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家に帰ると私は部屋の窓を開けタバコに火をつける。長らく吸っていなかったせいか苦く感じたが、少ししたらそんなことは一切感じなくなった。本当なら学校に行こうと思っていた。しかし、声も出ず、バイト先に迷惑をかけ、脳内に響く声のせいで腹に腕を突っ込まれ胃の中の臓器をかき混ぜられているような感覚と強烈な吐き気のせいで行く気になれなかった。
(一体どう思われたんだろうか……使えない、嘘つき、そんな風に思われたんだろうか……)
そう考えていると携帯に一件の通知が来た。
澪『玲、今何してる?学校かな?』
メッセージを送ってきたのはかれこれ2年以上付き合っている澪からのメッセージだった。
『今家、声でなくなったし、すっごい気持ち悪いから学校は休んだ』
澪『そっか、あのさ、なら今から会わない?会えたらでいいからさ』
澪のそのメッセージを見て私は誰にも会わないよりは少しでも落ち着く人のそばにいよう。そう思い文字を打つ。
『わかった、駅前のコンビニで待ってる』
私はタバコの火を消しタバコとライター、財布をカバンに突っ込みスマホをポケットに入れ駅前のコンビニに向かうことにした。
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自転車を漕ぎ40分近く、ようやく駅前のコンビニにつくとまだ澪はそこにいなかった。
『今着いた』
コンビニの中には以外にも人が多くいた。時刻はもうすぐ13時を指すところだった。私の腹は空腹を訴えていたがとても何かを腹に入れる気分になれずひとまず人が減るまでタバコを吸うことにした。
10分位経ったころだろうか。3本目のタバコを吸っていると、人が近づいてきているのを感じた。
「あー、またタバコ吸ってる。禁煙するとか言ってたじゃん」
横から近づいてきたその人はそう言って私の頬を思いっきり抓ってきたのでイライラしながらその人のほうを見ると
「ほんと、タバコ吸ってるときイライラしてるよね」
私の彼女の澪が笑顔でそう言った。
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