ヶ月以上経ってるんじゃない?」

『ゴメンネ!ウチノ星ノ1日ノ長サ地球ヨリ長インダヨネ!』

 確かに地球の時間で3日とは言ってなかった気がする。普通なら3日経っても来なかったら確認なり何なりするんだけど、隕石だの木星人だのでそれどころじゃ無かったんだよね。

『ソンデネ、卵がヒカリチャンノ体ニ入リ込ンダ理由ワカッタヨ。』

「本当!?」

 おお、今度こそ謎に包まれたヒカリのビームの秘密が明かされる!

『チナミニ ビームガ出ル件ノ方ハ全然分カッテナイ』

 明かされなかった!

『地球人テサ、産マレル前ニオ腹ノ中デ成長スルジャン。』

「うんうん」

『ソノセイデス。』

「もうちょっと詳しく!」

『イチカラカ?イチカラ説明シナイトダメカ?』

「ダメだよ!」


==========


 ――ビーム星人の卵は、通常であれば周囲からエネルギーを与え続けることで成長、孵化します。しかし何らかの問題でエネルギーが与えられなくなった場合、緊急措置としてごく稀に卵が自らエネルギーを獲得するように変化することがあります。

 詳しい原理は不明ですが、その際に周囲の生物が誕生するまでの過程を模倣することが分かっています。過去事例として、サンダルフォン星において地下マントル内へ侵入し熱エネルギーを吸収したもの、ウコチャヌプコロ星において高濃度グルコース水溶液を浸透させエネルギー源としたものがあります。

 地球においては母体内でエネルギー供給を受ける形が一般的であるため、母体となりうる固体の体内に埋没したものと思われます。


==========


『……トイウワケナンダヨネ』

 なるほど、わかったような分からないような。

 復活したヤマギ博士が深刻そうな顔をしている、深刻な話だったんだろうか。

 ユキは驚愕している、驚くような話だったんだろうか。正直半分くらい聞き流していたからよく分からない。

「つまり7歳にして子供を身篭っていたわけか……」

 あっ、それは確かに深刻かも。

「これは処女懐胎というやつなのでは……?」

 あっ、それは確かにびっくりかも。

『ソレデ地球人ノ妊娠ニ換算スルトソロソロ臨月ナンダヨネ。』

 ……ん?それってもしかして……


『オ前ガママニナルンダヨ!!』


続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る