　こんな夢を見た。

　私は南米を旅している。

　ツアーのミニバスの座席から外の景色を楽しんでいるのだが、足元の窓から見える景色は何故か天地があべこべだ。

　通路を挟んで反対側では、今時の大学生らしき女子ふたりが底の見えない空に怯えてきゃあきゃあと騒いでいる。こんなに綺麗なのに騒いで互いしか見ないなんて勿体ないと思ったが、特によく知らない相手なので放っておいた。

　上から垂れ下がるように聳える山々の頂の背景の空は夕焼けの名残を残したオレンジ色。再び青みを増した夜空が足元の奥底まで続き、その所々に白い星の光が散りばめられている。

　地球の反対側なので天地が逆なのだと、ガイドに説明されて納得しながらも、この間訪れたニュージーランドはそうでもなかったなと思い返す。

　だが初めて南半球の夜空を見られることに心が躍り、南十字星を探すうちにそんな疑問も気にならなくなった。

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