Day2‐2
あみも潤も明るいムードメーカーだった。
あの日、天井から吊るされるまでは。
口にしてはいけないとは言われているけれど。涼香は悔しかった。叫びだしたかった。
なぜ、あの二人なのか。間違っている、と。
"オリヅル"に残るのか、ここを去るのか決める前日。
実は、涼香は二人と共にいたのだ。なぜ、助けることができなかったのか。なぜ、気づくことができなかったのか。
「涼ちゃんは、どうするん?」
肘をつきながら覗き込む、あみ。
「そりゃあ、父ちゃんの仇討つだろ!」
空中にパンチを繰り出しながら答える、潤。
「そうだね。私はここに残るよ。
二人は? どうするの?」
そう尋ねると、何故か顔を見合わせて笑いあった。
「実はさ、僕ら結婚しようと思うんだ」
隣であみが照れ笑いを浮かべながら、幸せそうに揺れている。
その笑顔が涼香にも伝染する。心から嬉しかった。
だけど言葉を返そうにも、簡単には返せないほどの嬉しさと少しの寂しさが溢れていく。
「あみが諜報部隊に行きたいって行ったとき、僕、思ったんだよ。
この人を守ってあげたいって」
「やめてよう。恥ずかしいなあ」
「いいじゃん、いいじゃん。涼ちゃんだもん。
ずっと一緒に育ってきたんだから、家族だしさ」
「それもそっか! じゃあ、涼ちゃんは、親族席だね」
「やめてよ、二人共。親族席は違うでしょ」
笑いながら答える。二人は幸せそうに手を合わせていた。
それをずっと、見ていられるはずだったのに。
次の日、彼らは寄り添うように吊られていた。
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