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声が……完全に出なくなった……今まで出せていた言葉も話せていた言葉も……
『すいません、声が出なくなってしまったので裏に行っても大丈夫ですか』
メモ用に入れてた紙にそう書き店長に見せる。
以前からこういうことがあるかもしれないとシフトが一緒になる人には伝えていた。もちろん、このことを言いだすのにはかなりの時間があった。でも、これはまた別の話だ。
「完全に出ない感じ?」
あぁ、なんて言われるんだろうか、使えないやつ、めんどくさいやつ。以前から伝えてあったとはいえ完全に出なくなったのは初めてだった。それ故に頷きながらも胸の内では不安で吐き気がしていた。
「ん、わかった、裏でゆっくりしな」
店長はそう言って表で入れ替わってくれた。
どう思われたんだろうか。嘘つきだと思われたんだろうか。理解してもらえないだろうきっと……店長の目を見ることは出来なかった。
店の裏の方に行くと物が積み重なった多くの荷物の陰に行くと何故か涙が流れた。
「ッ…… ッ……」
声を出そうとしても耳で聞き取れないぐらい掠れた様な声が出るだけ。
『ほらみろ、どうせお前は役に立たない、存在価値なんてない。さっさと居なくなればいいって思われてるに決まってる。どうせお前の価値なんてその程度なんだから』
自分をさらに追い詰めるように脳内に言葉が響く。
_____________
「玲ちゃん大丈夫か―?」
涙が浮かばなくなった頃に店長が裏のほうに来た。
「声は出るようになった?」
店長がそう聞いてきたので声を出そうとするが未だに耳で聴きとれないぐらい掠れた音が出るだけだった。
「でなさそうだね。シフト調整しておくから明後日まで休んどきな。顔色も悪いから、ついでだと思って大人しく休みな」
店長のその言葉に今の私は頷くことしかできなかった。
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