Day2-5

「それにしては浮かん顔じゃの」

「ちょっとね」

「大丈夫じゃ。みんな、ちゃんとわかってるけえね。今は佐伯さんとか元帥が贔屓したってことに、嫉妬されてるだけじゃ。

 すぐ普通の生活に戻れるけえ。安心せい」

「……なんでわかるの、言いたいこと」

「……そ、そりゃあ、幼なじみじゃけえ」

「あんたがそうやって、指先くるくるやるときは大抵嘘ついてるときだよ」

「嘘なんてついとらん。俺だからわかるんだし、涼ちゃんのことだから、わかるんじゃけえ」

 指先が止まる。

「俺がちゃんと守るけえね」

 その言葉に涼香はまた笑った。

「その言葉だけで耳にタコができそう」

「それくらい言わんと、涼ちゃん独りで頑張るけえね。今回は何回も言わせてもらうんじゃ!

 涼ちゃんは俺が守る、涼ちゃんは俺が守る、涼ちゃんは俺が守る、涼ちゃんは」

「恥ずかしいから、もういいってば! わかったわかった! ピンチになったら、伸一呼ぶから。佐伯さんの後に」

「こんだけ頑張っても、佐伯さんの次か」

「だって、佐伯さんの方が強いもん」

 彼女がそう言うと、伸一はしょげたように地面を蹴った。そして爪先を抑えて悶える。

「……変なとこ、ぶつけた?」

「親指……パキって言った」

「やっぱりピンチの時は佐伯さん呼んでから、伸一で確定だね」

「無念」

 がっくり項垂れる伸一の背中を励ますように叩きながら、今日の中で一番楽しい瞬間だと涼香は思った。

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