第3話 輝く愛

~業務連絡~


 私のビームは胸の中心に埋め込まれた謎の石から発せられるものです。

 決して乳首からは出ていません。

 繰り返します、ビームはウルトラマンのカラータイマーのあたりから発射されています。ゾフィーではないです。


~業務連絡終了~


 現在私は放課後の街に繰り出すべく、学業用メイクから遊びメイクに塗り替えているところなのです。

 メイク、お化粧、おめめぱっちりアイライン、ファンデーションにチークを載せて。

「ヒカリーまだー?」

 ユキが急かしてくる、向こうは既にバッチリメイクが完了している。完了しているというか……

「あれー?今日はラメ入りの奴じゃないんだ?じゃあ私も変えちゃおうかなー」

手のひらで顔をチョイと撫でると、まぶたの上でキラキラと光を反射していた粉が消えてなくなる。皮膚の表面に張り付いたテクスチャを変更することで、一瞬にしてお化粧が完了する必殺サイボーグメイクだ。サイボーグはいろんなことができる。

 まあメイクしなくても物理的に目を大きくしたりまつげを伸ばしたりできるし、高性能生体パーツでファンデーションもチークも必要のないキメと色味のお肌だし、メイクが一瞬で終わるならメイク落としも一瞬だし化粧水も乳液も必要なければそもそもメイク用品を買う必要もなくてそろそろメイクがゲシュタルト崩壊しそう。

 これは全世界の女性を代表して、少なくない時間とお小遣いをつぎ込んでおめかししている私が天誅的な何かを与えるべきではないだろうか。

 そんなことを考えていたら、チュンッと何かが弾ける音がした。

 「狙撃だ。ヒカリ大丈夫?」

 開けっ放しの女子トイレの窓から飛び込んできた銃弾を、ユキが叩き落したらしい。サイボーグは本当にいろんなことができる。こっちが主役の方が良かったんじゃないか。

 私の胸の中にある、ビームの元の謎のエネルギーを狙って、今まで色んな組織が私を狙ってきたんだけど、そのたびにユキが私を助けてくれたのだ。


その事の起こりは、私達がまだ幼かった頃。拾った石で作ったペンダントが私の体にめり込んで、そして初めて発射されたビームは目の前に居たユキに命中、サイボーグ技術で復活して以来ユキはサイボーグ少女。


……うん、まあ原因が私にあるということでもあるし、メイクの苦労が無いくらいでとやかく言うこともないよね。


 なお狙撃してきた組織は後でビームでふっ飛ばしました。

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