背後の大河、時の落とす雫


崖先から見下ろした風景。木々は人々、人々は木々。木々は喚き、蠢き、嘆く。下の地だけではない。それは自身の周囲とて同じ事。立つ場は在り方を変えはしない。

罪悪感は蝕む。他人を前に、独りを前に。硝子の亀裂は赤黒く走る。確定した死、割れる事を知っている。故に怖気を震う。恐怖心。遠ざけた“現実”が目の前に現れ、寄って来る。否、寄って来ている。そう自身が感じている。自責は硝子を破壊する投石。直視すれば壊れるが必然。寄る現実と退けない21年間、板挟み。現実は否が応でも“自分”を見せる。「向き合うしかない現実」と「様々を踏んで来た事実」は変わる事はない。変える事は出来ない。少々目を逸らしてもいい。真正面に据えてもいい。選択は自由だと告げている。しかし、変わりない。

黒を歩き、波紋が広がる。その波紋は消える事なく、その場に残り続ける。固定される。星を散りばめたワンピースを纏う少女。黒を渡るその少女の口元、そこに笑みがある様に見えた。