ラピスラズリ

 こんな夢を見た。


 友人と海外旅行に行っている。

 韓国だ、という話だったはずだが、周りの看板に書かれているのはあのシンプルな記号を組み合わせたような表音文字ではなく、見たことも無い落書きのような文字ばかりだった。喋る方はというと、何故か日本語がそこかしこで通じている。おまけに観光らしいことは何一つしていない。

 どう考えても韓国ではなさそうだったが、道中で見掛けた郵便局の建物が面白い形をしていたので、あまり気にせずに歩き回っている。

 途中、友人の提案で立ち寄ったショッピング施設内の小物・アクセサリ屋で、小さい宝石類が標本のように箱の中に並べられていた。そのうちの四角いラピスラズリを、ウッカリ口に入れて噛み砕いてしまう。しまったと思うも時既に遅し、白みがかった綺麗なコバルトブルーの石だけでなく、石が填められていた金縁の留め具の裏部分も欠けてしまった。

 一先ず噛み砕いたのは驚いたせいであり故意ではないと言い訳をして、ラピスラズリだけ買い取ろうとする。驚いたことに、店員の好意で噛み砕かれた後の形に合うように調整して作り直してくれるとのことだった。飛行機の時間ギリギリになってしまうことを少し危惧したが、その言葉に甘えてお願いすることにする。

 石の方は何とかなったが、口の中は細かい欠片が残ったままだ。会計が終わり街を歩いている途中も、頬や舌に残るざらざらとした硬い感触に落ち着かないままである。

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