第4話~愛姫~
双龍覇斬は(そうりゅうはざん)……。
柄で相手の攻撃をいなし、切り上げと打ち下ろしを叩き込む、カウンター技である。
竹刀でも決まれば有効打なのを、すっかり忘れていた。
まぁ無理もない、非日常に頭がついていけなかったんだ。などと考えてるうちにモンスターは牙を向け飛びかかってくる。
僕は、激痛が走る右腕を抑えながら、最小限の動きでモンスターの呼吸に剣先を合わせた。
「ここだ!!」
モンスターの爪を柄でいなし、そのまま死角になった所を切り上げと打ち下ろしを叩きこんだ。モンスターは瞬く間に1/4カットになり、断末魔さえあげられず絶命した。
きんっ
僕は政宗を鞘に納めた。
「はぁっ……はぁっ……ふぅぅ……。」
一呼吸し、自分が生きている事を確認した
「やる気になれば、大抵の事はできんじゃ~か!」
と、緊張の糸が切れたのか、僕は気を失い倒れた。薄れゆく意識の中、腹の虫だけがぴんぴんしていた。
「ほほぅ、わしをここまで意のままに扱ったのは、ぬしが初めてじゃ……。もしや……こやつ伊達の血筋のものか!? だとしたら、何という運命であろうか? わしはラッキーじゃのぅ!」
政宗は、年甲斐もなく興奮した。
自分の子孫が、先祖の窮地に現れる。
これはまさに宿命……だったけ?
政宗はすこし頭が鈍かった。
「のう、子孫や、わしの願いは……。わしの変わりに妖魔の王を倒してくれ!」
僕は意識がはっきりせず、誰かの寝言だろうと聞き流した。
「わしは、封印しかできなかったが、わしとぬしのふたりであれば必ずや倒せるはずじゃ!!」
「だから頼む!……必ずや秀吉を討て。」
政宗がしゃべってる!?
「秀吉ぃぃ!?」
今日日、日本の学生、いや、日本人なら誰もが聞いたことのある人物の名前に驚き飛び起きた。
意識が戻りかけの僕の顔を覗きこんでいた、何かと激突した。
「きゃっ!?」「うへっ!?」
目の前に星が見える。それは、助けたであろう女の子も一緒らしく、暫く沈黙が続く。
お互いに額を押さえつつ声をかける。
「良かった、、、無事だったんだね。」
「やっと目を覚ましたぁ!!」
同時に声を発した為、お互いの声にかきけされる。
「え!?……。」
「ん!?……。」
なんだ……このドラマ見たいな茶番は?
僕は、少し冷めていた。無言が、続く中打ち破られるように彼女は言った。
「良かったです。」
何が?……。
「3日間も目を覚まさないから、心配したんですよ!」
マジか! そんなにも、寝込んだのか!
と、辺りを見回すと、見知らぬ部屋にいた。
「ここは?……。」
確か……草原にいなかったっけ?
困惑している僕に、彼女は続けた。
「ここは、陣(じん)、陣王が納める国ですわ!」
陣!? どこだそりゃ!
よく見てみりゃ、彼女は見慣れない服を着ている。いや、ここでは僕のほうが、見慣れないか!?取りあえず、平静を装わせなくては。
「ここには、あんたが?」
すると、彼女は怒ったような顔をして答えた。
「あんた?失礼ね、私には、愛(めご)という立派な名前があるんだから!!」
その迫力に気圧された。
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